高速決着にはならない?
例年であれば、頭数は少ないもののGⅠ級の豪華メンバーが揃う中山記念(GⅡ・芝1800m)。しかし、今年は頭数が揃ったものの、レベルという面ではやや物足りなさを感じるメンバー構成となった。
馬場適性の観点からレースを占うにあたり、昨年末の5回中山開催と年明けの1回中山開催の馬場傾向を振り返ってみよう。
Aコースを使用した5回開催1週目の12月5日は4.5mmの雨が降り馬場は稍重。時計はかかり、先行有利の決着が多かった。天候が回復して良馬場となった6日は、時計はそこまで速くなく、一変して差し馬の台頭も目立った。
その後は有馬記念当日の12月27日まで雨が降らず、乾燥状態が続いた。2週目は先行有利、3週目になってようやく差しが届き始めるようになり、最終週も先行馬が残ることもあったが、レースが進むごとに傷みが大きくなり、直線一気が決まる場面も見られた。
年が明けて1月5日に開幕した1回開催はCコースを使用。しかし、3週目の1月16、17日が先行有利だった以外は外差しが決まりやすい馬場で、時計もかかっていた。
今週から始まる2回開催は、再びAコースを使用。2か月間休ませた内ラチ沿いは馬場が良好な状態に回復しているが、昨秋から全体的に時計がかかる傾向にあるため、2016年や2019年のような1分45秒台の高速決着とまではいかないだろう。
序盤から11秒台のラップが続く
近年の中山記念は少頭数となることが多かったが、序盤から11秒台のラップが続き、持続力を求められるレースになる傾向が強い。同時に、開幕週ということからある程度の先行力と立ち回りの上手さが求められる。

そうした条件に強い馬として、最注目なのはよどみのない流れとなったラジオNIKKEI賞を楽勝したバビット。近2走は大敗しているが、距離が長すぎた感がある。ベストと言っていい1800mならそう簡単には止まらないだろう。
前走、中山金杯を制したヒシイグアスは、3連勝の内容はいずれもラスト4F勝負のスローペースで今回はより持続力が求められる形となるだろう。早めに動かざるを得ない形になった時にどうかという面はあるものの、ギリギリまで好位で我慢できれば十分通用するだけの能力は秘めている。
中山金杯3着のウインイクシードは、スローペースを2番手追走。瞬発力という面ではヒシイグアスに違いを見せつけられたが、今回はより持続力が必要な流れになるのはプラスに働きそうなので逆転可能。
日経新春杯3着から挑むクラージュゲリエは、ラスト1Fで脚色が鈍っていたことからも1800mへの距離短縮はプラス材料だと言える。3歳時には皐月賞5着という実績もあり、持続力とある程度の器用さも兼ね備えているので、好走条件はそろっている。
京都金杯で復活の勝利を果たしたケイデンスコールは、内の先行馬有利という馬場で久々に先行できたという点が勝因の一つとして挙げられる。先行することができるかどうか、結果の出ていない右回りに変わる点、1800mへの距離延長と不安要素は多いが、11秒台のラップが続くレースで勝利してきたという点から狙ってみる価値はある。
▽中山記念予想▽
◎バビット
○ウインイクシード
▲クラージュゲリエ
△ヒシイグアス
☆ケイデンスコール
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
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