前半はスプリント戦並みの活気ある展開
1400mのスペシャリストは時代ごとに必ずいて、そのたびにGⅠがあればという声があがるが、現代のスペシャリスト・ダイアトニックもそんな1頭だ。この日、東はオジュウチョウサンの引退レース、西はダイアトニックの引退レース。同馬は豪州での種牡馬入りが決まっている。そして、最後の舞台・阪神芝1400の阪神Cを勝利し、見事に年間芝1400m重賞出走機会3連勝で有終の美を飾った。
芝1400m重賞はGⅠこそないが、1200mやマイルGⅠの前哨戦的位置づけのレースが多い。ただ阪神Cは1年最後の終着地点で意味合いが違う。そのせいなのか、同じ1400mでもスワンSと阪神Cの連勝は少ない。従来のスケジュールでは京都と阪神の違いもあるが、スワンSが阪神で行われた昨年も勝ち馬ダノンファンタジーは3着だった。マイルCSを経由する馬が多く、そもそも直行の数が少なく、連勝は阪神C創設16回で09年キンシャサノキセキ1頭。ダイアトニックは2頭目の記録。今年はマイルCSを経由しなかったことが結果的に大きかった。
というのも、今年の阪神Cはオパールシャルムが前半600m33.4で飛ばし、スプリント戦並みのスピードを問う展開になった。マイルCSは同区間35.1で入り、前後半800m46.6-45.9のスローに近い流れ。阪神Cとのペース差は大きく、マイルCS8着ロータスランドは好位で流れに乗り、一旦先頭も9着。前半が忙しすぎた。スワンSは前後半600m34.1-34.6でやや速め。ダイアトニックはどちらも4コーナーで4、5番手の好位追走。スピード寄りの1400mで流れに乗れる特長がマッチした。この日も外枠から好位外目におさまり、直線に向くや素早く外に持ち出し、進路を確保。手順に抜かりなし。安定して力を発揮できるのはさすが1400mのスペシャリスト。この距離だと前半が速くてもゴールまでスピードが落ちない。
また7歳で1400m重賞を3勝したことも大きい。7歳シーズン平地重賞3勝は86年以降、フジヤマケンザン、オフサイドトラップ、ダイワカーリアン、ダイワテキサス、ステイゴールド、キンシャサノキセキの6頭。短距離はキンシャサノキセキに次ぐ2頭目になる。