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【阪神C】ダイアトニック、有終の美を飾る! 今年重賞3勝、タフすぎる1400mスペシャリストに幸あれ

2022 12/26 10:44勝木淳
2022年阪神Cのレース結果,ⒸSPAIA

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前半はスプリント戦並みの活気ある展開

1400mのスペシャリストは時代ごとに必ずいて、そのたびにGⅠがあればという声があがるが、現代のスペシャリスト・ダイアトニックもそんな1頭だ。この日、東はオジュウチョウサンの引退レース、西はダイアトニックの引退レース。同馬は豪州での種牡馬入りが決まっている。そして、最後の舞台・阪神芝1400の阪神Cを勝利し、見事に年間芝1400m重賞出走機会3連勝で有終の美を飾った。

芝1400m重賞はGⅠこそないが、1200mやマイルGⅠの前哨戦的位置づけのレースが多い。ただ阪神Cは1年最後の終着地点で意味合いが違う。そのせいなのか、同じ1400mでもスワンSと阪神Cの連勝は少ない。従来のスケジュールでは京都と阪神の違いもあるが、スワンSが阪神で行われた昨年も勝ち馬ダノンファンタジーは3着だった。マイルCSを経由する馬が多く、そもそも直行の数が少なく、連勝は阪神C創設16回で09年キンシャサノキセキ1頭。ダイアトニックは2頭目の記録。今年はマイルCSを経由しなかったことが結果的に大きかった。

というのも、今年の阪神Cはオパールシャルムが前半600m33.4で飛ばし、スプリント戦並みのスピードを問う展開になった。マイルCSは同区間35.1で入り、前後半800m46.6-45.9のスローに近い流れ。阪神Cとのペース差は大きく、マイルCS8着ロータスランドは好位で流れに乗り、一旦先頭も9着。前半が忙しすぎた。スワンSは前後半600m34.1-34.6でやや速め。ダイアトニックはどちらも4コーナーで4、5番手の好位追走。スピード寄りの1400mで流れに乗れる特長がマッチした。この日も外枠から好位外目におさまり、直線に向くや素早く外に持ち出し、進路を確保。手順に抜かりなし。安定して力を発揮できるのはさすが1400mのスペシャリスト。この距離だと前半が速くてもゴールまでスピードが落ちない。

また7歳で1400m重賞を3勝したことも大きい。7歳シーズン平地重賞3勝は86年以降、フジヤマケンザン、オフサイドトラップ、ダイワカーリアン、ダイワテキサス、ステイゴールド、キンシャサノキセキの6頭。短距離はキンシャサノキセキに次ぐ2頭目になる。

新味引き出すラウダシオン

2着は連覇を狙ったグレナディアガーズ。ダイアトニックをマークする競馬で外から襲いかかった。手順としては完璧で勝てる競馬だったが、ダイアトニックが併せにいく激しい競馬でわずかに及ばなかった。ハナ差負けは休み明けの分ではないか。序盤から速めの流れを中団追走で対応できたので、来年は1200mでもやれるだろう。

3着ラウダシオンは11番人気。基本的に差しにくい馬場で後方待機。好位から最後で踏ん張れない競馬が多かったが、イメージを覆す好走。ムルザバエフ騎手起用があたった。後方のインから直線は狭いところを突きながら、外へ外へと進路を切りかえて伸びてきた。腕達者ぶりをアピールできた。

4着バスラットレオンも好位からしぶとかった。夏の海外遠征帰国後はダートの武蔵野S3着と今回、条件が変わっても走れるのは強み。色々な条件を走りながら、可能性を探っている印象。どこかでピタっとハマれば化ける。

多頭数の激戦で最後の直線で進路がなかった馬もいた。13着ルプリュフォールは脚質的にこういった場面も多いが、今回は直線で内を突く形になり、スペースがなく不完全燃焼。前々走はオープンで大外一気、前走は外目をさばいて3着。ペース的にはハマって不思議なく、今回は残念。だが、1400mのハイペースなら巻き返す可能性はある。


2022年阪神Cのレース展開,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。

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