厳しい距離延長組
5月8日(日)に東京競馬場で行われるNHKマイルC(GⅠ・芝1600m)。今年は朝日杯FS2着馬セリフォス、アーリントンC1着馬ダノンスコーピオン、藤田晋オーナーの所有馬ジャングロ、ジュニアCを勝ったインダストリアなど錚々たるメンバーが揃った。過去のレース傾向などを踏まえて予想していきたい。

まず、過去10年のNHKマイルCについて前走距離別成績を調べた。距離短縮組は【3-5-4-32】で勝率6.8%、連対率18.2%、複勝率27.3%、同距離組は【6-3-5-83】で、勝率6.2%、連対率9.3%、複勝率14.4%、距離延長組は【1-2-1-35】で勝率2.6%、連対率7.7%、複勝率10.3%となっている。
このような傾向が見られる理由として、距離短縮組はクラシックトライアルなどのレベルの高いレースからここに臨んでいることなどが考えられる。複勝率に関しては目を見張る数字を記録していることからも、高く評価すべきだろう。逆に距離延長組は全ての率で最も低い値となっており、評価を下げたい。今回人気を集めそうな馬の中ではプルパレイが距離延長組に該当。慎重に取り扱いたい。
前走1着は安泰ではない

次に前走着順別成績について調べた。前走1着馬は【2-3-0-41】で勝率4.3%、連対率10.9%、複勝率10.9%、前走2着馬は【3-2-3-19】で、勝率11.1%、連対率18.5%、複勝率29.6%、前走3着馬は【0-0-2-17】で複勝率10.5%、前走4着以下は【5-5-5-72】で勝率5.7%、連対率11.5%、複勝率17.2%となっている。前走2着馬の好走率がもっとも高い。
また、他のレースでは軽視されがちな前走馬券外の馬もこのレースでは注意しておくべきだ。一方、前走1着馬は低い数字となっていて、前走勝っているから高評価、とすべきではない。
好走条件を満たすセリフォス
◎セリフォス
前走は朝日杯FS2着。内容的に決してスムーズではなかったが、先行した馬の中で唯一掲示板内に残り、力を証明した。前々走デイリー杯2歳Sではラスト2F目で10秒台のラップを記録していることからも、キレに関しては出走馬の中ではかなり上位。スタートの上手い福永祐一騎手でもあり、先行できる可能性が高いのもプラス。調教や、テン乗り、休み明けなどを考慮すると気性面での心配はあるが、ここは本命にしたい。
◯タイセイディバイン
アーリントンCでは早めに抜け出し、一時先頭に立ったが惜しくも2着に敗れた。好位から風の影響を受けながらも上がり3位を記録しており、キレの面でも十分通用する。年明け使いすぎているのはマイナスだが、状態面自体で特に心配するような点はないので、本来の走りが出来れば馬券内は十分狙える。
▲ダノンスコーピオン
同じ東京コースで行われた共同通信杯は敗れたものの、これは状態面の問題なので度外視。末脚に関しては確かなものがあり、本来、直線の長い東京コースはプラスだろう。前走を叩いて状態面も上がっているはずなので十分勝負になる。しかし、ズブい所があるので、勝ち切れるかと言われると難しいか。前走1着というデータに若干の心配があり、大外枠もプラスではない。
△ダンテスヴュー
皐月賞からの短縮組。皐月賞は10着に敗れているが、不向きな右回り、小回りながら3着馬と0.5秒差の走りは大健闘の部類。前述の通り前走馬券外から巻き返している馬は多いのでデータ上も問題ない。マイル自体は初挑戦だが、大箱の左回りになるので変わり身には期待できる。新馬戦では33秒1の上がりも使えていることから、位置取りは前後どちらでも良い。人気もあまりないので、ここは狙い目。
×アル―リングウェイ
前走は不利を受けながら0.2秒差の2着、万両賞ではマテンロウオリオンとクビ差の2着と、今回出走する馬とも十分張り合える。
×インダストリア
こちらも前走は不利を受けながら0.3秒差の5着と健闘。また、距離短縮も好走傾向にあるのでその点もプラス。鞍上で過剰人気しそうな点はマイナスだが力はある。
買い目は◎から◯▲△×への馬連、◯△×のワイドBOXで勝負する。あと一月もすれば新馬戦が始まると考えると、時間の経過に驚かされます。(文:國井)
▽NHKマイルC予想印▽
◎セリフォス
◯タイセイディバイン
▲ダノンスコーピオン
△ダンテスヴュー
×アルーリングウェイ
×インダストリア
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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