安定の3番人気以内
春は地震の影響で開催がなくなり、夏はその復旧のために無観客開催を強いられ、最後の2回開催になってようやく有観客開催にこぎ着けた。その開催2週目の福島記念は福島での今年最後の重賞。昨年は池添謙一騎手がJRA全10場重賞制覇をバイオスパークで達成。今年の福島ラスト重賞は果たしてどんなドラマが待っているのだろうか。ここでは福島で開催された過去9回分のデータから好走傾向を探っていく。
秋のローカル開催ハンデ重賞とあって、例年混戦。1番人気は【2-3-2-2】勝率22.2%、複勝率77.8%。昨年は福島巧者ヴァンケドミンゴ2着。荒れるイメージがありながらも1番人気は堅実。複勝率77.8%なら馬券の軸に最適ではないか。また2番人気も【4-1-2-2】勝率44.4%、複勝率77.8%、3番人気【1-2-1-5】勝率11.1%、複勝率44.4%と上位人気馬はどれも好走する確率が高い。波乱はイメージであって、実際はそうでもない。もちろん8番人気以内はどの馬も来る可能性があり、油断はならないが、波乱前提だと見誤るレースでもある。
年齢別成績をみると、3歳【2-1-1-7】勝率18.2%、複勝率36.4%、4歳【2-3-2-12】勝率10.5%、複勝率36.8%と若い馬の好走が目立つ。5歳【3-2-1-29】勝率8.6%、複勝率17.1%、6歳【2-2-3-29】勝率5.6%、複勝率19.4%も悪くはない。だが、秋のローカル重賞とあって、ベテランは全体的に出走頭数が多く、絞りにくい。であれば、出走数が少ない若い組に狙いを定めてもよさそうだ。
狙いたいのは福島3勝ココロノトウダイ
秋のローカル重賞らしく、臨戦過程はバラバラ。だから戦前は混戦模様になるわけだが、それを端的にまとめるために前走成績、特に今回は距離に絞って好走パターンをさらに考えてみたい。
まずは前走が2000m未満だった馬【4-1-1-41】勝率8.5%、複勝率12.8%。距離延長組は好走するとすれば、勝ち切る可能性が高い。
そこで距離延長組について着順別成績を出すと、3着以内は【1-1-0-8】、4、5着は【0-0-0-6】、6着以下は【3-0-1-27】と短い距離で大きな着順だった馬の巻き返しが目立つ。14年6番人気1着ミトラ、15年2番人気1着ヤマカツエース、17年2番人気1着ウインブライトなど。
大敗したにもかかわらず、ここでそこそこ上位評価に押されるような馬は、危ない人気馬ではないかとつい疑いたくなるが、じつは狙うべきだ。今年でいえば、中京記念8着ディアンドル、毎日王冠12着マイネルファンロンなどがいる。
次は前走が2000mより長い距離だった馬【2-3-3-24】勝率6.3%、複勝率25%について。距離短縮組は延長組とは異なり、2、3着に来る傾向がある。これも着順別成績を出すと、5着以内【1-2-2-3】と好走馬がここで再度走るケースが目立つ。16年1番人気2着ゼーヴィント、19年2番人気3着ミッキースワローなど、前走好走組らしくこちらも上位人気で走る。
ただ今年は大敗馬ばかり。6着以下は【1-1-1-21】で好走確率はかなり低い。京都大賞典7着ステイフーリッシュがここに当てはまるが、福島出走は19年福島記念2着以来3年ぶり。久々のローカル重賞挑戦はどう出るだろうか。
最後に同距離の前走2000m出走【3-5-5-51】勝率4.7%、複勝率20.3%について。こちらは前走の位置取りについてデータをみると、傾向をつかみやすい。逃げ【0-1-1-4】複勝率33.3%、先行【2-3-2-13】勝率10%、複勝率35%と先行馬の成績がいい。中団【0-1-1-17】複勝率10.5%、後方【1-0-1-15】勝率5.9%、複勝率11.8%なので、前走2000mで控えた馬の好走確率は低め。
今年の登録馬ではパンサラッサ、ブラヴァス、ココロノトウダイ、アトミックフォースなどがいる。特にブラヴァスは20年七夕賞2着、ココロノトウダイは福島3勝とコース実績も十分ある。逆に小倉記念1着以来のモズナガレボシは前走4コーナー最後方から直線一気を決め、インパクト大だが、データ上では苦戦傾向にある。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 00年代前半戦』(星海社新書)。
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