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【2022年引退調教師(前編)】藤沢和雄、浅見秀一、田中清隆師の成績と活躍馬 「勝負レース」の気配も探る!

2022 2/1 11:00高橋楓
2022年2月で定年を迎える藤沢和雄師の成績と勝負レース,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

勝利数歴代2位!名伯楽「藤沢和雄」調教師

「卒業」というフレーズを聞くと桜が頭に浮かぶ方も多いだろう。私もその一人である。大学生時代から小田急線ユーザーであった私にとっては、バンド「いきものががり」のSAKURAが思い出深い。

春になり、電車に乗りながらふと窓から見える風景とイヤホンから聞こえてくる歌詞とで感慨にふける事がよくある。世の中がガラリ一変してから早2年超。今年はどんな思いで景色を眺める事になるのだろうか。

さて、競馬界は免許更新の関係で2月末が別れの季節。そこで、競馬界を支えてくれた7名の調教師の成績や主な活躍馬、そして馬券の狙い目を2週にわたって探っていきたい。

藤沢和雄 調教師 成績一覧(1951年9月22日うまれ),ⒸSPAIA


まずは1951年9月22日生まれの藤沢和雄調教師。JRA重賞126勝の名伯楽もあと1か月で定年となる。1988年3月のデビュー以降2022年1月28日までにJRAで積み重ねた成績は[1560-1168-942-5397]で、記録に残る中では歴代第2位の数字である。

現役のなかで第2位は国枝栄調教師の982勝、いかに突出しているかが分かる。勝率17.2%、連対率30.1%、複勝率40.5%と驚異的なハイアベレージを記録している。若かりし頃に英国の名門ギャビン・プリチャード・ゴードン厩舎のもとで競馬に対する哲学等の競馬理論を学び、帰国後は調教助手を経て調教師として独立開業。

キャリアハイは2001年[68-53-23-166]で全国リーディング第1位。ゼンノエルシドやスティンガーなどが活躍した年だった。

1995年から2004年までは全国調教師リーディングトップを守り続けた絶頂の時代でもあった。昨年以降は[35-46-27-190]と勝ち星の面では物足りなく見えるかもしれないが、いまだに複勝率36.2%を誇るのはお見事という言葉以外見つからない。

藤沢和雄 厩舎 主な活躍馬一覧,ⒸSPAIA


藤沢厩舎の活躍馬を紹介しようかと思ったが、多すぎて全てを並べることは出来なかったので、一部を主な勝鞍と共に振り返りたい。

シンコウラブリイ(1998年産・15戦10勝・93年 マイルCS)
バブルガムフェロー(1993年産・13戦7勝・96年 天皇賞(秋))
タイキシャトル(1994年産・13戦11勝・98年 ジャック・ル・マロワ賞)
レイデオロ(2014年産・17戦7勝・17年 日本ダービー)
グランアレグリア(2016年産・15戦9勝・20年 安田記念)

他にもタイキブリザードやゼンノロブロイ、シンボリクリスエスなど多くのGⅠ馬を輩出した。「馬の一生」を最優先に考える方針で、距離適性や性格などを考慮し、若い頃に無理使いをしない。そのためクラシックになかなか縁が無かったが、2017年にはソウルスターリングでオークス、レイデオロで日本ダービーと2週連続でビッグタイトル制覇を成し遂げた。

最後の1ヶ月間、馬券のポイントとして覚えておきたいのは「C.ルメール騎手騎乗時」は勝負気配という事だ。このコンビの時は2021年以降[24-33-12-51]で勝率20.0%、複勝率57.5%でハイアベレージ。

その他の騎手を起用した際には[11-13-15-139]で勝率6.2%、複勝率21.9%と差は一目瞭然だ。一昔前は岡部幸雄騎手とのコンビで[295-176-134-506]勝率26.6%、複勝率54.5%と競馬界を圧巻した藤沢厩舎。最後はC.ルメール騎手とのコンビを覚えておきたい。

父から受け継いだバトン!「浅見秀一」調教師

浅見秀一 調教師 成績一覧(1951年5月11日うまれ),ⒸSPAIA


続いてはJRA重賞27勝を誇る、1951年5月11日生まれの浅見秀一調教師。1992年3月のデビュー以降[665-680-684-5826]と安定した成績を残し続けた。

