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【マーチS】アメリカンシードは今後巻き返せるか? 上位馬にあって同馬にないものとは

2021 3/29 13:08勝木淳
2021年マーチSのレース結果ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

重賞の壁にぶつかったアメリカンシード

アメリカンシードはダートで3連勝、一気にオープン入り。3勝クラスのアレキサンドライトSではマーチSと同舞台を走り、逃げて1分51秒1(不良)。最後は鞍上が後ろを振り向き、追わずにぶっちぎった。派手な内容から断然の1番人気に支持されるも、14着大敗。ワンサイドゲームで条件戦を勝ちながら、重賞で大きく負けるというパターンは案外多い。

大外枠から先手を奪ったベストタッチダウンもそんな一頭だった。4歳冬に京都の北山Sで逃げて1分48秒3(重)の楽勝。1番人気に支持されたアンタレスSは先手を奪えずに2.5差14着。その後はオープン特別では結果を出しながら、重賞に手が届かなかった。

マーチSでは大外枠から一気に先手を奪い、久々に逃げる形。800~1000m地点で11.7を記録する苛烈な流れを演出。1000m通過59.7はアメリカンシードにとって未知なる世界だった。先輩としてオープンの厳しさを示す形になったベストタッチダウンは、残念ながら残り200mで急性心不全を発症、命を散らした。

重賞は条件クラスとはペースが違う。ベストタッチダウンの逃げはオーバーペースだったが、条件戦と同じ競馬をさせてもらえなかったアメリカンシードは、これまでの連勝からは想像できないモロさを露呈した。向正面で手応えが怪しくなり、3、4コーナーでステッキが入り、追走で一杯になった。重賞の壁を一発で越えるのは容易ではない。

重賞でも先行できるようになったレピアーウィット

勝ったレピアーウィットは昨年のマーチSで追い込んで3着だったが、先行する競馬を身につけ、今回は厳しい流れを離れた3番手で余裕をもって追走。ベストタッチダウンの失速で早めに先頭に立ったナムラカメタローを目標に抜け出した。

レピアーウィットも条件戦を派手なパフォーマンスで脱出しながらもオープンの流れに慣れるまで苦労した。昨年のマーチSも流れに乗れていなかった。経験を積むことで、本来の先行策がとれるようになり、好走が増え、重賞初タイトルにつながった。

2着ヒストリーメイカーはオープン入り後6、1、4、4、4、2、5、4着と昇級後も比較的成績の下降がない安定感が武器。裏を返せば、パンチ不足ではあるが、毎回計算できるタイプ。東京大賞典0.1差など力をつけており、今後もダート重賞で追いかけてみてもよさそうだ。

アメリカンシードも、レピアーウィットやヒストリーメイカーと同じく、オープンの流れに対応できるまで経験を積むことだろう。14着大敗に決して悲観することはない。上位2頭の戦歴をみても、ダートは経験が重要だからだ。まだ4歳、これからの馬だ。

3着メモリーコウは6歳牝馬ながら今年に入って3、2、3着と充実期を迎えた。父エスポワールシチーが得意な道悪だったことも幸いしたか。その父は8歳でマイルCS南部杯とJBCスプリントを連勝したように成長力と息長い活力が持ち味。6歳牝馬を理由に評価を下げない方がよさそうだ。

4着オメガレインボーは4コーナー16番手から直線だけで追い上げた。インから鋭く伸び、次走で注目を集めそうだが、最後の600mは13.3-13.1-12.6と加速ラップではあるものの、明らかに時計がかかった。前がペースアップできなかった流れでの追い込みだけに額面通りには受け取れない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。

2021年マーチSレース展開図ⒸSPAIA




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