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【ホープフルS】上位人気に大きな不安あり 京大競馬研の本命はレコード連発のサトノヘリオス

ホープフルSインフォグラフィック,ⒸSPAIA
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近年は不調の1勝馬、上のクラスで3着以下は即切り

12月28日(火)に中山競馬場でホープフルステークス(GⅠ)が行われる。唯一の重賞馬コマンドラインが人気を集めるほか、萩S2着のキラーアビリティ、武豊騎手騎乗のアスクワイルドモアなどが参戦。15頭がビッグタイトルを狙いにやってきた。

有馬記念を当てた人も外した人もここでこそきっちり当てて中央競馬の1年を締めくくりたいところだが、データを調査すると面白い穴馬を発見。俄然買う気が湧いてきた。まずはレース時点での収得賞金ごとにホープフルSで残す成績を調べてみた。


過去7年ホープフルS1勝馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


過去7年の収得賞金400万円組について調べた。前走新馬戦からが【2-0-2-7】、前走未勝利戦組は【0-1-1-19】。その内GⅠ昇格後に馬券になったのは2017年3着のステイフーリッシュのみ。レースレベルが上がり、勝ち上がりの勢いだけでは好走できなくなったことが分かる。また、1勝クラス敗退馬も【0-0-0-12】と全滅。

400万円組の中には重賞で3着になった馬も多くいるが、前走でオープンや重賞を負けていた馬は【0-0-0-12】と全滅。キラーアビリティのようにリステッド競走で惜敗した馬の参戦が過去に無いため、キラーアビリティについては取捨に困る。しかしその他の1勝馬は基本的には軽視が賢明だ。


1勝クラスを勝てば勝負圏内、OP特別よりレベルの高いレースを探せ

過去7年ホープフルS2勝馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


次に、重賞連対・リステッド勝ちがない2勝馬の前走クラス別成績を調べた。前走で1勝クラスを勝ち上がった馬が【1-2-2-6】の複勝率45.5%、一方OP特別を勝った直後は【1-0-0-5】で複勝率16.7%。複勝率では1勝クラス勝ち上がり組の方が優秀だ。

OP特別から連勝したのは2018年のサートゥルナーリアのみ。同馬はムチを使わずに萩Sを快勝しており、明らかにレベルの違う馬だったことを考えると、頭数が揃わず格に比してレベルの低くなるOP特別よりは、多頭数で揉まれて時計も良好な1勝クラスを勝ち馬を探す方が良いだろう。しかしここでも共通して言えることは、2勝した後でも前走重賞で3着以下に敗れた馬は【0-0-0-4】と全滅で、重賞で底を見せてしまうと厳しいということだ。


東スポ杯組不在、札幌2歳S組はマイナス

過去7年ホープフルS重賞連対・リステッド勝ち馬前走クラス別成績,ⒸSPAIA


最後に重賞連対馬・リステッド勝ち馬について前走クラス別成績を調べた。リステッド勝ち馬は【0-2-1-1】と1着こそないが上位には入るため連軸としての信頼度は高め。前走重賞1着馬は【2-2-1-2】と軸には最適。しかし勝った2頭は東スポ杯で快勝と、レベルの高い重賞で力の違いを見せていて、順当勝ち。2着になった2頭は前走マイル重賞を上がり1位の末脚で快勝とこちらも力差を見せた馬。中距離実績がなかった分、距離延長が堪えて敗れている。

3着1回が東スポ杯と札幌2歳Sの重賞2勝馬ニシノデイジー。この札幌2歳S組が全く信頼できず、2015年札幌2歳Sを勝ったアドマイヤエイカンが次走の京都2歳SとホープフルSを連敗、2014年に同レース2着だったマイネルシュバリエは次走東スポ杯とホープフルSで大敗、2019年の勝ち馬ブラックホールがホープフルSで大敗と、とにかく走らない。レースの時期が早く既走馬が多くないため、秋デビューの有力馬と比較すると見劣りするのが札幌2歳S組の特徴と考えられる。他のレースを使った馬を探した方が良いだろう。

前走重賞2着馬は【1-0-0-4】。萩Sを圧勝し京都2歳Sで2着だったタイムフライヤーが勝ったのみ。勝因は他に実績馬がいなかったことで、押し出されての順当勝ち。人気を裏切る例が多くこちらも信用できない。今年は札幌2歳S以外の重賞連対馬か1勝クラスを勝った馬から選んでいきたい。


今年は重賞組以外が強力、若手騎手にビッグチャンス

◎サトノヘリオス
新馬戦でイクイノックス、サークルオブライフなどの強力メンバーと対戦。経験が活きたか未勝利戦、エリカ賞で2度の2歳レコードを出すなど優秀な走り。2歳戦の中ではハイペースといえる前半60秒を切ったレース、馬群を割らせる苦しい競馬を経験していることも強みで、スローの上がり勝負しか戦っていない馬より経験値が数段上。ダービー馬を2頭出した友道厩舎は若駒の管理に定評がある。戦ったレベルの違いとコース問わず使える末脚で、鞍上ともどもここからの飛躍に期待したい。

◯オニャンコポン
可愛い名前に見合わず、レースでは2番手先行から上がりもきっちり使って2連勝、ただ走破時計があまり速くなく初動から流れる展開は未知数。強調出来る点はないが減点材料もない。他の上位人気馬に不安があるここでなら十分通用する。

▲キラーアビリティ
未勝利戦は2歳レコードで圧勝、前走萩Sも前半かかっていながら早め抜け出し、最後は目標にされてダノンスコーピオンに差されるも、そのダノンスコーピオンが朝日杯で好走した。能力値は高いが距離延長は不安。前走も勝ちに等しい内容とは言え、収得賞金は1勝クラス組と変わらない。データ上は大きな信頼は置けない。

△ボーンディスウェイ
前走葉牡丹賞を逃げ切って勝利、展開のカギを握る馬で単騎逃げなら再度の好走がある。

×コマンドライン
2走ともドスローから抜け出しで経験値が低く、評価できる材料がない。重賞の勝ち時計が同日同コースの未勝利戦より2秒以上遅く、戦った相手も次走以降重賞では通用しておらず、全く参考にならない。中山へのコース代わりも不安で、さらにはマイルしか使っておらず、実績上位でもマイル重賞馬が2着止まりなデータもマイナス。ただ、2勝しているという事実は重く受け止めないといけない。ルメール騎手の乗り方に依るところが大きい。

消アスクワイルドモア
データ上全く走らない札幌2歳Sの連対馬。しかも4馬身差の完敗で、勝ち馬ジオグリフも朝日杯で凡走。大外枠もマイナス。

買い目はサトノヘリオス軸の馬連4点で勝負。東京大賞典もあって年の最後まで競馬が熱い。最終週も十分楽しんで行きたい。(文:福山)

ホープフルS 予想印
◎サトノヘリオス
◯オニャンコポン
▲キラーアビリティ
△ボーンディスウェイ
×コマンドライン

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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