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【22年注目騎手(関東編)】昨年大躍進! 横山和生、菅原明良の買い時を徹底分析

2022 1/19 06:00勝木淳
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22年注目若手騎手

関東で注目騎手といえば、なんといっても横山武史騎手だ。GⅠ・5勝、うち八大競走4勝、JRA年間104勝、年末最終レースでJRA通算300勝達成など華のある活躍ぶりは競馬界の未来とも表現された。ただ、もう武史騎手は競馬界の顔。いまさら当方で注目騎手にあげるわけにはいかない。

そこで今回、22年注目騎手の関東編では「横山和生騎手」と「菅原明良騎手」を取り上げる。ふたりとも昨年勝ち星を倍以上伸ばし、確変モード。横山武史騎手が引っ張りだこになるだろう今年はこのふたりに注目したい。

横山和生 21年JRA79勝(全国10位関東4位)

デビュー12年目。21年はJRA79勝。昨年までの5年間は10、9、17、30、79勝だから、21年は大きく花開いた一年だった。父・典弘騎手や弟・武史騎手に比べられてしまい、ちょっと気の毒な存在だったが、この1年でそんなイメージをすっかり拭い去った。武史騎手とリーディングを争う日も近いのではなかろうか。

調教師別成績,ⒸSPAIA


21年の調教師別成績が飛躍を物語る。安田隆行厩舎【10-10-6-37】勝率15.9%、複勝率41.3%、安田翔伍厩舎【6-5-9-37】勝率10.5%、複勝率35.1%、昆貢厩舎【5-0-6-23】勝率14.7%、複勝率32.4%、長谷川浩大厩舎【4-0-1-3】勝率50.0%、複勝率62.5%と関西からの依頼が目立つ。

安田隆、安田翔はいずれも昨年冬の小倉での成績が目立つ。和生騎手ブレイクのきっかけは冬の小倉と夏の北海道。冬は栗東滞在で小倉に参戦した。ここで関西馬に騎乗し、勝ち星を稼ぎ、関係者からの信頼を得た。オメガレインボー(武蔵野S3着)も初騎乗は冬の小倉開幕週の門司S7着。前走カペラSでは同日の阪神JF騎乗のため、岩田康誠騎手に乗り替わったが、今後も注目したい。その阪神JFも関西馬のダークペイジに騎乗。21年は着実に関西での株をあげた。

競馬場別成績,ⒸSPAIA


冬と夏にチャンスをつかんだ形跡は競馬場別成績にもくっきり。札幌【14-4-10-48】勝率18.4%、複勝率36.8%、小倉【11-6-10-57】勝率13.1%、複勝率32.1%。ほかは新潟【11-4-8-54】勝率14.3%、複勝率29.9%と第3場開催できっちり実績をつんだ。

関東主場は東京【7-3-4-33】勝率14.9%、複勝率29.8%に対して中山【19-13-12-123】勝率11.4%、複勝率26.3%。東京の騎乗数が少ないのは、関東ローカルと開催が重なるからだろう。春も秋も東京連続開催の裏は福島と新潟。中山は小倉と中京。冬こそ小倉に行った和生騎手だが、昨年の優先順位は関東ローカル、関東主場の順。その証拠に中京は【1-0-1-4】、5月に2日騎乗したのみだった。さて、今年は関東主場にシフトするのかどうか。

コース別成績,ⒸSPAIA


コース別成績でみると、着度数別の好成績はダート戦が目立つ(79勝中ダート43勝)。函館ダ1700m、小倉ダ1700m、札幌ダ1700mと上位にはローカルの中距離戦が並ぶ。というところから、昨年も好成績だった中山ダ1200m【7-2-2-32】勝率16.3%、複勝率25.6%以外に中山ダ1800m【3-5-3-31】勝率7.1%、複勝率26.2%も今年は成績をあげてきそうだ。と書いていたら、1/9ポルックスSを安田隆行厩舎のダノンスプレンダーで勝利した。先行して馬の気を抜かせずに走らせ、最後まで粘らせるという味な競馬だった。

ダート・前走着順別成績,ⒸSPAIA


和生騎手のダート戦での狙いどころを探るべく、騎乗馬の前走着順別成績をみる。当然、前走1、2着もいいが、狙うなら前走3着【9-2-2-8】勝率42.9%、複勝率61.9%、4着【9-4-0-14】勝率33.3%、複勝率48.1%。それぞれ単複回収値は前走3着211、119、前走4着212、99。惜敗馬での巻き返しが多く、和生騎手のダート戦は前走着順の確認を怠ってはいけない。

横山和生の買い条件,ⒸSPAIA


菅原明良 21年JRA75勝(全国11位、関東5位)

関東若手の急上昇といえば菅原明良騎手もいる。昨年は860鞍に騎乗。これは全国4位、関東トップの記録。デビューから3年は31、30、75勝。昨年は東京新聞杯カラテで重賞初V、7月に減量特典が外れ、その後も勢いが衰えず、勝ち星を前年の倍以上に増やした。未来の関東を背負う存在。その傾向をしっかりつかみたい。

芝・ダート別成績,ⒸSPAIA


75勝の内訳は芝46勝、ダート29勝。こちらは芝で強い。勝率は芝10.7%、ダート6.8%、芝の単勝回収値112は、芝300騎乗以上だと関東トップ(全国3位)。頼りになる男だ。

コース別成績,ⒸSPAIA


菅原明良騎手のコース別成績から芝に注目すると、新潟芝1800m【5-1-4-14】勝率20.8%、複勝率41.7%、同1600m【4-5-0-10】勝率21.1%、複勝率47.4%、中山芝2000m【4-2-3-14】勝率17.4%、複勝率39.1%。芝に限定すると、上位はマイル以上。以後は新潟芝1000m、同1200mと新潟コースが得意。今後は騎乗回数が増える東京や中山の関東主場での成績が課題になる。

芝・位置取り別成績,ⒸSPAIA


中央場所での活躍を期待する菅原明良騎手、昨年のデータからさらに買い時を探ろう。位置取り別成績に顕著な傾向があった。逃げた場合【9-1-2-15】勝率33.3%、複勝率44.4%、先行【12-17-12-61】勝率11.8%、複勝率40.2%と好走確率が高い。中団は【21-13-16-142】勝率10.9%、複勝率26.0%。悪くはないが、逃げ、先行の複勝率を考えると、先行馬で狙いたい。

初重賞制覇の東京新聞杯カラテも先行抜け出し。若い騎手らしく果敢な攻めで活路を見出す。オニャンコポンの百日草特別(東京芝2000m)では外枠から外目の番手につけた。前に馬がいない難しいポジションでも馬のリズムを乱さず、一旦逃げ馬を行かせ、3、4コーナーでじわりとその差をつめつつ、後ろを離し、その差で粘り込んだ。若手らしからぬレースを支配しきった騎乗だった。芝の中距離戦で強気に攻められる馬に騎乗した際にはぜひ買い目に入れておきたい。

菅原明良の買い条件,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。



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