「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【中山記念】先行力とヨーロッパの主流血脈が好走をもたらす 有力馬の血統解説

2023 2/23 06:00坂上明大
中山記念の傾向と血統,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

傾向解説

今年で第97回を迎える伝統のGⅡ競走・中山記念。2月の別定戦GⅡという、GⅠへ向かう強豪馬にも、ここを目標とする中山巧者にも使いやすい舞台であり、地力、適性、状態などさまざまな要素が絡み合う一戦です。血統面を中心に、中山記念のレース傾向を整理していきましょう。

最初に紹介したいデータは単勝オッズ別成績。先述の通り、中山記念はGⅠ馬も数多く出走するGⅡ戦のため、適性と調子だけで好走できる重賞ではありません。過去10年で単勝オッズ20倍以上で好走した馬は3頭しかおらず、手広く押さえるべきではない重賞といえるでしょう。単勝オッズにこだわる必要はありませんが、ある程度の地力を示していることは最低条件といえそうです。

中山記念、単勝オッズ別成績,ⒸSPAIA


また、先行力も重要なポイント。開幕週、かつ1角までの距離が短い中山芝1800mという舞台設定のため、後方待機勢の追い込みはなかなか決まりづらい傾向にあります。特に過去10年の勝ち馬は、真ん中より前目につけた馬からしか出ていません。距離延長馬の好走率が高いこともこれが要因でしょう。

中山記念、初角位置別成績,ⒸSPAIA


血統面では、Nureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingに注目。ヨーロッパの主流血脈であるこれらの血は中山内回りの中距離重賞に滅法強く、本レースでも好走率、回収率ともに水準以上の成績を残しています。特に近年は同血脈を複数本持つ馬の好走も多く、昨年1着馬パンサラッサはNureyev≒Sadler's Wellsの5×3を持ち、2着馬カラテも父トゥザグローリーがNureyevの4×3を持っています。

中山記念、血統別成績(単勝オッズ19.9倍以下),ⒸSPAIA

血統解説

・ソーヴァリアント
母ソーマジックは2008年桜花賞3着馬で、本馬の3/4同血の兄には2020年エプソムC2着馬ソーグリッタリング、半姉には2021年愛知杯勝ち馬マジックキャッスルがいる良血馬です。母母父に本レースと相性の良いFairy Kingの血を持ち、内回りコースへの実績も十分。課題は1800mで好位を取れるかどうかでしょう。

・ダノンザキッド
Hyperion的スタミナとFair Trial的機動力、粘り強さが持ち味のジャスタウェイ産駒。昨年は大味な競馬で7着と敗れましたが、その後の1年間でだいぶ競馬っぷりに大人らしさが出てきました。ただ、500キロを優に超す巨漢馬で背中も長いため、中山の内回りコースは少々窮屈かもしれません。

・スタニングローズ
母母ローズバドは2001年秋華賞2着など一線級で活躍。その仔にはローズキングダム(2009年朝日杯FS、2010年ジャパンC)などがおり、本馬はローズキングダムの3/4同血の姪にあたります。本馬はクロフネが入る分、ローズキングダムよりも締まりが強く、パワー型寄りの芝中距離馬といった印象。中山内回りの中距離戦は得意条件のひとつといえるでしょう。

中山記念の傾向と有力馬の血統解説,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

《関連記事》
【中山記念】GⅠ馬はスタニングローズ、シュネルマイスターら強力 逆転候補は勢いある中山巧者2頭
【中山記念】ハイブリッド式消去法でヒシイグアスは消し! 秋華賞馬スタニングローズは枠次第
【中山記念】参考レース振り返り データは中山金杯組、好メンバー揃うもソーヴァリアントに注目

 コメント(0件)