序盤600m35.4
レパードSは今年で14回目。今年は過去13回に劣らないタフな競馬になった。その目安が前半600m。今年は35.4と序盤の入りが速かった。過去13回で前半600mが35.5を下回ったのは3回。10年ミラクルレジェンド、11年ボレアス、19年ハヤヤッコ。最速は19年の34.6。この年は今も快速でならすハヤブサナンデクンが飛ばした。35.4は10年と同じ。芝内回りのさらに内側にあるダートはコーナーがきつく、圧倒的に先行有利。しかし序盤から突っ込んで入り、35.5を切ると、差し追い込みの台頭を招く。今年勝ったのはカフジオクタゴン。前走2勝クラスを阪神ダート2000mで勝ちあがった持久力型だ。
もっともタフな流れを制したハヤヤッコは今年、道悪で消耗戦になった函館記念を勝利。カフジオクタゴンも父はモーリス、ダート専用とは限らない。そのスタミナの源は血統表にある。母メジロマリアンの父は6月にこの世を去ったメジロベイリー。メジロ牧場最後のGⅠ馬だ。カフジオクタゴンの祖母にあたるメジロサンドラは芝2500m以上で活躍、その父はメジロ牧場を代表する往年の名ステイヤーメジロマックイーン。当然、カフジオクタゴンの血統表にはメジロティターン、メジロアサマの名がある。
さらに父モーリスもメジロの血を継ぐ。母メジロフランシスの母メジロモントレーは重賞4勝。このうち3勝は牡馬相手の中距離戦。90年アルゼンチン共和国杯勝ち。以降、このレースでは牝馬の優勝馬は出ていない。アルゼンチン共和国杯はモーリスの父スクリーンヒーローが08年格上挑戦で制したレース。カフジオクタゴンはレパードSでそのスタミナを証明。残り400m12.6-12.6と力をふり絞る場面でのタイセイドレフォンとの競り合いで見せた強さは見事。血のなせる業だった。
これが来日2勝目にしてJRA重賞初制覇となったチャクイウ・ホー騎手。「ダートはちょっと」なんて初勝利時にコメントしていたが、早くも対応した。スタミナを削がれる流れを前半は内目でやり過ごし、勝負所で強引に動いた。カフジオクタゴンはスタミナ型の分、エンジンのかかりが遅い。この強引さも手が合った。陣営の騎手手配も勝因だろう。