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【函館2歳S】前走逃げた馬より経験値の高い馬を重視 京大競馬研の本命はミスヨコハマ

函館2歳Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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前走逃げ馬は脆さが表れやすい 重要なのは我慢、根性

7月16日(土)に函館競馬場で函館2歳S(GⅢ)が行われる。インゼルレーシングの初出走初勝利を挙げたクリダームやダートで圧勝のオマツリオトコなど13頭が世代最初の重賞馬を目指して集結した。しかし、新馬戦や未勝利戦を勝ったばかりの馬同士の戦いで信頼できるデータが少ない。先週の執筆担当が大荒れのプロキオンSを◎▲で的中させた後ということで非常にプレッシャーがかかるが、今週も続いて高配当を狙っていきたい。


過去10年前走脚質別成績,ⒸSPAIA


まずは過去10年の前走脚質別成績を調べた。基本的には前走逃げていた馬【3-4-3-48】か、先行していた馬【7-5-7-59】が上位を占める。前走中団より後ろで競馬した馬は2着1回のみ(2012年コスモシルバード)。これも前走が7頭立てのため後方扱いだが、5番手を追走していた。新馬、未勝利戦で差し競馬をした馬は前半のペースについて行けなかった可能性が高いため、重賞ではスピード不足になる。シンゼンイズモはまず消しで問題ないだろう。


過去10年前走逃げ馬脚質別成績,ⒸSPAIA


ただし前走逃げた馬については注意が必要だ。新馬か未勝利戦を逃げて勝ち上がっても、今回も逃げられるのは1頭だけ。様々な要因で前走とは違う競馬を強いられることになる。そこで前走逃げた馬についてさらに調査した。前走逃げた馬58頭中、函館2歳Sでも逃げを打てた馬は9頭。その上で逃げ切ったのは2014年アクティブミノル、2019年ビアンフェの2頭で、どちらも後に古馬重賞を逃げ切る逸材だった。

一方で残りの7頭は重賞での強い相手や速いペースに対応出来ず、全馬着外に敗れている。また逃げを打てなかった49頭中、4角4番手以内だったのは14頭と少ない。成績は【1-3-1-9】と悪くないが、唯一勝った2013年クリスマスは、他の出走馬が道営のハッピースプリント以外条件馬のまま引退しておりメンバー内で力が抜けていた。また、外を回すストレスフリーな競馬が出来ていたことも勝因と考えられる。これらはあくまで結果論で、今の時点で力関係を推し量ることは困難だ。

逃げ切りで連勝を決めたアクティブミノル、ビアンフェの例を参考に、勝てる逃げ馬の条件を調べた。2頭とも函館の芝1200mデビューで、勝利時は前半34秒台と、函館2歳戦の中では速めの流れを刻んでいた。特にビアンフェについては未勝利戦の勝ち上がりまでに先行策、イン突き、馬群からの抜けだし、競り合いという苦しい展開を一通り経験していた。

経験値の高さが重賞での勝利につながったことを踏まえると、今年もレースでの経験値が高く、速いペースを刻んだ逃げ馬を上位に取り、スローの逃げ、あるいは競り合いのない楽な逃げを打った馬は評価を落としたい。先行勢についてもハイペース経験のある馬を高く評価する。前走で逃げたスプレモフレイバー、ニーナブランド、ニシノシークレットの3頭は、前半3Fが35秒0以上というスローでの勝ち上がり。先行勢ではアスクドリームモア、オボロヅキヨ、オマツリオトコ、ブトンドール、ロッソランパンテは前半34秒台のハイペースを経験していない。


新馬負けはマイナスにならない 敗北から学んで逆襲だ

◎ミスヨコハマ
新馬戦はスローの流れを、4角で外に膨れるロスがありながら2着。ラスト11.3-11.4のレースラップで最後盛り返したことからこの馬自身は加速ラップを刻んだと推測でき、負けて強しの内容だ。2戦目は前半競り合ってハイペース。直線での手応えは微妙でも、競り勝つ根性を見せた。例年ハイペースになる当レースで既にハイペースを経験していることはプラス。今年は馬場が重くなると思われるが、稍重馬場の経験があることも強みで、前走通りの時計で勝ち負けになる。一度負けていることから人気薄濃厚だが、キャリア2戦の経験を活かして他馬をねじ伏せて欲しい。

◯ミシェラドラータ
ゲートで後手を踏んだ新馬戦では馬群を割る苦しい経験を積んだ。勝ったクリダームは楽な競馬をしていたことから経験としてはこちらの方が上と考える。未勝利戦は外からねじ伏せる横綱相撲。逃げずに我慢を覚えた経験が生きるだろう。こちらも前走は稍重で、雨予報は歓迎。

▲クリダーム
新馬戦は行きたい馬を行かせて2番手。スタートが上手く、直線の手応えも楽でまだ底を見せていない。しかし多頭数で競り合ったときに粘れるかは未知数。武豊騎手騎乗で過剰人気になりそう。

△スプレモフレイバー
前走は逃げて快勝も楽な競馬。脆さを抱えるが末脚を使えている。

×ゴキゲンサン
6月18日の函館新馬戦を勝利したが、同日メインの勝ち時計と2秒4差があってまだスピード不足かも。しかし競馬センスは高い。

オマツリオトコは鞍上や前走の勝ちっぷりから人気しそうだが、函館ダート1000mからの臨戦で馬券になったのは2020年2着のルーチェドーロのみ。ルーチェドーロは芝重賞馬を出しているマクフィ産駒だが、オマツリオトコはヴィットリオドーロ産駒で完全なダート血統。芝での好走は無理があると考える。

馬券はミスヨコハマとミシェラドラータの単勝、◎◯をそれぞれ1頭軸にした馬連7点と三連複5頭ボックス10点で勝負する。締め切りまでミスヨコハマの強さが皆にばれないことを祈る。(文:福山)

函館2歳S 予想印
◎ミスヨコハマ
◯ミシェラドラータ
▲クリダーム
△スプレモフレイバー
×ゴキゲンサン

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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