キャリア上位馬のワンツー
翌日の東京芝2400mを舞台に春のクラシック戦線がひと段落を迎えるかたわら、短距離に専念した3歳馬たちにとっても、この葵ステークスで春の戦いが一つのピリオドとなる。
人気順の予想すら難解だった大混戦、終わってみれば勝ったのは1番人気のウインマーベル。それも2馬身半差の快勝であった。
短距離重賞らしい逃げ馬多数のメンバー構成。内からウラカワノキセキが主張するも、それを制してトップキャストが先頭に。600m通過33.2秒は、馬場の違いこそあれ同コース・高松宮記念の33.4秒よりも速い。先行勢にはツラい展開だった。
反面、こうなっても外を回しての大味な差しはそうそう届かないのが中京芝1200mの特徴。3~4角が下り坂、角度的にもキツいため、ここで外を回すロスは見た目以上に大きい。引き合いに出した高松宮記念も、ナランフレグは内枠から馬群を捌いての差し切り。葵Sも勝負は内目、中団で脚を溜めたグループに限られた。
ウインマーベルは4枠7番から内の8番手。4コーナー出口で進路がキレイに開いて、あとは追い出すだけのスムーズな競馬ぶり。鞍上の好騎乗、展開が向いた、枠順がよかった、という見方もできるが、それを可能にしたのはこの馬の操縦性の高さ。昨年の6月にデビューし、出走メンバー中最多10戦のキャリアの中で、先行、差しなど様々なパターンの競馬を経験したことが存分に生きた。経験値の違いを見せつけた勝利だ。
2着コムストックロードも内枠、勝ち馬の後ろからしぶとく脚を伸ばしてきた。こちらも2歳6月のデビューで、キャリア8戦は出走メンバー中2位タイだった。
混戦だからこそ枠順と展開がモノを言い、そしてそれを味方につけられる操縦性、経験値が勝負を分けたといっていい。