「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【秋華賞】やっぱりソダシは揺るがない! 今年も馬券妙味は非トライアル組にあり!

2021 10/10 17:00勝木淳
2021年秋華賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

大型馬が狙い

昨年は無敗の牝馬三冠をかけたデアリングタクト一色だった秋華賞。あれからもう1年。競馬をやると本当に時間の経過が早く感じる。またひとつ年をとって迎える秋のクラシック。あと何回ぐらい観戦できるだろうか。といった年よりじみたボヤキはこのぐらいにして、今年の牝馬クラシックを軽く振り返ろう。

純白のソダシが5連勝で桜の女王に輝き、デアリングタクトに続く無敗の二冠を目指したオークスでは、岡田繁幸氏が遺した結晶ユーバーレーベンに逆転を許し、初黒星。再び二冠を目指して札幌記念で再始動、課題だった2000m戦を克服、秋華賞に王手をかけた。ソダシを破った樫の女王ユーバーレーベンは、ここ3年秋華賞馬に輝いた「直行」という必勝ローテで挑む。

この2頭、いずれかの二冠か、新たな女王の誕生か。これが今年の秋華賞の図式である。その舞台は京都ではなく阪神芝2000m。ここではローテーションを中心に過去10年間のデータから傾向を探っていく。


過去10年秋華賞人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【4-1-1-4】勝率40%、複勝率60%。春の桜花賞またはオークス勝ち馬、かつ1番人気だと【4-1-0-0】。14年2着ヌーヴォレコルト以外はすべて勝利している。ソダシには非常に心強いデータだ。勝ち馬はすべて4番人気以内から出ている一方、昨年の2、3着マジックキャッスルとソフトフルートは10、9番人気だったように複穴もそこそこ出現する。先行タイプのソダシが抜け出し、2、3着に人気薄というパターンもある。


過去10年秋華賞馬体重別成績,ⒸSPAIA


まだまだ成長途上の3歳牝馬なので、馬体重が小さめの馬も多く出走するが、馬体重別成績を出すと、480~498キロ【5-0-0-17】勝率22.7%と突出。アーモンドアイ、デアリングタクトの三冠馬もここに含まれる。前走472キロだったソダシがさらに成長したとなれば、太刀打ちできない。過去には414キロのヴィブロスも勝利しており、小さいことは決して不利ではないものの、今年は2度急坂を越える阪神が舞台なので大きな馬を評価したいところだ。アナザーリリックなど大型馬には注意しよう。


トライアル組の取捨と妙味ある非トライアル組

ここからは具体的に前走レース別成績から、トライアル組などで評価すべき馬をあげていこう。


過去10年秋華賞前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずはユーバーレーベンが当てはまる前走GⅠ【3-0-0-12】について。この3勝はいずれもオークスからの直行組で、アーモンドアイ、クロノジェネシス、デアリングタクトと3連勝中。当然注目すべきローテではあるが、ユーバーレーベンはオークス後、脚元に不安があり、休まざるを得なかったという事情もある。オークスが春3戦目だったように本来は使いながらよくなるタイプであり、ここはこのデータを鵜呑みにせず、慎重に取捨したい。

ソダシの前走GⅡ組【3-5-7-56】はすべてローズSで、札幌記念から秋華賞というローテは秋華賞創設以降たった1頭。09年ブエナビスタしかいない。同馬は札幌記念2着、秋華賞は2位入線3着降着だった。ソダシは札幌記念を勝っており、さらに上の結果でも不思議はない。


過去10年秋華賞前走ローズS組着順別成績,ⒸSPAIA


女王2頭を分析したので、ここからはトライアル組についてみていこう。まずは関西圏のローズS組から。ここは着順別成績をみると、1着【1-1-2-5】を含め、権利をとった3着以内が【2-4-4-18】。好走範囲は4,5着【1-1-1-9】まで。掲示板を外した馬は【0-0-2-28】と好走確率がかなり下がる。今年は出走権をとったアンドヴァラナウト、エイシンヒテン、アールドヴィーヴルまでだろう。


過去10年秋華賞前走ローズS組脚質別成績,ⒸSPAIA


さらにローズSでの位置取り別成績をみると、逃げた馬は【0-0-0-5】と好走なし。エイシンヒテンはこれに引っかかる。先行、中団、後方は大きな差はないので、ローズS組はアンドヴァラナウト、アールドヴィーヴルを残そう。


過去10年秋華賞前走紫苑S組着順別成績,ⒸSPAIA


関東のトライアル紫苑Sは、重賞昇格前のオープン特別時代【1-0-0-24】に対し、16年重賞昇格後は【2-3-0-20】と明らかに傾向が変わった。そこで16年以降のデータを用いて着順別成績を出すと、1、2着【2-0-0-6】、3~5着【0-3-0-8】、6着以下【0-0-0-6】。ローズSと同じく最低でも掲示板は欲しい。こちらも上位着順3頭ファインルージュ、スルーセブンシーズ、ミスフィガロをピックアップしたい。


過去10年秋華賞前走紫苑S組脚質別成績,ⒸSPAIA


同じく位置取り別成績を出すと、紫苑S組は先行【0-1-0-5】複勝率16.7%、中団【2-2-0-10】勝率14.3%、複勝率28.6%が好走ゾーン。4コーナー12番手のミスフィガロはやや苦しく、紫苑S組はファインルージュ、スルーセブンシーズを評価したい。

最後は昨年のソフトフルートが当てはまる非トライアル組について。今年は3勝クラスを勝ったアナザーリリック、抽選対象だが同クラス2着サルファーコスモスなど多彩。また、これらの上がり馬は牡馬相手のレースで結果を出しただけに要注意。人気の盲点になるようなら積極的に狙ってみたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 1995-1999 90年代後半戦』(星海社新書)。


2021年秋華賞に関するデータ,ⒸSPAIA



《関連記事》
デアリングタクト、コントレイルも敗戦の春競馬 「雨の日の競馬は荒れる」は本当なのか
上手な付き合い方のコツは?ルメール騎手の「買える、買えない条件」
「関東馬の復権」「G1のルメール・川田・福永理論」 2021年上半期のG1をデータで振り返る