1枠に逃げ馬が入ったら要警戒
12、1月と真冬の開催が続く中山。ダート競馬の旬を迎えるにあたり、ここから4月まで中山ダート1200mのオープン・リステッド競走が多く組まれる。カペラSはその出発地点でもある。中山ダート1200mは上級条件ほど波乱が多い。18年以降ダート3勝クラス以上のレースのうち、このコースは単勝回収値151で2位につける。1位の中京ダート1400m(165)とならび、難解な競馬が多く、カペラSも例外ではない。毎年、馬券妙味たっぷりなカペラSについて過去10年間のデータを使い、傾向を探っていきたい。
まず人気別成績をみる。1番人気【1-1-1-7】勝率10%、複勝率30%と予想通り、不振。好走は18年コパノキッキングが勝ち、20年レッドルゼル2着、16年コーリンベリー3着の3例のみ。といいながらも、勝ち馬は4番人気以内が8頭で単勝最高配当は14年12番人気ダノンレジェンドの4,680円。2~4番人気以内の複勝率は53.3%なので、まずは上位人気の取捨選択からはじめたい。ただし、複勝率は6番人気20%、8番人気40%など穴馬のチャンスも十分ある。
ダート重賞というと、息長く活躍するベテラン勢にも気を配りたいところだが、短距離だけにここは若い組が優勢。3歳【2-0-0-5】勝率、複勝率ともに28.6%、4歳【4-2-2-22】勝率13.3%、複勝率26.7%。目つけは3、4歳に置きたい。一方で5歳【2-5-4-39】勝率4%、複勝率22%、6歳【2-2-1-29】勝率5.9%、複勝率14.7%と常連組も複勝圏内なら可能性は十分。7歳以上【0-1-3-33】複勝率10.8%まで連下候補は幅広くとりたい。
中山ダート1200mというと、スタート直後に芝の部分を長く走れる外枠有利が定説。カペラSも7枠【2-1-3-14】勝率10%、複勝率30%、8枠【2-1-1-16】勝率10%、複勝率20%と外枠も悪くない。しかし、もっともいいのは最内の1枠【4-1-1-13】勝率21.1%、複勝率31.6%。これはちょっと意外。
冒頭の18年以降3勝クラス以上のデータでは1枠の好走確率は高くないので、カペラS特有のデータだ。最高配当であげた14年ダノンレジェンドも1枠だった。同馬も含め、1枠から逃げた馬は【2-0-0-1】。1枠にスピードタイプが入ったら警戒したい。しかし、いいのは1枠のみで、2枠【0-0-1-19】、3枠【0-1-0-18】とさっぱりなので、要注意だ。
ダンシングプリンス、オメガレインボーは危険
ではここからは前走成績に目を移し、好走パターンについてあれこれと考えてみたい。
まず前走がJRAのレースだった馬についてそのクラス別成績をみてみよう。GⅢ【2-0-2-8】勝率16.7%、複勝率33.3%、オープン【5-7-4-66】勝率6.1%、複勝率19.5%がよさそう。しかし、注目すべきは前走地方の【2-3-2-31】だ。
前走がJBCスプリント(地方開催)だった馬は【2-2-2-10】勝率12.5%、複勝率37.5%と好成績。さすがはダート界秋の祭典。スプリントも強い馬が多く出走し、このカペラSにつながる。着順別成績をみると、2着【1-1-0-2】勝率25%、複勝率50%、3着【0-0-2-1】複勝率66.7%と好走馬がいい。今年ならモズスーパーフレアが該当する。年齢はひっかかるが、1枠に入ったらぜひ買いたい馬だ。
リュウノユキナの5着は【0-0-0-2】と微妙なところ。14年3番人気ノーザンリバーが12着と人気を裏切った。リュウノユキナはこの舞台、今年のジャニュアリーSなど【2-1-0-4】と得意なだけに取捨は難しい。
では前走JRAに話を戻そう。前走GⅢ組【2-0-2-8】の内訳をみると、武蔵野Sが【2-0-2-2】勝率33.3%、複勝率66.7%と好成績。マイルからスプリントという短縮ローテが効く。
その着順別成績をみると、武蔵野S6~9着が【1-0-1-0】、10着以下【1-0-1-2】と大敗組の巻き返しが目につく。今年は武蔵野S3着オメガレインボーがスタンバイ。3着馬の出走は、レース創設08年以降だと、09年2番人気10着ワイルドワンダーのみ。マイル戦に適応した馬の距離短縮はちょっと微妙で、置かれる危険性が高く、上位人気であれば嫌ってもいい。
最後に前走オープン【5-7-4-66】について、距離別成績から考える。前走が1200mだった馬は【1-3-1-39】勝率2.3%、複勝率11.4%、1400mだと【4-4-3-27】勝率10.5%、複勝率28.9%なので、オープンからここに来る馬は短縮がいい。今年だとゲンパチフォルツァ、ロイヤルパールスなどがいる。反対に春の同舞台京葉S1着以来で、昨年3着のダンシングプリンスはデータ上、不利なローテだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 00年代前半戦』(星海社新書)。
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