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【ホープフルS】キラーアビリティ快勝、意識は春へ! 凡走組も皐月賞まで忘れてはいけない

2021 12/29 10:47勝木淳
2021年ホープフルSレース展開,ⒸSPAIA

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22年の飛躍を誓う開催

有馬記念から中1日。余韻に浸る暇もなくやってくるこの開催、ややおまけ感こそあるものの、コンセプトにブレはない。中心はヤングジョッキーズシリーズファイナルラウンドとホープフルS、この開催は未来へ向けての序章。22年に飛躍したい人馬たちのためのものである。まさに結果はそんなコンセプトにふさわしいものだった。

佐賀の飛田愛斗騎手が最終戦でマーキュリーセブンに騎乗し、大外から差し切り勝ち。ハイペースに強い馬だが、コーナーが多い中山ダート1800mでは追走が難しく、置かれ気味になり、東京ほど決め手を使えない。先行策で流れに乗せ、巧みなコーナリングで我慢させながら脚を貯め、最後に爆発させた。マーキュリーセブンを中山ダート1800mで勝たせたことが飛田愛斗騎手の達者ぶりを際立たせた。馬をコントロールする技術は舌を巻くばかりだった。第1戦を勝利、最終戦も見せ場たっぷりの金沢の魚住謙心騎手など地方競馬所属の若い騎手たちが中山で躍動した。

落差なし、平均ラップの激戦

ホープフルSは横山武史騎手騎乗のキラーアビリティが勝利。武史騎手はこれで今年JRAのGⅠ・5勝目。これはルメール騎手に並ぶ本年最多勝タイ。その5勝中4勝はいわゆる八大競走。デビュー5年目、23歳にしてもう半分勝ってしまった。かつての武豊騎手を彷彿させる活躍ぶりは、まさに競馬界の未来を背負う予感がある。さらに最終レースも勝利、JRA通算300勝を年内に決めた。まさにスキなし。来年はもっと武史騎手を味方につけたい。

皐月賞と同舞台の中山芝2000mは1コーナーの入りがポイント。ここをスムーズに通過しないと、キャリアの浅い2、3歳馬はリズムを乱し、位置取りが悪くなり、最後に大きく影響する。

1番人気コマンドラインの敗因はその1コーナーだった。ゲート内の駐立が悪く、スタートで後手、これまでより後ろの位置になった。いつでもどこからでも動けるポジショニングが身上のルメール騎手、ここだとインに閉じ込められると判断。1コーナーで外を狙うもフィデルと何度も接触、それが叶わなかった。もちろん、勝負の世界、やりたいようにやらせるわけにはいかない。結果的にコマンドラインはこの攻防でリズムを乱し、最後の直線でも進路がなかった。どうもエンジンのかかりが遅く、機動性に欠くところがある。来年の第一冠は同じ舞台。この課題をどう克服するだろうか。

勝ったキラーアビリティは同じディープインパクト産駒でも対照的。機動性があり、好位3番手。グランドラインがペースを落とさず、前半は12.6-11.3-12.0-12.2-12.0で1.00.1。平均ラップは12.02と2歳には厳しいものだった。後半1000mは12.0-12.2-12.2-11.7-12.4、1.00.5。イーブンペースになったことで、能力差がはっきりしたレース、決して軽い内容ではない。好位から先に抜け出し、後ろを離したキラーアビリティの1馬身半差は決定的で、来年の牡馬クラシック戦線ではドウデュース、イクイノックスとともに中心になる。小倉の未勝利戦でラスト600m12.2-11.8-10.8をぶっちぎった内容から瞬発力も申し分ない。

皐月賞の穴パターン

2着ジャスティンパレスもまたディープインパクト産駒。産駒12世代目は実質最終世代。来年もクラシック戦線はディープインパクト産駒中心だろうか。ジャスティンパレスは道中、折り合いに気をつかいながらの追走、最後の直線ではステッキに過剰に反応するなどかなり若さが目立ちながら2着。こちらも来年が楽しみだ。

3着ラーグルフはこのレースで結果が出ていなかった芙蓉S1着【0-0-0-3】から見事に好走。好位のインコースでしっかり流れに乗った。芙蓉Sは前後半1000m59.9-61.0とタイト。その経験がここでも生きた。渋いタイプではあるが、堅実に走りそうで、来年も目が離せない。

ホープフルSがGⅠ昇格後、その出走馬は皐月賞で連続好走中。17年4着サンリヴァルは皐月賞2着、18、19年はサートゥルナーリア、コントレイルが連勝、19年皐月賞3着ガロアクリークはホープフルS11着、20年4着タイトルホルダーは皐月賞2着だった。こう考えると、今年もホープフルS上位好走馬は当然ながら、ここに出走、敗退した馬のなかにも、翌春トライアルで権利獲得、本番で穴を提供というパターンもある。穴党もしっかりこのレースは押えておかなければいけない。

2021年阪神Cのレース結果,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2005-2009 00年代後半戦』(星海社新書)。

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