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【阪神C】過去10年1番人気はたったの1勝! 今年もやっぱり波乱要素が満載

2021 12/19 17:00勝木淳
阪神Cインフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

しいてあげるなら関東馬

関西圏最後の重賞阪神Cは例年大激戦。19年はグランアレグリアが圧勝したが、昨年は0.5以内に8頭がひしめいた。スプリンターズSを目標とした馬、マイルCSに照準を定めた馬たちが集い、そこに1400m一本の距離巧者が混ざる。1着賞金はGⅠを除くマイル以下の重賞で最高金額の6700万円。激戦、混戦は必至。有馬記念前日、馬券を買う側もしっかり仕留めたい。ここでは過去10年間のデータから好走パターンを探っていく。


過去10年阪神C人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【1-0-2-7】勝率10%、複勝率30%。はい、やる気になりましたか。この10年1番人気の勝利は上記のグランアレグリアのみ。馬券圏内も15年ビッグアーサー、20年インディチャンプの3着だけ。こうも1番人気の信頼度が低いGⅡは多くはない。

2番人気【1-2-1-6】勝率10%、複勝率40%、3番人気【2-2-1-5】勝率20%、複勝率50%とそれなりだが、7番人気【1-1-1-7】勝率10%、複勝率30%、8番人気2勝、さらに10番人気以下は【1-2-3-76】勝率1.2%、複勝率7.3%。後悔しないためにも手広く買いたい。スプリント、マイル各路線からバラバラにやってくる馬たちを比較し、正しく評価するのは困難。人気はアテにならない。


過去10年阪神C年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別成績をざっと並べると、3歳【2-3-3-23】勝率6.5%、複勝率25.8%、4歳【2-1-3-25】勝率6.5%、複勝率19.4%、5歳【3-4-3-38】勝率6.3%、複勝率20.8%、6歳【3-1-0-30】勝率8.8%、複勝率11.8%、7歳以上【0-1-1-26】複勝率7.1%。人気と同じく年齢による好走率も差がない。短距離であれば、若い馬と考えがちだが、阪神Cは5、6歳も互角に戦える。特に5歳の単複回収値は132、91と高く、穴を狙うなら5歳と覚えておきたい。人気候補のダノンファンタジーもいいが、この秋、大きな着順が続くケイデンスコールなど穴候補も多い。


過去10年阪神C所属別成績,ⒸSPAIA


人気も年齢も好走馬を探す指標にならず、ますます混迷極めてきた。もうちょっとヒントはないだろうか。そこで所属別成績をみる。関東馬【7-4-2-36】勝率14.3%、複勝率26.5%、関西馬【3-6-8-106】勝率2.4%、複勝率13.8%で関東馬優勢。関西馬は2、3着が多いので、1着関東馬、2、3着関西馬という組み合わせも面白い。関東馬の単複回収値は126、105と妙味も十分。人気のソングラインだけでなく、ここで引退予定のセイウンコウセイなどもしっかり検討したい。


阪神のスワンS組の取捨

次に前走成績を参考にさらに具体的に好走パターンに合致する馬を探してみたい。


過去10年阪神C前走クラス別成績,ⒸSPAIA


シーズン末期とあって、やはり前走GⅠ組が【5-8-6-49】勝率7.4%、複勝率27.9%と目につく。勝率の低さは気になるが、まずはGⅠ組を検討しよう。


過去10年阪神C前走マイルCS組着順別成績,ⒸSPAIA


まずは前走マイルCS【3-5-5-33】勝率6.5%、複勝率28.3%から。ここは着順別成績をみると、好走した馬もいいが、今年はいない。一方で、5着【1-0-0-1】勝率、複勝率ともに50%、6~9着【1-0-1-6】勝率12.5%、複勝率25%、10着以下【1-4-2-20】勝率3.7%、複勝率25.9%と敗退組も巻き返す。5着ホウオウアマゾン以下該当馬は多くいる。

今年は前走スプリンターズS組が不在なので、次に前走GⅡ【2-0-1-15】勝率11.1%、複勝率16.7%について。同舞台のスワンS組が複数出走予定だが、前走スワンSは【1-0-1-10】勝率8.3%、複勝率16.7%とさほど強調できない。しかし、これは京都のスワンS経由のデータ。今年は同舞台なので、つながってくる可能性はある。勝ったダノンファンタジー、4着ルークズネストなど軽視できない。

同じGⅡ富士Sは【0-0-0-2】。しかもGⅡに昇格した昨年はゼロで、すべてGⅢ時代のデータ。サンプル数も加味すれば、勝ったソングラインを切る材料にはならない。GⅢ【1-1-2-28】勝率3.1%、複勝率12.5%はGⅠ、GⅡより信頼できないが、今年は前走京阪杯組【1-0-1-17】勝率5.3%、複勝率10.5%が何頭かいる。しかしここも好走はたった2頭。指標になるデータが見つからない。


過去10年阪神C前走スワンS組脚質別成績,ⒸSPAIA


なかなか好走パターンが見つからないので、一周回ってスワンS組に戻る。その位置取り別成績では先行【0-0-0-1】、中団【0-0-0-5】、後方【1-0-1-4】勝率16.7%、複勝率33.3%と追い込んできた馬が優勢。狙うならダノンファンタジーら上位好走馬より、4コーナーで12番手に下げたルークズネストか追い込んだファーストフォリオ(ただし、除外の可能性あり)だろう。ただし、このデータ、あくまで京都スワンSでのもの。正直、苦しまぎれだ。


角度を変えて前走距離に注目

ここまでデータから狙える根拠をもった馬が見いだせない。いくらなんでもこれではいけないので、最後に前走1600m【5-5-5-54】勝率7.2%、複勝率21.7%というくくりでデータを再検証しよう。


過去10年阪神C前走スワンS組脚質別成績,ⒸSPAIA


前走1600m戦に出走した馬について、位置取りという角度から再検討する。先行【2-3-1-12】勝率11.1%、複勝率33.3%、中団【3-1-4-17】勝率12%、複勝率32%とマイル戦で折り合いをつけ、流れに乗れた馬の成績がいい。これに一致するのはグレナディアガーズ、サウンドキアラのマイルCS組と富士S8着ラウダシオン。データ予想では〇×混載の出走馬ばかり。さあ、どの要素を重視するか。その取捨選択にセンスが問われる。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2005-2009 00年代後半戦』(星海社新書)。


阪神Cインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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