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【ホープフルS】オニャンコポンの進撃は止まらない!? 前走重賞組は過信禁物、今年はひと波乱あるか

2021 12/19 17:00勝木淳
ホープフルSインフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

1番人気堅調、基本的には堅い

GⅠホープフルSはかつて有馬記念当日に行われた2歳オープン特別と同一名ながら、そのルーツは別にある。暮れの阪神で行われていたラジオNIKKEI杯2歳Sを中山に移し、ホープフルSと改称した。そのため今年は第38回になる。

ラジオNIKKEI杯といえば、アドマイヤベガ、アグネスタキオン、ザッツザプレンティ、ロジユニヴァース、ヴィクトワールピサ、エピファネイア、ワンアンドオンリーなどクラシックホースが勝ち馬にずらりと並ぶ出世レース。14年ホープフルSになってからもレイデオロ、コントレイルのダービー馬2頭を出し、翌年のクラシックを占う重要な一戦。

今年は有馬記念と入れ替わり、JRA最後のGⅠに戻る。年の終わりに来年のはじまりを予感させるレース、この並びも悪くない。ここでは中山移設後のGⅡ時代も含め、過去7年間のデータをもとに分析していく。


過去7年ホープフルS人気別成績,ⒸSPAIA


人気別成績を出すと、1番人気が【5-1-0-1】勝率71.4%、複勝率85.7%と圧倒。着外は移設元年14年ダノンメジャーのみ。16年レイデオロから5連勝中だ。ついで2番人気【1-1-3-2】勝率14.3%、複勝率71.4%、3番人気【1-2-1-3】勝率14.3%、複勝率57.1%と上位人気が強く、基本的に手堅い。4番人気以下では8番人気【0-2-1-4】複勝率42.9%が目立つぐらい。人気馬が信頼できるレースだ。


過去7年ホープフルS馬体重別成績,ⒸSPAIA


次に馬体重別成績。冬の中山を舞台にしたレースらしく大きな馬が強く、500~518キロ【3-1-2-9】勝率20%、複勝率40%と目立つ。1番人気候補コマンドラインは前走522キロ、2歳馬とは思えない雄大な馬体の持ち主。ただし、このデータに合致するには当日マイナス4キロ。これ以上増えると、520キロ以上【0-0-0-2】。これもたった2頭のサンプル。大きな馬が優位なことは変わりない。ほかには前走葉牡丹賞3着時514キロだったグランドラインもいる。


過去7年ホープフルSキャリア別成績,ⒸSPAIA


2歳戦だけにキャリア別成績をチェックしたい。1戦1勝は【2-0-2-7】勝率18.2%、複勝率36.4%。シェルビーズアイ、タイラーテソーロ、マテンロウレオが当てはまる。次位はオニャンコポン、コマンドライン、ジャスティンパレス、フィデルらが該当する2戦【4-4-4-25】勝率10.8%、複勝率32.4%。3戦は【0-1-0-22】と一気に信頼度が落ち、4戦【1-1-1-14】、5戦以上【0-1-0-12】と続く。基本的にはキャリア2戦以内の馬を狙いたい。


今年は東スポ杯組不在

ここまでのデータからコマンドラインが有力であることはわかったが、さらに好走パターンに合致する馬がいないか、前走成績から探っていきたい。


過去7年ホープフルS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別成績ではキャリア別で触れた新馬を除くと、前走重賞組が【3-2-1-20】勝率11.5%、複勝率23.1%。ただし好走は東京スポーツ杯2歳S【2-0-1-9】が主要。コントレイル、ダノンザキッドと2連勝中の好ローテだが、今年は該当なし。京都2歳Sは【1-0-0-8】勝率、複勝率ともに11.1%、ここにフィデルが当てはまる。同馬はこのレース3着。17年勝ち馬タイムフライヤーは京都2歳S2着。なくはない。そのほかはコマンドラインのサウジアラビアRC【0-0-0-1】、アスクワイルドモアの札幌2歳S【0-0-0-2】。軽視できるほどではないが、強調材料もない。

そこでオープン・リステッド【1-2-1-9】勝率7.7%、複勝率30.8%に注目。萩S2、3着キラーアビリティ、クラウンドマジック、芙蓉S1着ラーグルフがいる。同舞台の芙蓉Sは【0-0-0-3】。サンリヴァル、オーソリティ、ランドオブリバティと勝ち馬3連敗はラーグルフにとって気になるところ。前走萩Sは【1-1-0-3】。好走2頭はいずれも萩Sを勝っており、負けた2頭は強調しづらい。


狙いは前走芝2000m条件戦1着馬

東京スポーツ杯組不在の今年、例年ほど重賞組が強力ではない。であれば前走条件戦組にも注目したい。前走条件戦組はまず距離をみる。2000m【3-2-3-33】勝率7.3%、複勝率19.5%、1800m【0-1-2-12】複勝率20%。好走頭数で考えれば、2000mが優勢だ。


過去7年ホープフルS前走芝2000m条件戦勝ち馬クラス別成績,ⒸSPAIA


前走芝2000mの条件戦で1着だと【3-2-3-22】とさらにゾーンを絞れる。そのクラス別成績を出すと、新馬【2-0-1-6】勝率22.2%、複勝率33.3%、未勝利【0-1-2-12】複勝率7.7%、1勝クラス【1-1-2-4】勝率12.5%、複勝率50%。新馬と1勝クラスで芝2000mを勝った馬が好成績。これに該当するのはオニャンコポン、サトノヘリオス、シェルビーズアイ、ジャスティンパレス、ボーンディスウェイ、マテンロウレオ。これをもっと絞ろう。


過去7年ホープフルS前走芝2000m条件戦勝ち馬脚質別成績,ⒸSPAIA


同じ条件で位置取り別成績をみる。逃げ【0-0-0-5】なので、葉牡丹賞を逃げ切ったボーンディスウェイが消える。先行、中団、後方では勝率は後方だが、複勝率は先行、中団。どこかが突き抜けているわけではない。これら候補のうちサトノヘリオス以外は、キャリア別データにも合致、今年は重賞組相手でも十分戦えるだろう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2005-2009 00年代後半戦』(星海社新書)。


ホープフルSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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