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【神戸新聞杯】シャフリヤールは本当に堅いのか? 「クラシックホースの明け初戦」を分析

ダービー馬が次走を迎えた神戸新聞杯・他馬成績,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

ダービー馬シャフリヤール始動

今週は中京芝2200mを舞台に、西の菊花賞トライアル・GⅡ神戸新聞杯が行われる。春のクラシックを戦ってきた実績馬と上がり馬たちが最後の一冠へ向けて激突する一戦だ。皐月賞・ダービーをともに3着にまとめたステラヴェローチェ、青葉賞馬ワンダフルタウン、京都新聞杯を制したレッドジェネシスなど楽しみなメンバーが揃ったが、何といっても注目は第88代ダービー馬・シャフリヤールだ。

大本命馬エフフォーリアをハナ差差し切った世代一番の大器。神戸新聞杯を使って以降のローテーションは未定だが、わずかキャリア4戦で世代の頂点に立ったポテンシャルは疑う余地もない。どの路線に進んでも能力をさらに開花させてゆくことだろう。

ただし、先輩の牡牝三冠馬がいずれも今季初戦を落としたように、屈指の実力馬でも難しさが伴う休み明け。今週のコラムでは「クラシックホースの明け初戦」をデータで検証。平穏かよもやの波乱か、馬券での取り扱いを考える(データは特記ない限り1986年以降)。

「2着付け」が妙味ある選択肢

ダービー馬の次走,ⒸSPAIA



<ダービー馬の次走(同年、JRAのみ)>
全体成績【13-5-1-5】勝率54.2%/連対率75.0%/複勝率79.2%
GⅡ【13-4-1-2】勝率65.0%/連対率85.0%/複勝率90.0%
神戸新聞杯【8-3-0-1】勝率66.7%/連対率91.7%/複勝率91.7%
ダービータイム差なし【0-3-0-0】勝率0.0%/連対率100.0%/複勝率100.0%

まずは日本ダービー馬・シャフリヤールについて見ていこう。

1986年以降、国内路線を進むダービー馬のほとんどが次走を菊花賞トライアルに選択した。例外は宝塚記念【0-0-0-2】(ネオユニヴァースとウオッカ)、札幌記念【0-0-1-0】(ジャングルポケット)、カシオペアS【0-1-0-0】(フサイチコンコルド)のみ。

ダービー馬はGⅡでは簡単に崩れず、20頭が出走して着外は2頭のみ。タヤスツヨシの神戸新聞杯5着を最後に20年以上にわたって馬券圏内を続けており、菊花賞トライアルに限ると【10-3-0-0】と圧巻。連軸としてこれ以上ない信頼度を誇る。

ただし、ダービーをタイム差なしで勝った馬に限ると全て2着と勝ち切れていない。神戸新聞杯ではアグネスフライトとエイシンフラッシュが該当しており、あえて2着付けの馬単も検討しておきたい。

堅い決着が濃厚

ダービー馬がいる神戸新聞杯の狙い目,ⒸSPAIA



<ダービー馬が次走を迎えた神戸新聞杯・他馬成績>
前走日本ダービー【2-6-3-30】勝率4.9%/連対率19.5%/複勝率26.8%
うち、3着以内【2-4-1-3】勝率20.0%/連対率60.0%/複勝率70.0%
うち、4着以下【0-2-2-27】勝率0.0%/連対率6.5%/複勝率12.9%
前走オープン・GⅡ【0-0-0-18】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%

では「ダービー馬のいる神戸新聞杯」で買うべきなのはどの馬か。前述のように、ネオユニヴァースが宝塚記念を挟んだ2003年は例外とした12レースのデータを用いて分析していく。

当然ながら前走日本ダービー組が逆転候補の最右翼。うち、ダービーで2・3着だった馬の成績が素晴らしく、特に3着馬は【1-3-0-0】とパーフェクト連対。ステラヴェローチェは馬連の相手に最適だが、この人気決着ではオッズがあまりにも安いため、さらに絞って3頭目を探してみる。

ダービーで4着以下だった馬は複勝率12.9%と苦戦を強いられており、ともに二桁着順に終わったワンダフルタウン・レッドジェネシスには厳しいデータ。ただし、今回の低調なメンバー構成でGⅡ勝ちは実績上位。同コースでの重賞勝ちがあり、【0-3-3-10】と比較的相性の良いダービー後方待機組からレッドジェネシスを上位に取りたい。

また前走オープン・GⅡに該当する馬は好走例が皆無で、バッサリ切っていいだろう。

エフフォーリアは古馬に通用する

残るクラシックホース3頭のうち、桜花賞馬ソダシは札幌記念を快勝した。最後に皐月賞馬・オークス馬についても確認しておく。

皐月賞馬のダービー後初戦成績,ⒸSPAIA



<皐月賞馬の明け初戦(同年、JRAのみ)>
全体成績【11-7-2-7】勝率40.7%/連対率66.7%/複勝率74.1%
GⅠ【1-0-0-1】勝率50.0%/連対率50.0%/複勝率50.0%
古馬混合戦【1-2-1-4】勝率12.5%/連対率37.5%/複勝率50.0%
(※ダービー以降の初戦)

ハナ差で二冠を逃したとはいえ、春のクラシックを大いに盛り上げたエフフォーリア。皐月賞馬の春クラシック明け初戦はダービー馬に匹敵するほどの好走率で、単複回収率はともに100%を超えている。

ただし、かつての例はほとんどが菊花賞トライアル。天皇賞(秋)で復帰を予定している同馬には同様のサンプルがほとんどなく、GⅠでの復帰はサクラスターオー(菊花賞)とネオユニヴァース(宝塚記念)のみ。古馬混合戦まで広げても8例、半数の馬が馬券外となっている。

皐月賞馬・3歳シーズンでの天皇賞(秋)挑戦というくくりでは【0-1-1-2】。サートゥルナーリア(6着)・イスラボニータ(3着)・ダイワメジャー(17着)・ジェニュイン(2着)。馬券になった2頭はいずれもダービーで2着に入っており、同様の戦績をたどったエフフォーリアにも通用の素地はある。

オークス馬の次走成績,ⒸSPAIA



<オークス馬の次走(同年、JRAのみ)>
全体成績【10-3-3-18】勝率29.4%/連対率38.2%/複勝率47.1%
GⅠ【3-0-2-8】勝率23.1%/連対率23.1%/複勝率38.5%
2番人気以内【10-3-2-8】勝率43.5%/連対率56.5%/複勝率65.2%
3番人気以下【0-0-1-10】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率9.1%

アクシデントから無事に復帰し、秋華賞参戦にメドが立ったユーバーレーベン。ただオークス馬の次走は全体成績が芳しくなく、GⅠにぶっつけで挑む場合はさらに信頼度が落ちる。阪神復帰では【4-1-0-8】だが、ほぼ全ての例がローズSと参考にはしがたい。

一つの分水嶺になるのが人気。2番人気以内に支持されれば安定感があるが、3番人気以下では消しを検討したい数字。サトノレイナスが戦線を離脱したため、ソダシに続く2番人気の座を守れるかどうかで大きく馬券戦略が変わりそうだ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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