Cコース替わりで内を通った先行馬も好走
2021年の東京開催のラストを飾るのはジャパンC(GⅠ・芝2400m)。今回が引退レースとなるコントレイル、3歳馬シャフリヤールにマカヒキとワグネリアンを加えた4世代のダービー馬が顔を揃える。そこに今年は海外から3頭の外国馬が来日、ジャパンには武豊騎手が騎乗予定で様々な角度から話題を集める一戦だと言ってもいいだろう。
そんな一戦を占うにあたり、まずは先週末の東京芝コースの馬場状態について振り返っていこう。先週は週中に雨が降らなかったが、その前の週と変わらずクッション値9.2、ゴール前含水率14.4%。日曜日もクッション値は同じく9.2、ゴール前の含水率13.2%というコンディションだった。
芝では13レースが行われ、4角先頭だった馬は4勝、2着3回、3着1回。4角2〜4番手だった馬が4勝、2着5回、3着8回とCコースに替わったことで一転して先行馬の台頭が目立った。それでも4角5〜7番手は3勝、2着3回、3着3回、4角8番手以下も2勝、2着2回、3着1回と差し馬も全く台頭できないということはなかった。
また残り200m地点で3着内馬が通った進路取りは、最内が2勝、2着4回、3着2回、内から2〜4頭目が7勝、2着3回、3着8回とこちらもCコースの恩恵によって内目を通った馬が好走。内から5〜7頭目を通った馬も、4勝、2着6回、3着2回とそれなりに多かったが、ロスなく立ち回った方が有利だったと言える。
勝ちタイムは土曜日の3勝クラス秋色Sが1:33.0、東京スポーツ杯2歳Sが1:46.2で決着。超高速ではないが、開催が進んだわりには平均的なタイムが出る馬場だと言える。勝ち馬の上がりは13レース中6レースが上がり33.8以下と速い上がりが求められる馬場となっている。
菊花賞以来の硬い馬場なら
先週の日曜日の夜と月曜日に激しい雨が降ったものの、その後は天候が回復して秋晴れが続く予報。先週末から極端に悪化するということはなさそうだ。
下記の推奨馬の馬名の前につけている☆は特に注目したい馬を表している。
【☆コントレイル】
前走の天皇賞(秋)は良馬場発表だったが、午前中からレース前まで雨が降り、パンパンの良馬場ではなかった。加えて休み明けで100%の出来にはなかったことを考えると、2着に敗れたものの上がり最速の33.0を使ってエフフォーリアから0.1秒差という内容なら悲観すべきものではない。状態面の上積みと昨年の菊花賞以来の硬い馬場なら有終の美を飾ることができそうだ。
【シャフリヤール】
日本ダービーで負かしたエフフォーリアが天皇賞(秋)を勝利しているように世代レベルが高く、その馬を差し切った脚は素晴らしい。しかし、レコード勝ちした毎日杯や日本ダービーほど超高速馬場ではない今の東京開催だということを踏まえると、今回はコントレイルにやや分がありそうに感じる。前走の神戸新聞杯4着に関しては不良馬場が敗因。その点は気にしなくていいだろう。
【オーソリティ】
前走のアルゼンチン共和国杯は57.5kgを背負った中で、後続に0.4秒差をつける完勝。東京コースでは【3-1-0-0】とベストと言ってもいい舞台だ。上記2頭よりも前の好位で脚を溜めるレースができればCコース替わりを味方に粘り込むことも可能だと考える。
【キセキ】
前走の京都大賞典では1年ぶりに馬券圏内へと好走、まだやれるというところを見せた。近走は逃げる競馬はできていないが、今回のメンバーを見渡すと久々に逃げることができそう。2018年のパフォーマンスまではいかなくとも、後続に脚を使わせるような流れに持ち込めば3着ならあるかもしれない。
【ワグネリアン】
2年前のジャパンC以降は結果がついてこないが、大敗した4走前の宝塚記念と2走前の大阪杯は道悪。3走前の京都記念は上がりのかかるレース、前走の富士Sはマイル戦とまだ言い訳が効くとも言える。直線が長く【2-0-1-0】と安定している2400mで変わり身を見せる可能性はある。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。
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