凱旋門賞挑戦へ! 最優秀2歳牝馬 ラッキーライラック
言わずと知れた安平町ノーザンファームの生産馬。父はクラシック3冠馬で、フランスの凱旋門賞にも挑戦して2年連続2着だったオルフェーヴル、母はライレックスアンドレースという血統だ。一口クラブのサンデーサラブレッドクラブにて総額3,000万円(1口75万円/40口)で募集された。母の名前からイメージされた幸運のシンボルである五弁のライラックの花の呼び名であるラッキーライラックと名付けられ、2017年8月20日に栗東・松永幹夫厩舎からデビューした。
デビュー戦となった新潟競馬場 芝1600mの新馬戦では、好スタートを切り好位で脚をため、レースを進める。唸るような手応えのまま新潟の長い直線に向くと、大外に持ち出され 上がり33.1秒の脚で完勝するレースを見せた。
2戦目は12月に阪神競馬場の芝1600m行われるGⅠ、阪神ジュヴェナイルフィリーズ(以下、阪神JF)へとつながる一戦、アルテミスステークス(GⅢ・東京競馬場 芝1600m)に出走した。ここでも好スタートを切り、やや行きたがる素振りは見せたものの4番手からレースを進めた。直線に向くと力強い脚を繰り出して連勝を果たし、一気に2歳牝馬戦線の主役候補に名乗りを上げた。
迎えた阪神JFでは、前2走とは違い中団から競馬を進めるという、今までとは違ったレースを展開した。4コーナーでは前を射程圏に入れ、直線で外に持ち出されると、石橋脩騎手の大きなアクションに応える力強いレースでGⅠ勝利を果たした。
父のオルフェーヴルとは違い従順なレースぶりを見せつつ、父譲りの能力の高さを見せているラッキーライラック。距離延長にも問題はなく、クラシック戦線での大きな期待が集まる。また近年は結果を出していても、外国人騎手への乗り変わりが多い中で、鞍上の石橋脩騎手とのコンビにも注目が集まっている。1月29日に行われたJRA賞授賞式で、最優秀2歳牝馬に選ばれた同馬だが、その壇上で生産したノーザンファームの吉田勝己氏が「春の成績次第」という条件付きながらも10月にフランス・ロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞へ挑戦する意向を表明。父が果たせなかった夢舞台での勝利に期待は高まる。まずは4月8日の桜花賞制覇に向けて、3月3日に桜花賞と同じ舞台で行われるGⅡチューリップ賞から始動する。
男勝りな豪脚!澄んだ瞳の良血馬 アーモンドアイ
この馬も安平町のノーザンファームの生産馬。父は香港スプリントを連覇するなどの活躍を見せた”世界の”ロードカナロア、母はエリザベス女王杯を制したフサイチパンドラという良血馬だ。一口クラブのシルク・ホースクラブで総額3,000万円(一口6万円/500口)で募集され、澄んだ瞳をしている顔立ちから「美人とされる顔の目の形」という意味のアーモンドアイと命名された。
デビュー前から注目を集めていた同馬は、2017年8月6日に美浦・国枝栄厩舎からデビュー。新潟競馬場・芝1400mの新馬戦では後方からレースを進め、直線追い上げを見せるも2着という結果だった。
しかし2戦目の未勝利戦(東京競馬場・芝1600m)では、道中は中団で脚をため、4コーナーで外に持ち出されると他馬とは違う手応えを見せ、鞍上のルメール騎手が軽く気合をつけるだけで全く追うことなくゴール。素質の片鱗を見せつける内容で完勝した。
迎えた3戦目、京都競馬場の芝1600mで争われたシンザン記念(GⅢ)。牝馬ながら1番人気に支持され、牡馬相手にどのような競馬を見せるのかに注目が集まっていた。スタートで出遅れて後方2番手からのレースとなるが、直線に入り外に持ち出されると鞍上戸崎圭太騎手のアクションに応え、ゴール前では逃げ粘っていたカシアスと2番手から競馬をすすめていたツヅミモンを捉え、2着に1 3/4馬身をつけて豪快に差し切った。他馬が止まって見えるほどの末脚は、競馬ファンに強烈なインパクトを与えた。
過去にシンザン記念を勝利した牝馬には、1997年NHKマイルカップ優勝馬のシーキングザパール、2012年の牝馬3冠を達成したジェンティルドンナなどがいる。また2着となった馬にも2007年の桜花賞、秋華賞を制したダイワスカーレット、2016年の桜花賞馬ジュエラーがいるなど、牝馬の出世レースとも言われている。次走は4月8日に阪神競馬場で行われる桜花賞を予定している。男勝りな豪脚を武器に、クラシック戦線でどのような活躍を見せてくれるのか、期待は膨らむばかりだ。
センスある走りが魅力 リリーノーブル
先に紹介した2頭と同じく、安平町のノーザンファームの生産。父は名牝エアグルーヴの息子で香港のクイーンエリザベス2世カップを制したルーラーシップ、母はピュアチャプレット。ラッキーライラックと同じサンデーサラブレッドクラブにて、総額1,800万円(一口45万円/40口)で募集され、栗東・藤岡健一厩舎に所属している。
10月28日に東京競馬場 芝1600mで行われたデビュー戦では、好スタートを切るも道中は中団から前を射程に入れつつレースを進め、直線抜け出した後もステッキを入れられることなくデビュー勝ちを果たす。
2戦目の白菊賞(京都競馬場・芝1600m)では好スタートを切り、逃げた馬の直後の絶好の位置取りでレースを進める。直線に向いても余裕のある手応えで、騎乗していた川田騎手は大型ビジョンを見るほどの余裕を見せての完勝。レースセンスの高さを見せつけた。
このレースぶりから3戦目のGⅠの阪神JFでも、ファンは3番人気に支持した。道中は5、6番手でレースを進め、直線では力強く抜け出し一旦先頭に立ったものの、ラッキーライラックの末脚に屈し、惜しくも2着という結果だった。
レースの上がりは阪神JFでマークした33.9秒が最速と、特出すべき末脚はないものの、3戦すべてのレースにおいて好スタートを切り、好位から器用なレースができる器用さは大きな武器と言えるだろう。ルーラーシップ産駒は菊花賞馬キセキを輩出するなど、距離への不安点もないと言える。レースセンスを武器に、クラシック戦線での走りに期待は膨らむ。同馬も、次走はチューリップ賞への出走を予定している。
今年の牝馬クラシック戦線も牡馬と同様に素質馬が揃い、レベルの高いレースが繰り広げられることが予想される。次回のコラムでは、牡馬相手に重賞勝ちを果たした馬、姉にGⅠ馬を持つ良血牝馬3頭を紹介していく。
《関連データ》【Road to Derby 2018】クラシック注目馬・牡馬編①
《関連データ》【Road to Derby 2018】クラシック注目馬・牡馬編②
《関連データ》【Road to Oaks 2018】クラシック注目馬・牝馬編②