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【朝日杯FS】ビワハヤヒデやグランアレグリアなど2、3着馬からも活躍馬を多数輩出! 2歳マイル王決定戦の歴史

2021 12/14 06:00緒方きしん
朝日杯FS過去5年の勝ち馬,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

若手種牡馬VSベテラン種牡馬

阪神JFはエピファネイア産駒のサークルオブライフが勝利。2着は今年の新種牡馬ロゴタイプ産駒のラブリイユアアイズ、3着は同じく新種牡馬シルバーステート産駒のウォーターナビレラが食い込み、種牡馬の世代交代を感じさせた。

今週は2歳マイル王決定戦、朝日杯FS。こちらもドレフォン産駒ジオグリフやビッグアーサー産駒トウシンマカオ、イスラボニータ産駒プルパレイなど新種牡馬の産駒が多数登録している。一方で有力馬にはダイワメジャー産駒セリフォスやディープインパクト産駒ドーブネ、ハーツクライ産駒ドウデュースなどベテランのサンデー直仔種牡馬を父に持つ馬も並び、新興勢力VSベテラン勢力という構図で見ても注目の一戦となる。

昭和にはトキノミノルやメイヂヒカリ、マルゼンスキーらが勝利、平成にはミホノブルボンやナリタブライアン、フジキセキやグラスワンダーらが勝利。近年もリオンディーズやアドマイヤマーズらが勝利している重要な一戦。今回は朝日杯FSの歴史を振り返る。

現段階で伏兵評価でも、チャンスは十分

朝日杯FS過去5年の勝ち馬,ⒸSPAIA



ここ5年間で1番人気は2勝。サリオス(2019年)、ダノンプレミアム(2017年)が人気に応えた一方で、レッドベルオーブ(2020年)とグランアレグリア(2018年)は3着、ミスエルテ(2016年)は4着に敗れている。

1番人気馬は4年連続で馬券圏内に食い込んでいるが、かといって平穏決着というわけではない。昨年覇者のグレナディアガーズは7番人気であり、2016年覇者のサトノアレスも6番人気だった。特に2016年は2番人気ダンビュライトが13着、3番人気クリアザトラックが7着に敗れたこともあり、6番人気→7番人気→12番人気と伏兵同士での決着となった。

伏兵が馬券圏内に食い込むことは決して珍しいことではなく、2019年には14番人気グランレイが3着に入りワイド万馬券が飛び出し、2018年には9番人気クリノガウディーが2着に入り枠連が万馬券となった。

過去には、1.3倍のコディーノや1.8倍のサダムパテックなども敗北を喫した。一方で、7番人気でロゴタイプ、朝日杯3歳S時代には10番人気メジロベイリーといった伏兵も制している。力関係が明確になっていない段階で行われる一戦だけに、やや人気面では不安定さがある。

古馬でもブレイクした2006年の1、2着馬

2006年の勝ち馬はドリームジャーニー。新馬戦、芙蓉Sと連勝し、東スポ杯2歳S3着で挑んだGⅠ舞台を、上がり最速で差し切った。上がりタイム2番手が34.6、3番手が35.1のなかで、ドリームジャーニーは34.0という驚異的な末脚。父ステイゴールドに贈るGⅠ初白星だった。

この年の出走馬は、4着馬フライングアップルがスプリングSを勝利したほか、5着マイネルレーニアや6着マイネルシーガルも重賞馬となるなど、翌年以降も大いに競馬界を賑わせた。

特に、2着のローレルゲレイロはスプリンターとして活躍し、2009年の短距離GⅠ(高松宮記念・スプリンターズS)を制覇。また、ドリームジャーニーは古馬になり池添謙一騎手と出会うと、同じく2009年に才能を開花させて宝塚記念・有馬記念とグランプリを連覇した。同年、ドリームジャーニーはJRA賞最優秀4歳以上牡馬に選出、ローレルゲレイロはJRA賞最優秀短距離馬に選出。2歳GⅠで競い合ったライバルが、5歳シーズンで全く異なる舞台でそれぞれが輝いた稀有な例である。

ドリームジャーニーが朝日杯FSを勝利した次の種付けシーズンに配合され、生まれたのがオルフェーヴル。鞍上にドリームジャーニーをグランプリ制覇に導いた池添騎手を迎え、三冠馬への道を駆け上がっていった。もちろん様々な巡り合わせがあってのことではあるが、その布石となったひとつは間違いなく2006年の朝日杯FSだった。

また、今年のフォワ賞で勝利したディープボンドの母であるゼフィランサスはローレルゲレイロの叔母にあたり、さらにはローレルゲレイロと同じく父がキングヘイローという血統だが、こちらもオルフェーヴルと同じく2008年生まれである。

2、3着からも活躍馬が続々と登場

勝ち馬だけでなく、2着馬や3着馬にも活躍馬が多数出てきている一戦。2020年の2着馬ステラヴェローチェは今年に入って皐月賞・ダービーで3着、菊花賞で4着とクラシック皆勤を果たし、2017年の2着馬ステルヴィオは翌年にマイルCSを制した。

タイセイビジョン(2019年2着)は翌年のアーリントンCを制し今年の京阪杯でも2着と好走、クリノガウディー(2018年2着馬)は中京記念や東京新聞杯で馬券圏内に食い込み、今年に入っても5月にオープン・リステッドを連勝しセントウルSでも3着に食い込んだ。

歴代の2着馬を見ると、古くはビワハヤヒデやマイネルラヴ、メイショウボーラーといったビッグネームが並び、以降もエイシンアポロンやリアルインパクト、エアスピネルといった名馬たちが続いている。さらに3着馬からも、2017年のタワーオブロンドン、2018年のグランアレグリアと、ここ5年だけでも2頭のGⅠ馬が登場。皐月賞馬キャプテントゥーレも、本レースの3着馬である。

今年も、恐らく来年以降の競馬を盛り上げる素質馬が出走してきているはず。未来の競馬界を担う素質馬たちが好レースを繰り広げること、そして出走各馬が無事に完走することを、改めて祈りたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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