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【大阪杯】コントレイルか、グランアレグリアか 関東馬52頭連敗中のジンクスと歴史を振り返る

2021 3/30 11:00緒方きしん
大阪杯過去5年の優勝馬ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

"ディープ祭り"か、他馬が防ぐのか

高松宮記念は、ダノンスマッシュが悲願の国内スプリントGⅠ制覇。鞍上・川田騎手の喜びのインタビューが印象に残った。ダノンスマッシュはご存知ロードカナロア産駒。キングヘイロー・ローレルゲレイロ以来となる親子制覇となった。

さて、春GⅠ祭り第二弾は大阪杯。2017年からGⅠに昇格したレースであり、古くからのファンにはまだGⅡのイメージが強いかもしれない。GⅠとGⅡで陣営の本気度などは違えど、この時期にある貴重な中距離戦として重宝されてきた。

GⅡ時代の終盤には、キズナやオルフェーヴル、ダイワスカーレットといった名馬が勝利。さらに時を遡ればトウカイテイオーやメジロマックイーン、エアグルーヴらが大阪杯の勝ち馬として名を残している。

大阪杯も昨年はラッキーライラックが勝利し、オルフェーヴルと親子制覇を達成。今年のメンバーを見ると、特別登録馬15頭のうち、7頭がディープインパクト産駒である。母父ディープや父父ディープを含めると、さらに3頭増える(その内、キセキは回避の予定)。

ディープは阪神大賞典を使ったので、大阪杯は未出走。他の出走馬にも”親子制覇"がかかる馬は不在。ただし、大阪杯2着のハーツクライを父に持つサリオス、大阪杯で2度3着のあるエイシンフラッシュを父に持つアーデントリーらが出走を予定している。父の無念を晴らしたいところだろう。

関東馬苦戦のジンクス

大阪杯過去5年の優勝馬ⒸSPAIA


今年の大阪杯は2強か3強か、はたまた1強か。GⅠ昇格初年度となった2017年は単勝オッズ1桁台が3頭。キタサンブラックが2.4倍、マカヒキが3.8倍、サトノクラウンが4.6倍だった。その際は1番人気のキタサンブラックが快勝し、他の2頭は馬券圏外に沈んだ。

単勝オッズ1桁台が4頭となった翌年も1番人気のスワーヴリチャードが勝利。それ以降は2年連続で、単勝オッズ1桁台が5頭と混戦模様となっていた。

GⅠ昇格後は混戦模様が続いてきたが、GⅡ時代にはよく単勝1倍台の人気馬が登場。2013年〜2015年には、オルフェーヴル・エピファネイア・キズナが続けて単勝1倍台に支持されてきたが、その中で勝利したのはオルフェーヴルのみである。意外にも苦戦してきた歴史がある。

ここをあくまで通過点ととらえるのかどうか、GⅡ時代との違いはあるが、仕上がり具合によっては大物でも取りこぼす可能性が大いにあるのは歴史が示している。また、苦戦の歴史といえば、関東勢。1999年に美浦・大久保洋吉厩舎のサイレントハンターが勝利して以降、関東馬は52頭が出走して未勝利。2012年のフェデラリストが2着に食い込んだのを最後に連対もない状況だ。

昨年1番人気は関東馬ダノンキングリーだったが、結果は3着。同じく関東馬ブラストワンピースも7着に沈んだ。サトノクラウン、イスラボニータ、ヌーヴォレコルト、スピルバーグ、ロゴタイプ、ダークシャドウ。こうした強豪馬たちも勝利どころか、2着にも届かず敗れてきた。

今年の有力馬ではグランアレグリア・サリオスが関東馬。果たして西高東低の大阪杯を覆せるか。もしもコントレイルが単勝1倍台になることがあれば、ある意味不利なジンクス同士のぶつかり合いになあるかもしれない。

短距離女王・グランアレグリアの可能性

今年の注目は古馬初戦となるコントレイルがどのような走りを見せるか、3歳クラシックで悔しい思いをし続けたサリオスが年を重ねて逆転するのか。そして、昨年短距離・マイル路線で勝ちまくったグランアレグリアが2000mの大阪杯に適応できるのか、だろう。

中でもグランアレグリアの距離適性が2000mをカバーしているかについては、大いに議論の余地があり、レースが始まるまでファンは楽しくも悩ましい時間を過ごすことになる。デビューからこれまで、グランアレグリアはマイル以下のみ10戦に出走してきた。1800m戦にすら出走した経験がない。果たして他路線の実績馬が、ここ大阪杯で活躍できるのか──。

他路線で実績をあげた馬の大阪杯参戦といえば、1400m戦、1600m戦(関屋記念)、1800m戦(毎日王冠)と連勝したマグナーテンだろうか。ただし大阪杯で2着に食い込む前にジャパンCで4着・AJCCで勝利と中距離実績をあげてからの参戦だった。また、1996年覇者のタイキブリザードはダート1400m・1800mで勝利、芝でも安田記念・京王杯SCを勝利した短距離実績馬ではある。しかし有馬記念・宝塚記念でも2着に食い込む万能タイプで、あくまでイレギュラーな存在と捉えた方が良さそう。

ダート実績馬といえば、2005年のサイレントディールも挙げられる。武蔵野Sで勝利、フェブラリーSで2着、さらにはドバイ遠征も敢行したダート実績馬だったが、芝路線にシフト。宝塚記念で7着、OP競走・大阪城Sで9着と敗れながらも、大阪杯では一転して逃げの競馬に挑戦し、3着と好走し、アドマイヤグルーヴらに先着した。

さらに、前走ダイヤモンドSで勝利し、距離短縮に不安が囁かれた2006年マッキーマックスは、藤田伸二騎手の好騎乗もあって2着に食い込んでいる。

大阪杯、GⅠ競走といえどもこれは競馬。競馬に絶対はない。グランアレグリアの距離適性は悩ましいところだが……もし仮に2000mが守備範囲外だとしても、戦術次第では十分にチャンスがある。距離適性内である可能性、作戦がピタリとはまる可能性の両方を考慮に入れながら予想する必要がありそうだ。

ルメール騎手の乗り方に注目

大阪杯は、実はリピーターレースの側面も持つ。93、94年にはナイスネイチャが、2年連続で2着。さらに古くは、ランドヒリュウ・オーバーレインボーが、さらに2000年代になってからもエアシャカール・マグナーテンが「連続2着」になっている。

しかし昨年の2着馬クロノジェネシスはドバイへ、一昨年2着馬のキセキは香港へ。改めて日本競馬が国際色豊かになったものだということを感じつつ、リピーターが他にないのか、見渡してみる。

すると、2001年〜2003年と、安藤勝己騎手が三連覇を達成。武豊騎手は通算で7勝をあげている。大阪杯は、勝ち方を知っている騎手が勝つ……とすれば、今年はどの騎手だろうか。2006年以来となる大阪杯2勝目を狙う福永騎手か、初勝利を狙う松山騎手か、それとも──。

ちなみに有力馬の一角・グランアレグリアの鞍上・ルメール騎手は、福永騎手と同じく大阪杯は1勝のみ。ただし、意外にもここ10年で2回しか大阪杯に騎乗していないことが大きな要因だろう。ラキシスで勝利し、マカヒキで4着と、掲示板は外していない。

この戦績を、大阪杯1勝ととるか、勝率五割ととるか。ルメール騎手が大阪杯をどう乗るかに注目したい。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。レオダーバンの菊花賞をみて競馬の魅力に取り憑かれ、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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