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【スプリンターズS】カギを握る「同年の1200m重賞勝利歴」 東大HCの本命はダノンスマッシュ

スプリンターズインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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昨年並みのハイペース必至で狙いは差し馬

10月3日(日)に中山競馬場で行われるスプリンターズS(GⅠ・芝1200m)。秋の短距離王決定戦にスピード自慢16頭が集結した。

人気の中心は春の高松宮記念で悲願の国内GⅠタイトルに手にしたダノンスマッシュや、前哨戦のセントウルSを制したレシステンシア、古馬と比べても遜色ない力を有するピクシーナイトなど。名誉ある秋のスプリント王の名を戴くのはどの馬なのか。今週もデータを踏まえて予想していく。


過去10年スプリンターズS傾向,ⒸSPAIA


最初に過去10年のレース傾向を分析する(14年は新潟のため除外。以下同様)。GⅠだけあって前半から厳しい流れで進み、開催最終週での施行ながら前半3F通過が32秒台となることも珍しくない。必然的にハイペースを味方につけた後方待機勢の健闘が目立ち、4角7番手以下が【7-1-4-71】と割合こそ低いものの好走馬を多数出している。特に勝ち馬に関しては15年以降、同7番手以下が連勝中で、アタマで狙うなら差し馬一択だ。

今年のメンバーに目を向けると、昨年の前後半3F32.8-35.5秒という極度のハイペースを演出したビアンフェとモズスーパーフレアの2頭が揃って出走予定。これに気性難を抱えるメイケイエールが加わるとなると、昨年と同等かそれ以上のハイペースとなることが予想される。超がつく一流馬を除き先行勢は激流に飲まれて潰れてしまうとみて、後方待機勢を中心に馬券を組み立てたい。


近走で芝1200m重賞を制しているかが重要

過去10年スプリンターズS同年JRA同距離重賞勝利別成績,ⒸSPAIA


次に過去10年の出走馬を、同年(スプリンターズS以前)の芝1200mJRA重賞を勝利していたか否かで分類した。まず勝利歴がない馬からみていくと、好走例はままあるものの複勝率11%と全体ではイマイチな成績。この組における連対馬7頭のうち5頭はGⅠ馬であり、そこに含まれるのはスプリンターズSを連覇したレッドファルクスや現役馬最強格のグランアレグリアなどの錚々たる面々。ずば抜けた実績を有していない限り、近走の短距離重賞で1着を獲れていない馬が連に絡むことはなく、馬券に組み入れるにしてもヒモまでが妥当だ。

対して該当の勝利歴がある馬は順当に好成績を残しており、勝率・連対率・複勝率のいずれも先の組の3倍近くとなっている。しかも下位人気馬が3着に滑り込むケースが頻繁に見られることもあって、全体での複回収率は112%とプラス。該当馬は直近成績が振るわなくてもとりあえず押さえておくべきだろう。そして順番はいざ知らず、上位2人気を占めるであろうダノンスマッシュとレシステンシアはともにこれに該当。オッズ妙味が皆無でもまず外せない存在だ。


ぶっつけローテで春秋スプリント統一へ

◎ダノンスマッシュ
以前は前哨戦を勝って本番は振るわずというのがパターン化していたが、それを逆手にとったようなぶっつけローテで臨んだ今年の高松宮記念で1着。休み明けは確実に走ってくる馬で、5か月半ぶりの実戦となる今回は力を出し切れる条件。間隔が詰まると良くないだけに約1か月の間隔で臨んだ香港での大敗は無視していい。出たなりに競馬をできる点も強みで、ハイペース濃厚のここは苛烈を極める主導権争いから一歩引いた位置で運ぶはず。一昨年は3着、昨年は2着と当レースとの相性は抜群で、昨年負かされた「化け物」不在の今年はタイトル奪取に向け死角はない。

◯シヴァージ
上位人気馬が堅実に走ってきそうなこのレースだが、穴で推奨するならこの1頭。初の重賞制覇を飾ったシルクロードSでは、開催10日目で馬場が渋っていたことやペースが比較的流れたことなど、この馬にとっての好条件が揃っていた。今回も最終週かつ、台風の影響で上がりのかかる馬場となることが予想される上、ハイペース必至と再びの好機到来。芝での11戦のうち8戦で上がり最速をマークしているように末脚は堅実で、ハマればアタマまで来る力はある。何より同年の芝1200m重賞を勝利しているという好データに合致しており、人気を落とすようなら買わない手はない。

▲レシステンシア
ヴィクトリアマイルでは6着に敗れたものの、1400m以下では重賞3勝含む【4-1-0-0】と崩れていない。レコード決着だった阪神JF・阪急杯を勝利、重馬場で行われた高松宮記念2着と馬場は不問。とにかく安定しており、馬券を買う側からするとありがたい存在だ。「ハイペースに巻き込まれて潰れてしまうのでは」という懸念もあるだろうが、ここは安心できるデータを一つ。過去10年で前3F通過が32秒台だった4レースのうち、4角4番手以内から馬券に絡んだ3頭中2頭は同年のセントウルS勝ち馬。先行勢では唯一この馬に可能性を感じる。

△ジャンダルム
後方待機勢にはおよそチャンスがなかったセントウルSで猛然と追い込み4着。着差が着差なだけに出遅れてしまったのが痛かった。ただ毎度出遅れているわけではないので、先行はないにしろ今回も最後方からとはならないように思う。驚異的な末脚に加え展開も向きそうで魅力的に映るが、3歳以降重賞で勝ち切れていない点は気掛かり。力は足りているがアタマでくるようなイメージが湧かず控えめな評価とした。

以下、昨年も展開を利して突っ込んできたアウィルアウェイと、距離を短縮して差す競馬を覚え始めたピクシーナイトまで印を回す。そしてファストフォースやモズスーパーフレア、クリノガウディーなど中位人気帯を構成するであろう先行馬たちは、ハイペースに苦しむとみて無印とする。

▽スプリンターズS予想▽
◎ダノンスマッシュ
◯シヴァージ
▲レシステンシア
△ジャンダルム
×アウィルアウェイ
×ピクシーナイト

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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