前半の隊列に注意
春開催から暮れの開催へ。そして中京リニューアルを機に春に戻り、さらに17年からまた暮れに移った。もっと古くはもはや死語の父内国産限定重賞。中日新聞杯は色々な条件変更を重ね、現在に至る。現行条件だと17年からの4年間分。データとしてはちょっとだけ足りない。ここではリニューアル後の12年以降、中京芝2000m、古馬3勝クラス以上の44レースを対象にコース傾向を探りつつ、好走パターンを考える。
中京芝2000mはざっくりいうと、スタンドからみて右半分1、2コーナーから向正面にかけてが上り勾配、そこから3、4コーナーにかけての左半分が下り勾配というレイアウト。前半のペースは上がりにくく、基本的に緩い流れで先行優位。しかし、序盤の先行争いが激しくなると、勝負所の下りでスパートする差し馬が優勢になり、ゴール前で逆転が起こる。そのため、前半の隊列の並びには注意したい。
要注意は池添謙一騎手と本田厩舎
それではコース傾向をつかむためにここからいくつかのデータを参考にみてみよう。
人気別成績では1番人気【12-8-7-17】勝率27.3%、複勝率61.4%。複勝率6割は悪くないが、勝率3割以下は1番人気としてはやや物足りない。今年の重賞も愛知杯センテリュオ11着、金鯱賞デアリングタクト2着、鳴尾記念サンレイポケット6着と未勝利。2番人気以下は目立つような成績ではなく、8番人気【5-3-3-32】勝率11.6%、複勝率25.6%は勝率なら2、3番人気と互角、複勝率まで含めると3番人気と互角の数字。中日新聞杯も波乱を視野に入れたいところだ。
種牡馬別成績トップ5を出すと、ディープインパクト【14-14-8-56】勝率15.2%、複勝率39.1%が着度数別では抜けている。芝の中距離ではやはり買わないわけにはいかない。以下、キングカメハメハ【6-4-7-36】勝率11.3%、複勝率32.1%、ステイゴールド【5-2-1-32】勝率12.5%、複勝率20%と続く。ディープインパクト産駒はアドマイヤビルゴ、アイスバブルなど、キングカメハメハ産駒ボッケリーニ、ステイゴールド産駒はアフリカンゴールド、マイネルファンロンなどが当てはまる。
阪神芝2000mの分析でもトップだった川田将雅騎手が【5-3-3-15】勝率19.2%、複勝率42.3%と着度数別で首位。2位はリーディングトップどころを押しのけ、池添謙一騎手【3-2-2-9】勝率18.8%、複勝率43.8%。今年も該当レースに5鞍騎乗、10、3、2、10、3着。順番だと次は2着か、というのはさておき、鳴尾記念もショウナンバルディで9番人気2着と重賞でも頼りになる。騎乗するようなら狙ってみたい。3位はC.ルメール騎手【3-2-1-7】勝率23.1%、複勝率46.2%。騎乗数が少なく、着度数別では3位だが、好走率は高い。
次は調教師別の成績。着度数別トップは池江泰寿師【6-3-6-25】勝率15%、複勝率37.5%。種牡馬別であがったボッケリーニとアイスバブルが出走予定だ。トップ5からは漏れたが、6位本田優師【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%をあげたい。単複回収値1404、307は驚異的。今年1月の寿Sツーエムアロンソ14番人気1着が大きいが、ほかの好走2頭は12年中日新聞杯ダンツホウテイ9番人気2着、18年愛知杯エテルナミノル6番人気1着といずれも重賞。GⅢだと【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%。管理馬ディアマンミノルには注目したい。
注目は前走アルゼンチン共和国杯組
ここからは前走距離に注目しながら、別角度から好走パターンについて探っていく。
前走距離を2000m未満、2000m、2000m超にわけると、2000m超の【18-9-13-146】勝率9.7%、複勝率21.5%が勝率でリード。最後に急坂があるコースのため、長い距離を走った経験がいきやすい。今年だとアルゼンチン共和国杯組やオールカマー9着キングオブコージが当てはまる。これら短縮組について掘り下げてみよう。
具体的に短縮組の前走距離別成績をみると、2200m【6-5-5-79】勝率6.3%、複勝率16.8%よりさらに長い2500mが【6-0-4-24】勝率17.6%、複勝率29.4%と好成績。アルゼンチン共和国杯5着ディアマンミノル、10着アイスバブルが該当する。ディアマンミノルは調教師、アイスバブルは種牡馬、調教師と複数データに合致する。
最後に短縮組の前走着順について調べる。好走も凡走も満遍なく好走馬を送っているが、6~9着【4-0-2-38】勝率9.1%、複勝率13.6%、10着~【2-1-4-53】勝率3.3%、複勝率11.7%と掲示板を外すと、確率が下がる。短縮組で強調するなら前走掲示板以上が条件だろう。そうなると、浮上するのは5着ディアマンミノル。穴の本田厩舎もここではある程度人気になりそうだが、それでも組み合わせ次第で十分妙味がありそうだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 00年代前半戦』(星海社新書)。
《関連記事》
・秋華賞は2008年に3連単1098万馬券が飛び出す! 平均配当から見えてくる秋のGⅠレース攻略法とは?
・上手な付き合い方のコツは?ルメール騎手の「買える、買えない条件」
・2週連続G1制覇! 横山武史騎手の「買える条件・買えない条件」