キャリアハイは2011年の[37-28-23-249]で全国リーディング14位。この年は1月にノーザンリバーが初勝利をあげ、2月にはアーリントンカップを制した。2021年以降も[27-22-16-303]と依然安定した成績を記録している。

浅見秀一 厩舎 主な活躍馬一覧,ⒸSPAIA


次に浅見秀一厩舎の歴代の活躍馬を振り返っていく。

メジロブライト(1994年産・25戦8勝・98年 天皇賞(春))
ヤマニンシュクル(2001年産・19戦4勝・03年 阪神JF)
ソングオブウインド(2003年産・11戦3勝・06年 菊花賞)
レジネッタ(2005年産・28戦4勝・08年 桜花賞)
レインボーライン(2013年産・22戦5勝・18年 天皇賞(春))

やはり1997年、春のクラシックをメジロブライトで賑わしたのが思い出される。父である浅見国一調教師の定年により、息子の秀一厩舎へ転厩。デビューしてすぐにクラシックの有力候補を厩舎の大黒柱として預かるのが、どれほどのプレッシャーだったか想像もできない。皐月賞、日本ダービーともに1番人気ながらサニーブライアンに届かず惜敗。父メジロライアンの姿と重ね合わせたファンも多かっただろう。

その後、1998年の天皇賞(春)で悲願のGⅠ制覇を果たした。個人的には12番人気を覆し、小牧太騎手へ涙のJRA初GⅠ制覇をプレゼントした2008年レジネッタの桜花賞や、驚異の末脚を披露したソングオブウインドの2006年菊花賞も忘れられない。

最後の1ヶ月間、馬券のポイントとして覚えておきたいのは、厩舎所属の鮫島克駿騎手とのコンビだ。2021年以降[6-4-3-40]で一番多くの勝ち星をもたらしており、単勝回収率126%となっている。また、障害レースなら中村将之騎手騎乗の際に[3-2-3-19]複勝率29.6%と好成績だ。

3年の時を超えたホッカイルソー!「田中清隆」調教師

田中清隆 調教師 成績一覧(1951年12月16日うまれ),ⒸSPAIA


3人目は1951年12月16日生まれの田中清隆調教師。1990年に騎手から調教師に転身し7月に管理馬が初出走して以降、JRA重賞は22勝。[493-498-509-4941]複勝率23.3%と安定した成績を残した。

キャリアハイは[33-27-32-119]を記録した1995年で全国リーディングは8位。この年は後に紹介するホッカイルソーやグルメフロンティアが勝利をあげ、アンバーユーが未勝利から4勝をあげ一気にオープンクラスまで出世した。

田中清隆 厩舎 主な活躍馬一覧,ⒸSPAIA


次に田中清隆厩舎の主な活躍馬を振り返りたい。

グルメフロンティア(1992年産・38戦9勝・98年 フェブラリーS)
ホッカイルソー(1992年産・28戦5勝・99年 オールカマー)
シンコウウインディ(1993年産・17戦5勝・97年 フェブラリーS)
レディパステル(1998年産・21戦6勝・01年 オークス)
ホエールキャプチャ(2008年産・30戦7勝・12年 ヴィクトリアマイル)

やはりフェブラリーSを1997年シンコウウインディ、1998年グルメフロンティアで連覇した点が目にとまるが、個人的にはホッカイルソーの復活劇が印象深い。サンデーサイレンス旋風が猛威を振るう1995年のクラシックシーズン、皐月賞でジェニュインの4着、日本ダービーはタヤスツヨシの4着。菊花賞ではマヤノトップガンの3着と常に世代の上位にいた本馬。

その後、当時の私の常識では考えられなかった3年の休養を挟み、復帰後の1999年オールカマーをレコード制覇した時には、関係者の皆様の我慢強さに驚いた思い出がある。

最後の1ヶ月間、馬券のポイントとして覚えておきたいのは横山武史騎手、大野拓弥騎手が騎乗した場合が勝負気配という事だ。

横山武史騎手はデビュー以降、田中清隆厩舎の馬に騎乗した場合、平均9.0番人気ながら[3-1-1-7]で複勝率41.7%と好成績を残している。大野拓弥騎手の場合、近5年間の成績[4-5-4-35]で、引退した蛯名正義騎手を除くと勝ち星は第1位。この2人とのコンビの際は是非狙ってみたい。

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレース、競輪の記事を中心に執筆している。

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