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【ドバイ】ゴール前で夢が打ち砕かれる場面も 日本馬は2着3回と健闘したドバイワールドカップデーを振り返る

2021 3/29 00:12三木俊幸
ドバイワールドカップデー,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

2度の放馬のアクシデント

昨年は開催直前で延期になり、今年が25回目の開催となったドバイワールドカップデー。1着賞金総額1,200万ドル(約13億1,536万円)のメインレース、ドバイワールドカップはアメリカから参戦したミスティックガイドが勝利。地元UAEのゴドルフィン所有馬だった。

馬場入場の際に芝コースを横切ろうとしたところで、グレイトスコットがデットーリ騎手を振り落とし、放馬。その影響でチュウワウィザードをはじめとしたその他の馬は芝コースで待たされる形となった。

チュウワウィザード,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

捕まったグレイトスコットは競走除外。その後は順調に枠入りも完了してスタートかと思ったところ、今度はミリタリーローがゲートを飛び出して放馬。2度のアクシデントがあってからのスタートが切られた。

ハイポセティカルが逃げ、チュウワウィザードは4番手のインを追走。絶好のポジションからレースを進め、直線でも伸びてきたものの2着に終わった。しかし、前走のサウジカップからの巻き返しは見事で素晴らしいレースだったと言えるだろう。

ミシュリフの切れ味に屈する

クロノジェネシスとラヴズオンリーユーが出走したドバイシーマクラシック。戦前はこのレースが日本馬にとって最大のチャンスではないかと目されていたが、ゴール前でその夢を打ち砕かれた。

クロノジェネス(中央左)とラヴズオンリーユー(中央右),ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

直線ではクロノジェネシスを間にして、内にラヴズオンリーユー、外にミシュリフと3頭が馬体を併せての追い比べに。ゴール前まで接戦となったが、最後はミシュリフの切れ味に屈する形となった。

昨年のフランスダービー馬で芝適性は言うまでもないが、ダートでも結果を残した上でのこのパフォーマンス。今後も日本馬の前に立ちはだかる大きな壁となるかもしれない。

ドバイの芝を味方に2着

ヴァンドギャルドが出走したドバイターフは、デットーリ騎手騎乗のロードノースが大外から差し切って勝利。好位のインからロスのない競馬をしたヴァンドギャルドも最後まで力強い脚で追い上げたものの、2着だった。

ヴァンドギャルド,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

日本では富士Sを勝利しているものの、GⅠでは結果が出ていなかった。上がりの速い決着で一歩劣るところがあったと言うことを考えると、日本よりパワーが必要とされるメイダンの芝が合っていたのだろう。

スピードが違いすぎて

日本から4頭が出走したドバイゴールデンシャヒーン。スタートから逃げたゼンデンが後続を全く寄せつけずに完勝。しかし、ゴール後に故障発生という悲しい出来事もあったレースだった。

レッドルゼル,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

日本馬は後方からレッドルゼルが2着に追い込んできたものの、勝ち馬とは力が違いすぎたと言う印象。コパノキッキングが5着、ジャスティンは7着、マテラスカイは12着と言う結果に終わった。引き上げてきた日本馬の陣営からは「ゼンデンのスピードが違いすぎて……」という声が次々と上がっていた。

ピンクカメハメハは10着

日本では馬券発売が行れなかったが、日本馬3頭が出走したUAEダービーは4着だったタケルペガサスが最先着。フランスゴデイナは6着、サウジダービーを勝利して挑んだピンクカメハメハは10着に終わった。

ピンクカメハメハ

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

そして2Rに行われたゴドルフィンマイルにはデュードヴァンが出走。道中は後方からレースを進めたものの、13着だった。

レース当日は38℃という暑さの中、マスクをつけての撮影。想像以上に体力を消耗する環境だった。水分を取っても取っても足りないという感じで、気がつけば500mlの水を3本飲み切ってしまうほど。

さらに機材トラブルが発生して一時はどうなることかと思ったが、なんとか修復できて無事終わることができた。そうした状況下でも、ドバイでは同じ日本人メディアの方々の助けや海外の関係者との出会いにも恵まれて何物にもかえがたい経験ができた。

この経験を活かし、今後も競馬の魅力を一人でも多くの方に伝えていける、そんな存在でありたいという気持ちがさらに強くなった。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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