1番人気堅調、5、6歳優勢、大型馬、マイナス
冬の東京開催といえば最終週にあるGⅠ開幕戦フェブラリーS。その開催開幕週といえば前哨戦根岸Sだ。舞台はダート1400m。本番のダート1600mとはたった200mの違いながら、血統など好走傾向が大きく異なる。よりダートっぽい馬が走る1400m、芝っぽい馬もこなす1600m。ざっくりとそんなとらえ方もできる。だからこそ、根岸Sはつながらないというイメージもある。
ところが、16年から6年連続で根岸S組から本番3着以内が出現しており、いまや直結レースといっていい。本番に向けて馬券を買う側もしっかりここを当てておきたい。ここでは過去10年間のデータをもとに根岸S好走パターンについて探っていく。
まずは馬券傾向を人気別成績から。1番人気は【4-3-0-3】勝率40%、複勝率70%と堅調。この10年で勝った馬4頭、飛んだのは3頭。人気を比較的信頼していい。一方、2番人気は【1-1-2-6】勝率10%、複勝率40%とちょっと苦しく、3番人気【1-2-0-7】勝率10%、複勝率30%と合わせ、1番人気ほどの信頼度がない。
裏を返せば1番人気以外は横一線で、4番人気【2-0-1-7】勝率20%、複勝率30%など6番人気以内はチャンス十分。人気薄は10番人気以下【0-1-3-63】複勝率6.0%で、3着に入ってくる可能性は残る。
年齢別成績をみると、4歳【2-2-0-9】勝率15.4%、複勝率30.8%、5歳【3-3-1-22】勝率10.3%、複勝率24.1%で、頭数は少ないが若い組の成績がいい。ただ、今年、4歳はクロパラントゥがバレンタインSと両にらみで出走微妙。狙うなら5歳だろう。もちろん、頭数が多い6歳も【4-2-4-35】勝率8.9%、複勝率22.2%と好走馬を出すので、今年は5、6歳中心と考えたい。
ダート重賞で馬体重成績を出すと、たいていは大型馬優勢という結果になるのだが、根岸Sはちょっと違う。好走ゾーンは480~498キロ【5-3-2-29】勝率12.8%、複勝率25.6%より小さい組に広がる。500キロ以上も【2-7-6-79】勝率2.1%、複勝率16%と来るには来るが、頭数のわりに少ない印象で、しかも2勝と勝ちきれない。
これは東京ダートが他場のダートとは異質であることの証拠。コース形態から冬でもスピード優先の傾向が強く、なかでも1400mはスピード重視。前開催の中山ダートは乾燥すると大型馬優先だったが、東京では逆転する傾向がある。根岸S以外でもこの時期、多く組まれるダート戦で役立てたい。
伏兵は5歳フルデプスリーダー、スリーグランド
1番人気信頼、5、6歳中心、500キロ未満に注意という傾向をつかんだところで、ここからは年齢別に前走成績について考えてみよう。
まずは5歳の前走クラス別成績。今年の出走馬の顔ぶれから前走オープン【1-2-1-10】勝率7.1%、複勝率28.6%に注目したい。オーロラテソーロ、フルデプスリーダー、スリーグランドらが該当する。
前走オープン組の距離別成績を出すと、1200m【0-0-0-4】、1400m【1-2-1-6】勝率10%、複勝率40%とくっきり。スピード優先とはいえ、距離延長組はレース全体でも【2-2-1-44】勝率4.1%、複勝率10.2%と冴えない。オーロラテソーロには厳しいデータだ。
5歳前走オープン1400m組は1着だった馬が【0-1-0-2】、前走2着だと【0-1-1-1】、同3着は【1-0-0-1】と好走が条件。フルデプスリーダー(前走霜月S2着、488キロ)、スリーグランド(前走すばるS3着、478キロ)はサイズも問題なく、有力だろう。
6歳は前走GⅠ【2-1-3-5】勝率18.2%、複勝率54.5%が狙いだが、今年は不在。オメガレインボーは前走GⅢ【1-1-0-10】勝率8.3%、複勝率16.7%に該当。前走カペラSは【0-1-0-5】、14年8番人気2着ノーザンリバーがカペラS2着から連続好走したのみ。やはり距離延長は厳しい。それでもオメガレインボーは前走カペラS3着。ノーザンリバーと重なるところはある。昨秋武蔵野Sでは勢いよく外を伸びたが、ゴール前で甘くなった。1600mより1400mベストの可能性はある。
またもう一頭タガノビューティーは前走ギャラクシーS3着。前走オープンは【1-0-1-17】勝率5.3%、複勝率10.5%。その距離が1400mだと【1-0-0-10】。12年4番人気1着シルクフォーチュンは前走ギャラクシーS3着から巻き返した。タガノビューティーとは同じ臨戦過程。こちらも1600mも悪くないが、ベストは1400m。本番より根岸Sでこそというタイプだ。
最後に7歳以上のデータを見る。武蔵野S1着から東京に絞ったローテで挑むソリストサンダーがいる。前走GⅢは【1-1-3-29】勝率2.9%、複勝率14.7%。前走が武蔵野Sだと【1-1-1-2】勝率20%、複勝率60%とハイアベレージ。昨年は8歳ワンダーリーデルが10番人気2着だった。
ただ武蔵野Sを勝ち、ここまで待機した馬は、01年根岸Sが現行条件になってから年齢を問わずゼロ。過去10年、武蔵野Sで中団より後ろから差してきた馬は全馬当てはまる【1-1-1-2】。4角7番手から差し切ったソリストサンダーは東京向きの瞬発力としぶとさを持ちあわせており、ここでも主役候補だ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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