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【武蔵野S】ポイントは前走距離にアリ!  南部杯組より狙ってみたい馬とは

2021 11/7 17:00勝木淳
武蔵野Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

高配当も十分狙える

チャンピオンズCの優先出走権がかかる武蔵野Sは、同時に翌年のフェブラリーSへの足がかりともいえる。昨年の3、4着エアスピネルとワンダーリーデルは今年のフェブラリーSで9、8番人気で2、3着。エアスピネルは次走チャンピオンズCで凡走し、フェブラリーSで鮮やかに巻き返した。

東京ダート1600mは他場にはない距離設定であり、コースレイアウトだ。ここしか走らない馬は案外多く、エアスピネルのようなパターンはその典型例でもある。コーナー4つ、オールダートの中京ダート1800mで行われるチャンピオンズCで凡走する方がむしろ自然であり、武蔵野S好走馬はフェブラリーS激走候補として覚えておきたい。ここでは武蔵野Sの傾向について過去10年間のデータを使用して探っていく。


過去10年武蔵野S人気別成績,ⒸSPAIA


まず人気別成績をみると、1番人気【3-2-1-4】勝率30%、複勝率60%とまずまず。ただ、2番人気以降は一気に好走確率が落ち、8番人気まではほぼ横一線。10番人気以下も【0-1-3-64】、2、3着の複穴であれば大穴まで狙える。


過去10年武蔵野S年齢別成績,ⒸSPAIA


目立つのは頭数が少ないわりに好走馬が多い3歳の【2-3-2-15】勝率9.1%、複勝率31.8%。今年はユニコーンS覇者スマッシャーがいる。同一コースのユニコーンS覇者が同一年武蔵野Sに出走した例は、17年1番人気12着サンライズノヴァ、16年2番人気2着ゴールドドリーム、15年2番人気1着ノンコノユメ、13年7番人気3着ベストウォーリアなど。

ユニコーンS勝ちを強調材料にするのはいささか危険だが、武蔵野Sで好走した3歳馬は12年イジゲン、ガンジス、15年モーニン以外4頭はユニコーンSに出走していた。

古馬は4歳【1-1-2-17】勝率4.8%、複勝率19%、5歳【3-5-2-43】勝率5.7%、複勝率18.9%、6歳【3-1-3-25】勝率9.4%、複勝率21.9%。ダートは息長く活躍する馬が多く、若いことが必ずしもアドバンテージにならない。7歳以上【1-0-1-28】勝率3.3%、複勝率6.7%はやや割り引いて考えたいが、それでも年齢で評価を過度に落とさないほうがよさそうだ。


狙ってみたい、タガノビューティー

ここからは独特のダートのマイル戦という舞台設定を考え、前走距離別成績からさらに好走パターンについて詳細にみていこう。


過去10年武蔵野S前走距離別成績,ⒸSPAIA


前走距離別成績をみると、独特なコースといいながら、同距離の前走1600mは【2-4-3-27】勝率5.6%、複勝率25%とそこまでよくない。好走確率はあるものの、勝率が低く、勝ちきれない。芝1600m【0-0-1-3】を除くダート1600mは【2-4-2-24】。ヒロシゲゴールドやソリストサンダーなどが当てはまるマイルCS南部杯の舞台である盛岡だと【1-3-0-13】。


過去10年武蔵野S前走マイルCS南部杯組着順成績,ⒸSPAIA


南部杯組を着順別成績でみると、2着だと【0-2-0-1】複勝率66.7%なので、ヒロシゲゴールドは再度マイル戦をこなす可能性は十分ある。むしろ距離不安で人気を落とすようなら狙ってみたいぐらいだ。一方、ソリストサンダーが当てはまる3着は【0-0-0-4】と好走例がない。そうはいっても、昨年の2着馬なので、再度好走する可能性は残る。

次に前走距離で目立つ、かつ該当する出走馬が多い前走1400m【5-1-4-40】勝率10%、複勝率20%についてとりあげたい。


過去10年武蔵野S前走マイルCS南部杯組着順成績,ⒸSPAIA


前走1400m組をクラス別にみると、格下の3勝クラスだと【0-0-0-6】と好走例がない。神無月Sを勝ってOP入りしたウインドジャマーは東京ダートばかり使われてきたコース巧者ではあるが、いきなり重賞は厳しいか。


過去10年武蔵野S前走マイルCS南部杯組着順成績,ⒸSPAIA


いいのはオープン&リステッドの【4-1-4-27】勝率11.1%、複勝率25%。その着順別成績をみると、1着だった馬は【2-1-1-3】勝率28.6%、複勝率57.1%。単複回収値180、151なので、武蔵野Sで見かけたら毎年買いたい。今年は欅Sで後方一気を決めたタガノビューティーが約半年ぶりに戦列復帰。1400mのイメージが強いが、1600mは2走前にオアシスS差し切り勝ちがある。

2着は【0-0-1-3】複勝率25%、グリーンCC2着スリーグランドがここに該当。5着以下は【0-0-0-18】、グリーンCC7、8着のスマッシャー、ワンダーリーデルはこのデータに触れる。この2頭、いずれも東京実績上位ではあるが、前走好走できなかった点は気になる。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 00年代前半戦』(星海社新書)。


武蔵野Sインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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