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【エリザベス女王杯】レイパパレにはやはり1ハロン長い? 参考レース分析からの注目馬は

2021 11/11 06:00坂上明大
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ルメール騎手の好騎乗

昨年同様に阪神競馬場を舞台に行われるエリザベス女王杯。京都芝2200mからの変更は内回りに替わるなど同距離でも変化が大きく、よりタフさが求められるレースになるだろう。どの馬がタフさ比べに強いのか、参考レースから読み解いていきたい。

【クイーンS】
速めの馬場状態で開催が進んだが、メインレース前に雨が急に降り始めて本レースはやや時計がかかっていた。レースは外枠のシャムロックヒルが主張せず、ローザノワールのマイペース逃げ。

ただ、3F別ラップは35.8-36.0-36.0の坦々とした流れで、600~1300mあたりが緩やかな上り坂であることも加味すると中盤は数字以上にタフなペースだったといえる。上がり3F上位馬が着順上位を独占しており「稍後有利」と評価する。

1着馬テルツェットは後方で脚をタメ、3~4角もスムーズに馬群を捌き切った。ルメール騎手の好騎乗が目立った形であり、先行勢との力比較も微妙だが、ラスト1Fはメンバー中でも抜けた数字。力をつけていることは間違いない。

母ラッドルチェンドはリアルスティールとラヴズオンリーユーの半姉であり、本馬は両馬の3/4同血の甥。ただ、母父にDanehill Dancerが入るだけに芝1600~2000mでスピードの持続力を活かす競馬がベター。阪神芝2200mなら序盤が緩い流れの方が好走しやすいだろう。

成長力を見せたウインマリリン

2021年エリザベス女王杯の参考レース,ⒸSPAIA


【オールカマー】
Cコース替わりと週中が晴天続きだったことから時計は速め、かつ内有利のトラックバイアス。レースはロザムールが外枠から先手を取り、前後半1000m60.7-59.1の後傾1.6秒。前週のセントライト記念と同程度のペースだったが、古馬にとっては平均的な流れだったといえる。「内有利」。

1着馬ウインマリリンは好位のインで脚をタメ、直線は詰まりながらも鋭く抜け出して重賞3勝目。トラックバイアスは向いたが、ウインキートスやレイパパレにはラスト1Fで差をつけた形だ。14キロ増でさらにパワーアップしており、本番が楽しみになる前哨戦であった。

2着馬ウインキートスはウインマリリンの直後でうまく流れに乗った形。ただ、3角不利の日経賞、太目残りの札幌記念を除けば崩れ知らずのレース巧者だけに、今回も大崩れは考えづらい。

4着馬レイパパレは好位で折り合いをつけたが、上がり3F11.6-11.6-12.4程度とやはり2200mは1F長い印象。成長力と使っての上積みは見込めるが、単騎逃げが叶いそうにない2200m戦ではラスト1Fが大きな壁となるだろう。

7着馬ランブリングアレーは徐々にポジションを悪くして、勝負どころでも仕掛けが遅れる形。坂を上り切ったところで脚が止まっており、久々の分もあっただろう。上積みに期待。

抜群のレースセンスで母子秋華賞制覇

【秋華賞】
内回りは内々を回った馬の好走が目立っており、本レースも上位馬で外を回したのはファインルージュのみ。「内有利」のトラックバイアス。レースはエイシンヒテンが引っ張り、前後半1000m61.2-60.0。1200~1600mを11.5-11.3で通過しているが、当時は3~4角追い方向の強風を受けており、数字ほど一気にペースアップしたわけではない。コースなりの持続力勝負だったとみる。

1着馬アカイトリノムスメは好位外目で流れに乗り、残り600mから追い出し開始。4角出口で逆手前になり外に膨らむロスはあったが、ファインルージュの追撃も凌ぎ切って母子秋華賞制覇を果たした。ファインルージュとは枠順の差だっただろうが、ラスト1Fの伸びを見ると3着以下には力差を見せつけた結果だ。スタミナ豊富でレースセンスも上々。阪神芝2200mもまったく苦にしないだろう。

強力3歳世代の秋華賞馬が中心

愛知杯のレース後にはマジックキャッスルの本命と決めていたが、体調が整わず回避。ならばウインマリリンから、と思ったが同馬もオールカマー後に疲れが出たという話。昨年の上位馬もごっそり抜けたメンバーなら強力3歳世代の秋華賞馬アカイトリノムスメが中心だろう。愛知杯でマジックキャッスルに迫ったランブリングアレーも有力だ。

注目馬:アカイトリノムスメ、ランブリングアレー

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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