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【京都金杯】コース傾向徹底検証! 浮上するのは左回り得意のザダル

2021 12/28 17:00勝木淳
京都金杯インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

9年で高額条件たった17、改めて中京芝1600mを見直す

中央競馬関西圏は今年も京都開催がないため、変則開催。昨年に続き京都金杯は中京で施行される。その昨年は12番人気ケイデンスコール、2番人気ピースワンパラディ、14番人気エントシャイデンで決着、3連単122万円超の特大お年玉となった。

1、2着は当時左回り専用と評価されていた馬で、中京替わりが大きく結果に影響した。また、1、2着はこれから紹介する中京芝1600mのコースデータに合致。個人的にはこの上ない年始のすべり出しだったという記憶がある。今年もコース傾向から読み解くのは有効だろう。そこで改修後9年間の中京芝1600m、古馬3勝クラス以上の17レースを対象に好走傾向を考えていこう。

まず中京芝1600mは根幹距離のマイル戦でありながら、高額条件がコース新設から9年で17しかないのは不思議だ。重賞は基本的には中京記念のみ。それもこの2年は小倉芝1800mに代替、中京マイル重賞は京都金杯、シンザン記念と2週連続で行われ、その後はない。もう少し高額条件のレースが組まれてもよさそうな気もする。

中山同様にスタート直後に2コーナーに突入する変則レイアウトだが、コーナーへの進入角度はだいぶ緩く、中山ほど枠順に左右されず、スタート直後の不利も少ない。序盤は緩やかなのぼり勾配、3コーナー手前からくだり、最後の直線残り300~200m地点に急坂がある。中山芝1600mは2コーナー通過後から一気にくだるレイアウトなので、これと比べると前半のペースは緩く、基本的に先行勢優位のコースだ。


大型馬とロードカナロア産駒

こういった基本的なレイアウトを頭に入れたところで、具体的にデータをいくつかみていこう。


過去9年同条件人気別成績,ⒸSPAIA


乱ペースがあまりなく、紛れが生じにくいコースのため、手堅いのかと思いきや1番人気は【3-2-3-9】勝率17.6%、複勝率47.1%。同条件で調べた中山芝1600mの1番人気は【21-11-9-47】勝率23.9%、複勝率46.6%。乱ペースが多い中山芝1600mより信頼度が低い。おそらく中京芝1600mは全体的にレース数が少ないため、いわゆるコース巧者が目立たず、横の比較がつきにくい。今年も慎重に検討したい。

5番人気【4-1-3-9】勝率23.5%、複勝率47.1%、6番人気【1-4-3-9】勝率5.9%、複勝率47.1%、7番人気【2-2-0-13】勝率11.8%、複勝率23.5%などちょっと実力的に一枚落ちるのでは、とされる馬が激走するケースが多い。なにせ昨年は12、2、14番人気で決着。穴狙いも悪くはない。


過去9年同条件馬体重別成績,ⒸSPAIA


次に馬体重別成績。急坂が直線に待ち構える競馬場だけに馬力型が優位。480~498キロ【4-6-11-61】勝率4.9%、複勝率25.6%、500~518キロ【7-3-2-32】勝率15.9%、複勝率27.3%と大型馬が馬券によく絡む。とはいえ、520キロ以上は【0-0-1-13】。大きすぎるとスタート直後のコーナーなど器用な立ち回りで不利になるようだ。そこそこ馬格がある馬を狙いたい。


過去9年同条件種牡馬別成績,ⒸSPAIA


次に血統データ。このコースの高額条件ではロードカナロアが【5-0-1-7】勝率38.5%、複勝率46.2%と圧倒的。昨年覇者ケイデンスコールもロードカナロア産駒。出走予定馬ではステルヴィオ、カイザーミノルなどが当てはまる。着度数2位はディープインパクト【2-1-4-17】勝率8.3%、複勝率29.2%。昨年3着のエントシャイデンなどこちらも複数スタンバイ。


データから浮上するのはザダル

次に前走距離に注目、好走ゾーンをさらにデータで絞ってみたい。


過去9年同条件前走距離別成績,ⒸSPAIA


このコース、前走が1600mより短かった馬が【8-3-2-53】勝率12.1%、複勝率19.7%と勝ち切る傾向。昨年のケイデンスコールもここに該当。マイル戦としては距離延長組が好走しやすい舞台だ。


過去9年同条件前走1400m組着順別成績,ⒸSPAIA


前走が1400mだと【8-3-2-40】勝率15.1%、複勝率24.5%。距離延長の好走はすべて前走1400m組。その着順別成績を出すと、1着馬が【3-0-1-8】勝率25%、複勝率33.3%、2着【0-1-0-3】複勝率25%と好走した馬もいいが、6~9着と負けた馬が【3-2-1-9】勝率20%、複勝率40%と好成績。昨年のケイデンスコールは前走オーロC6着から巻き返した。

ところが、今年は当てはまる馬が見当たらない。スワンS5着ステルヴィオがいるが、5着は【0-0-0-3】と好走がない。また前走フランスで芝1400m3着だったエントシャイデンもいる。3着は【0-0-0-1】だが、昨年の3着馬だけにリピーターになる可能性はある。


過去9年同条件前走1600m組着順別成績,ⒸSPAIA


前走1400mほど派手ではないが、同距離組も【7-10-10-91】勝率5.9%、複勝率22.9%と堅実。ここもしっかり押えたい。その着順別成績は1着【2-3-2-12】勝率10%、複勝率40%、2着【1-0-1-6】勝率12.5%、複勝率25%と好走馬OK。ターコイズS2着アンドラステがいる。ただし、前走3着【0-0-0-9】、4着【0-0-0-7】と厳しいデータもあるので、前走マイル戦惜敗組は慎重に検討したい。

富士S7着ザダル、キャピタルS6着ヴェロックスらが該当する前走6~9着は【2-3-3-19】勝率7.4%、複勝率29.6%とこちらも巻き返す可能性は十分。特にザダルは昨年のケイデンスコール、ピースワンパラディと似た左回り専用。マイル戦も3度目、連続出走で慣れも見込めそうで、上位人気が予想されるが、狙ってみたい。

京都金杯インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2005-2009 00年代後半戦』(星海社新書)。



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