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【NHKマイルC】波乱パターンから見つけた穴馬候補4頭 ポイントは別路線組と上がり特化型

2022 5/5 17:00佐藤永記
NHKマイルC過去10年の時計傾向,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

3年前から総合力が問われるレースに変貌

NHKマイルC過去10年の時計傾向,ⒸSPAIA


NHKマイルCは近年どんどん前半のペースが上がっている。過去10年すべて良馬場であるため比較もしやすく、2012年から2018年まではスタート後2F目のラップが10.7から11.1。しかし、2019年から昨年までの3年間は10.4、10.4、10.2、平均で0.6秒も速くなっている。それでいて上がり3Fはそれほど変わっておらず、その分レースタイムは高速化。芝質の向上が背景にあるにせよ、1600mを淀みなく走り切る実力がより求めらる舞台と変わった。

そのため「一瞬の脚」とか「逃げて消耗戦待ち」といった奇策が決まりにくくなっている。現に直近3年の連対馬はアドマイヤマーズ、ケイデンスコール、ラウダシオン、レシステンシア、シュネルマイスター、ソングラインとその後も一定以上の活躍をしている馬たちばかり。フロックで好走した馬は1頭もいない。

だが、それでいて配当はそこそこつく。昨年2着のソングラインは7番人気、一昨年勝ち馬ラウダシオンは9番人気、3年前の2着馬ケイデンスコールは14番人気。連対馬に軒並み上位人気ではない馬が割り込んでいる。

なぜなら、クラシック路線ではなくマイル路線を選んだ3歳馬たちの力関係がはっきりしていないため、ファンの評価と実力が比例していない時期だからだ。だかこそ馬券的に楽しめるG1でもある。

というわけで狙いたいのは、そういった「隠れた実力馬」たちだ。人気上位馬たちの評価は他に任せて、馬券に1頭は絡んできそうな穴馬を探していこうではないか。過去3年の穴馬と同タイプをそれぞれピックアップしていく。

3年前の上がり特化型で狙えるステルナティーア

2019年のNHKマイルCで2着だった14番人気ケイデンスコール、レースは4角14番手から上がり最速33.6で1/2馬身差の2着に追い込んできた。同馬は新潟2歳Sを33.1の上がり最速で勝利後、朝日杯13着、毎日杯4着という成績で人気を落としていたが、朝日杯を除いて常に33秒台の上がり最速を叩き出しており「追い込みが決まる状況なら一撃ある」を常に示していた馬だ。

正直、今年一番コレに該当するのは人気馬セリフォスだが、穴馬候補を探す視点でいけばステルナティーアになる。直近2走はいずれもレース中に接触があったため、凡走はやむなしといったところ。スムーズに走れたときに速い上がりを使えることは新馬の上がり3F32.7や、サウジアラビアRCの33.4が証明している。

もう1頭気になるのがマテンロウオリオンだ。万両賞で4角11番手から33.4で追い込んで勝ったのは評価できる。ニュージーランドTでも4角7番手から逃げたジャングロをアタマ差まで詰めていたが、ニュージーランドTよりペースが上がりそうな今回ならより好走が期待できるだろう。

2年前ラウダシオンは例外の暴風走路で

2年前、9番人気のラウダシオンが勝ったレースを憶えているだろうか。当日の東京はボートレースでいえば暴風水面。同日、東京競馬場の隣で開催されていたボートレース多摩川の同時刻に行われた10Rの風速は南西7mの発表。ちなみにそちらは暴風によってスタートが揃わず、最速スタートでも.21、.50でスタートした選手もいたほど。

その日はとにかく東京競馬場でも強い風が吹いており、最後の直線は映像でわかるくらい風が芝を向かい風で煽っていた。勝ったのは4角2番手のラウダシオン、2着は逃げたレシステンシア、3着は4角5番手のギルデッドミラー、4着は4角3番手のタイセイビジョンだった。明らかに風の影響を受けており、後ろにいた馬はノーチャンスだった。

そんな走路になったら行く馬を探せというのは、もはやNHKマイルCの傾向というより、強風走路全体の話になる。今回このパターンで取り上げるとすれば、逃げ馬が少ないためジャングロということになるが、さすがに同様の風が吹かぬ限り、ここでは推奨できない。

昨年は別路線一発型、牝馬を狙え

昨年7番人気で2着だったソングラインは桜花賞15着からの別路線組。桜花賞前までは未勝利、紅梅Sを連勝と底を見せていない馬だった。つまり初G1で大敗したものの、そこまでの内容がよく、一変の可能性を残していた。まさに今回のテーマ「ファンの評価と実力が比例していない馬」。そのものといった感じだ。

似たローテの馬にはフォラブリューテがいるが、3走前のアルテミスS5着が気になる。休み明けとはいえ東京芝1600mで一度しっかり負けていてソングラインとの違いはあるが、休み明けという言い訳は一応できる。

それであればソネットフレーズのほうが魅力的だろう。2戦しかしていないが、前走のデイリー杯2歳Sでセリフォスのクビ差2着。最後の直線、少頭数ながら前を走る馬とコースが被りつづけ、追い出しが少し遅れていたことを考えると、セリフォスとの差はほとんどない。

というわけで当欄の推奨穴馬は4頭。ステルナティーア、マテンロウオリオン、フォラブリューテ、ソネットフレーズだ。これに人気だが3年前の型にあてはまるセリフォスを加え、5頭の馬連ボックスあたりを狙ってみたい。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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