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【オークス】横山親子3代制覇なるか? 白毛馬ソダシだけじゃないオークスの注目ポイント

2021 5/18 06:00緒方きしん
オークス過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

親子三代でのオークス制覇なるか?

ヴィクトリアマイルは大本命グランアレグリアが完勝。史上初の『古馬マイルGⅠ全制覇』となった。この記録を意識していたファンがどれほどいたかはわからないが、偉大な走りであったことは間違いない。さらにはディープインパクト産駒が1〜3着を独占。渾身の10頭出しだったディープ産駒が、ヴィクトリアマイル最多勝であるフジキセキ産駒(4勝)に並んだ。

さて、今週はオークス。こちらは何と言っても、白毛馬ソダシが無敗の二冠を達成するのかに注目が集まる一戦だろう。クロフネ産駒のソダシに対して、キズナやゴールドシップ、スクリーンヒーローといった様々な種牡馬の仔が挑戦する。ディープインパクト×アパパネと、両親に三冠馬を持つ超良血馬・アカイトリノムスメも有力馬の一角として参戦。今週も引き続き、盛り上がりそうだ。

オークスも、その歴史の長さにふさわしく、数々の記録が作られてきたレースである。2007年にはローブデコルテが「マル外」としてJRA史上初のクラシック競走制覇を達成。2010年にはアパパネ・サンテミリオンがJRA史上初のGⅠ同着優勝を果たした。

その2010年、サンテミリオンに騎乗していたのは横山典弘騎手。父である横山富雄騎手はオークスを制覇しているため、親子でのオークス制覇という記録でもあった。今年も様々な記録に期待が高まるが、もしククナとコンビを組む横山武史騎手が勝利すれば、親子三代でのオークス制覇となる。ククナの母であるクルミナルは2015年オークスにて6番人気3着と好走した実績馬。人気の白毛馬だけでなく、こちらの激走にもご注目いただきたい。

1番人気は信頼度◎

2016~2020年のオークス優勝馬ⒸSPAIA



ここ5年、1番人気の勝率は100%。アーモンドアイやデアリングタクトらが人気に応えて強い勝ち方を披露してきた。6年前となる2015年に1番人気を背負って敗れたルージュバックも2着であり、決して大崩れしたわけではない。

最後に1番人気が馬券圏外となった馬を探すと、2012年のミッドサマーフェア(13着)まで遡る必要がある。波乱の多いヴィクトリアマイルに比べ、近年のオークスは随分と安定感がある印象だ。

しかし馬券圏内となる上位3頭が全て上位人気馬かと言えば必ずしもそうではない。この時期にはまだ才能を見出されていない素質馬が、ここで人気薄の快走をするパターンも大いにある。昨年1着はその後無敗の牝馬三冠を達成するデアリングタクトだったが、2着は当時まだ重賞1勝馬のウインマリリン(単勝7番人気)だった。今では日経賞制覇、天皇賞(春)5着と中長距離路線で目立った活躍をしている彼女だが、オークス当時は伏兵評価。トライアルのフローラSを勝利しているものの、桜花賞組や他のトライアル組が評価されていた。

さらにその前年、ラヴズオンリーユーの2着だったカレンブーケドールも、当時は12番人気と低評価。こちらもウインマリリン同様に桜花賞未出走で、トライアル・スイートピーSを勝利しての参戦だった。その後は秋華賞・ジャパンCで2着、天皇賞(春)で3着と目覚ましい活躍をしているが、オークスでは馬連の配当251.4倍という大波乱の立役者だった。

他にも2017年にはフローラS組のモズカッチャンが6番人気でソウルスターリングの2着に食い込んでいる。モズカッチャンはその後、エリザベス女王杯を制覇した。こちらも当時はまだ伏兵扱いだったと言っても良いだろう。

デュランダル産駒を勝利に導いた後藤騎手の名騎乗

人気を背負ったアドマイヤグルーヴが7着に沈み、スティルインラブ・チューニーで決着した2003年オークスの馬連配当は、244.8倍。それ以降も2008年(トールポピー・エフティマイアで240.8倍)、2013年(メイショウマンボ・エバーブロッサムで138.8倍)など、オークスでは定期的に万馬券が飛び出している。

2008年は、エフティマイアが牝馬クラシックを連続して大駆け(桜花賞15番人気2着&オークス13番人気2着)。2013年は桜花賞を見せ場なく10着に敗れていたメイショウマンボが距離延長で覚醒。どちらも観客をアッと言わせる快走だった。

そして、2000年以降の馬連最高配当は、2011年の427.5倍。桜花賞1、2着馬のマルセリーナ・ホエールキャプチャが1、2番人気と信頼を集めたが、出遅れなどにより後方からの競馬に。マイペースで逃げたピュアブリーゼを、ペースを見ながら徐々にポジションをあげていったエリンコートがクビ差とらえて勝利した。

Monsun産駒のピュアブリーゼはフローラSの3着はありながらも重賞連対なしという成績だったが、オークス本番で柴田善臣騎手に乗り替わると逃げの競馬に徹してピタリとハマった。

優勝したエリンコートはスプリント〜マイルが主戦だった名短距離馬デュランダルの産駒。エリンコート自身もデビュー戦は1200mだったように、血統的な観点からオークスでは厳しいと見られていたが、後藤浩輝騎手の好判断により大一番で勝ち切った。雨の中、相棒をしっかりと差し切らせた手腕は、まさに名手のそれ。これがクラシック競走初制覇とは思えない騎乗ぶりだった。

これが、残念なことに、後藤浩輝騎手にとって最後の中央GⅠ勝ち星でもある。

母としても祖母としても活躍する名牝たち

先述したように、今年のオークスにはアパパネを母に持つアカイトリノムスメが参戦。人気の一翼を担うユーバーレーベンは祖母のマイネヌーヴェルが2003年オークスで4番人気11着。自らに流れる血が騒ぐのか、それとも夢を託された馬たちがリベンジを果たすのか。

2005年のオークス馬シーザリオは、エピファネイアやリオンディーズ、サートゥルナーリアといった名馬を送り出す歴史的名繁殖となった。そのオークスの出走馬たちは、母としてもレベルが高い世代である。2着馬エアメサイアはエアスピネル・エアウィンザーらを輩出、孫世代も頭角を現しつつある。3着馬ディアデラノビアもディアデラマドレ・ドレッドノータスらが重賞を制覇し、6着だったジェダイトは名ジャンパー・サナシオンを輩出した。

その翌年のオークス2着馬フサイチパンドラは、その後アーモンドアイを輩出。6着に敗れたキストゥヘヴンは今年ダービーに向かうタイムトゥヘヴンを送り出し、7着だったシェルズレイは『現役最強』候補であるレイパパレを送り出している──。

今年のオークス出走馬たちにも、きっと輝かしい未来が広がっている。まだ見出されていない素質馬が潜んでいるのか、母としても活躍する名牝が潜んでいるのか。兎にも角にも、このレースに出走するだけで素晴らしいことである。全馬が無事に走り切るのを祈るばかりだ。

果たして今年は、どのような熱戦が繰り広げられるのだろうか。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。



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