真ん中から外枠が好走ゾーン
中京に振り替えられた昨年のシンザン記念は、秋に古馬相手のGⅠを勝ったピクシーナイトが勝ち、2着ルークズネストはファルコンS、3着バスラットレオンはNZTを勝利。勝ち時計1.33.3は京都金杯と0.2差、前後半800m46.3-47.0とスピードの持続力が試されるハイレベル決着だった。
シンザン記念は施行条件を問わず、年によってこういった当たり年がある。02年タニノギムレット、07年ダイワスカーレット、11年オルフェーヴル、12年ジェンティルドンナ、18年アーモンドアイと名馬の宝庫だったりする。さすが戦後初の三冠馬シンザンの名を冠するだけに、時期としては難しいものの、底力のある馬が通過する。
さて、今年のシンザン記念はどうだろうか。2勝馬はソリタリオのみ、ほかは全馬1勝馬。ざっと見渡すと、レベルはそれほどでもという印象もあるが、昨年の1~3着馬も当時1勝馬。やってみなければわからない。ここでは改修後の12年以降・中京芝1600m、3歳限定、1勝クラス以上の15レースをもとに傾向を探ってみたい。
まず人気別成績から。1番人気は【5-3-1-6】勝率33.3%、複勝率60%とまずまず。また2番人気【2-2-4-7】勝率13.3%、複勝率53.3%、3番人気【3-1-6-5】勝率20%、複勝率66.7%と上位人気は比較的堅実。5番人気【3-1-1-10】勝率20%、複勝率33.3%、6番人気【0-1-0-14】複勝率6.7%とここに断層がある。8番人気【0-2-1-10】複勝率23.1%など複勝圏内に人気薄突入の可能性はあるものの、まずは上位人気から検討することをオススメする。
枠番別成績に大きな有利不利は見られないが、5枠【1-2-5-12】勝率5%、複勝率40%、6枠【4-3-3-12】勝率18.2%、複勝率45.5%、7枠【4-2-2-14】勝率18.2%、複勝率36.4%と真ん中から外目に好走ゾーンがみえる。ただ8枠は【1-1-0-20】勝率4.5%、複勝率9.1%と不振。
2コーナー奥のシュートから斜めにコーナーに突入するレイアウトだが、似たコースの中山芝1600mと比較すると、2コーナーへの進入角度が緩やかであり、外に大きく振られることがない。このあたりの事情が内側の馬の出方を見られる真ん中から外有利に影響。昨年も1、3着は7、6枠。逃げたピクシーナイトは発馬直後から福永祐一騎手が自身のスピードと内側の馬の脚色を冷静に判断、ハナを奪った。外枠から理想的な乗り方だった。
短縮組は大敗、同距離なら好走馬に注意
ここからは種牡馬成績と前走距離に注目し、具体的に登録馬から好走ゾーンに当てはまる馬を探っていきたい。
データ範囲での種牡馬着度数トップ5はダイワメジャー【3-0-2-8】勝率23.1%、複勝率38.5%(マテンロウオリオンが該当)、キングカメハメハ【2-1-0-3】勝率33.3%、複勝率50%(該当なし)、モーリス【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%(ソリタリオ)、ハーツクライ【1-1-0-3】勝率20%、複勝率40%(レッドベルアーム)、ロードカナロア【1-0-0-3】勝率25%、複勝率25%(ショウナンアメリア)の順。
ジャカランダのキズナは【0-1-2-2】複勝率60%。またシーズザデイ、ジャスティンヴェルのドゥラメンテは【0-0-0-3】。これはサンプル数が少なく、なんともいえない。
次は前走距離別成績について。前走同距離の1600m【6-6-12-58】勝率7.3%、複勝率29.3%も悪くないが、目立つのは前走1600m超の【6-5-2-19】勝率18.8%、複勝率40.6%。登録馬からアールチャレンジ、ビーアストニッシド、レッドベルアームが該当する。
前走1600m超組について、その着順別成績をみると、5着以内も【1-4-1-7】勝率7.7%、複勝率46.2%と悪くはないが、6~9着【3-0-1-8】勝率25%、複勝率33.3%、10着以下【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%と大敗からの巻き返しに注意したい。重賞掲示板以内のビーアストニッシド、レッドベルアームもいいが、野路菊S7着アールチャレンジも侮れない。
一方、前走1600m組の着順別成績を出すと、こちらは1着【2-2-5-15】勝率8.3%、複勝率37.5%、3着【2-1-2-3】勝率25%、複勝率62.5%、4着【1-0-2-3】勝率16.7%、複勝率50%、5着【1-0-1-3】勝率20%、複勝率40%と掲示板以内だった馬の成績がいい。6~9着【0-3-1-18】複勝率18.2%、10着以下【0-0-0-10】。距離短縮組とは違い、大敗からの巻き返しは難しい。前走1600m組からはカワキタレブリー、ソリタリオ、デルマグレムリン、ラスールを狙いたい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2005-2009 00年代後半戦』(星海社新書)。
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