「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【AJCC】復活、キングオブコージ! 各馬の適性浮き彫りになった後半1000mロングスパート合戦

2022 1/24 10:26勝木淳
2022年アメリカジョッキークラブカップのレース展開,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

中山特有のロングスパート型

昨年12月から開催が続く中山。この期間中の芝は、土曜日は週中の雨が残りやや重でも、開催中に雨はなし。基本的に回復傾向で開催が進み、1月の中山としては状態がよかった。実質連続開催の最終日にあるAJCCは2200mという距離以上のタフさが必要。芝の状態が良好だった今年はそこまでではないという向きもあったが、展開が厳しく、やはり最後にタフさを要求された。

逃げたのは船橋のキャッスルトップ。はじめての芝、GⅡという高いハードルながら、JDDと同じく逃げ戦法で自身の競馬を表現。ダンビュライト、ソッサスブレイを従え、前半1000m1.01.2のゆったりとした流れを演出した。このまま進められればというところだったが、残り1000m標識通過後からダンビュライト、ソッサスブレイにじわりと迫られ、抵抗できなかった。背後にいたオーソクレースも一緒に動いたため、レースは後半1000mのロングスパート型へと変貌。そのラップは11.9-11.8-11.8-11.7-12.2。3コーナー手前からじわじわと上昇するラップのなか、徐々に脱落する馬が現れる過酷なレースだった。

こうなれば前半で脚を溜め、徐々に加速できる器用さと折り合いのよさが求められる。勝ったキングオブコージはまさにそういったタイプ。今回は伸びあがり気味にゲートを出たこともあり、序盤は後方待機。中日新聞杯ではリズムを乱したが、出遅れもあって、見事に修正できた。4歳春に4連勝で目黒記念を勝った素質馬。飛躍のきっかけは横山典弘騎手への乗り替わりと中山コースでつかんだ。

目黒記念勝利後、中山に出走したのは、長期休養明けだった昨年オールカマー以来2度目。状態を取り戻しての出走、やはり中山芝2200mではこのぐらい走って不思議はない。とにかく気分よく走らせる、横山典弘騎手のテーマはどんなレースでもそこにある。そういった意味で、キングオブコージは最後まで馬群に入ることなく、最高の気分で走れた。父ロードカナロアの器用さと母の父ガリレオ、その父サドラーズウェルズのスタミナ色がマッチし、父の産駒にしては長めの距離に適性がある。今後もバテない強みが活きる、根性を試される競馬になれば、まだまだ戦える。

凡走でも見直したい、ポタジェとオーソクレース

2着は11番人気マイネルファンロン。キングオブコージの直前に位置し、こちらもじわじわ上昇するラップに合わせるような理想的なスパート。抜け出すタイミングも絶妙で、一発あったかと思わせた。相手が悪かったとしか言いようがない。

外枠、開催後半の適度に荒れた馬場という好走パターンさえそろえば力を出せる。今年7歳、ステイゴールド最終世代の代表は父同様、本当にタフな馬だ。合わない条件で凡走、人気が落ちたころに好走パターンに一致、そのときを狙いたい。

3着4番人気ボッケリーニは全兄ラブリーデイに似たタイプで、パワー優先の小回りを苦にしない。同馬主のポタジェと混同しがちだが、適性は真逆で、AJCCはボッケリーニ向きの舞台だった。先行勢で唯一残り、それも荒れたインを攻めての結果だけに評価を落としたくない。上記のように徐々に加速する厳しいラップにあえて付き合わず、勝負所で待ったことが好走要因。横山武史騎手の仕掛けのタイミングを察知する嗅覚が光った。

4着7番人気アサマノイタズラは有馬記念以来の強行軍で好走。セントライト記念と同舞台、似た流れになったこともよかったものの、古馬相手だと現状、勝ち切るのは難しそうだ。もう一歩前で競馬できるようなりたい。そこは成長待ちだろう。

5着ポタジェはボッケリーニと反対に広いコース向き。流れには乗れたものの、小出しに脚を使うコースだと、どうしても手応えほど最後に弾けない。直線の走りを見る限り、やはり左回りがいい。

1番人気オーソクレースは6着。先行馬には厳しいロングスパート型のラップのなか、先に動いて一旦先頭。1番人気だけに積極的に動くのは仕方ない。その分、早めに末脚を削られてしまった。ひと言でいえば流れが向かなかった。キングオブコージやマイネルファンロンとは適性が異なり、一緒に好走するタイプではない。ただ、この結果を見る限り、そういった条件次第でないと好走できない。つまり、舞台を選ばずといえるほどの強さはない。ちょっと過剰人気なところは今後も注意したい。


2022年アメリカジョッキークラブカップのレース結果インフォグラフィック,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。



《関連記事》
【根岸S】主役は7歳ソリストサンダー! 前走OP組5歳勢の大駆けに注意
【シルクロードS】狙いは「スピード型」より「パワー型」  穴はシャインガーネット、エーポス
3連単の最高額は2073万8890円 2021年中央競馬の高額配当ランキング

おすすめの記事