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【フェブラリーS】レッドルゼルはレース間隔、カフェファラオは気分次第 人気馬の死角は?

2021 2/18 11:00鈴木ショータ
レッドルゼルに関するデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

レッドルゼル

確固たる実力馬不在の一戦となった今年のフェブラリーS。上位人気に支持されそうな馬について、その死角を分析していく。

まず、レッドルゼルの不安材料はレース間隔だ。全7勝中6勝が中6週以上というレース間隔でのもの。馬券圏内を外したことはたった2回しかないが、その2回は中2週と中3週だ。今回中2週という臨戦過程に黄色信号を灯したい。

レッドルゼルはロードカナロア産駒。同じ父を持つアーモンドアイもなるべくレース間隔をあけて使うようにされていた。全11勝のうち8勝が実に2カ月以上のレース間隔であった。中2週のヴィクトリアマイル→安田記念というローテーションでは、1.3倍の支持に応えられず、2着に敗れている。

このように、ロードカナロア産駒は間隔を詰めるともろい。これは体質が弱いとかではなく、真面目すぎる気性ゆえのものだと予想できる。馬産地でも「ロードカナロア産駒は気性が穏やかで操縦性も高く、真面目」との声をよく聞く。

そのためかレースでも一戦一戦、本気で走るため、レースでのパフォーマンスは高いものの、他の馬よりもダメージが大きく、連戦では力を発揮しにくいという構図だ。

血統的にも、レッドルゼル自身の戦績を振り返ってみても、レース間隔が詰まる今回、前走以上のパフォーマンスは期待しにくい。

カフェファラオ

カフェファラオはチャンピオンズCの時にも「危険な人気馬」として取り上げた馬。短所は気性的な危うさだ。父であるAmerican Pharoahの産駒に総じて見られる特徴でもある。気持ちが走る方向に向くかどうかで、圧勝か大敗か、というムラのある成績になりやすい。

American Pharoah産駒はこれまで【19・4・3・36】と、1着の回数に比べて、2~3着の数が極端に少ない。気分が向けば圧勝だが、嫌なことがあると大敗してしまう。そんな傾向を持つのが特徴だ。

カフェファラオ自身もこれまでの成績は6戦4勝で、負けたレースは7着、6着と馬券圏外へ飛んでいる。それも1度は単勝1.1倍という断然の支持を裏切ってのものだ。軸にするのはかなり危なっかしい。

同産駒のリフレイムという馬もデビュー2連勝を飾ったが、その後2走は着外。先日のクイーンCでは3番人気を背負いながら13着に大敗したのが記憶に新しい。

「勝つか大敗か」。これにヤマを張るのが得策で、穴党は思い切って無印にするのも作戦としてアリかもしれない。ただし、American Pharoah産駒の単勝回収率は156%と優秀。思い切って1着固定にするのも当然アリだ。

カフェファラオに限らず、American Pharoah産駒を見かけたら実践してみてほしい馬券術だ。

アルクトス

アルクトスは、本質的にGⅠで力が通用するのか、という点が気がかり。同馬のGⅠ(JpnⅠ)成績を振り返ってみたい。

2着 2019年南部杯
9着 2020年フェブラリーS
4着 2020年かしわ記念
1着 2020年南部杯
9着 2020年チャンピオンズC

確かに、南部杯でJpnⅠ勝ちを収めているが、勝ちタイムの1.32.7は、ダート1600mでは日本レコード。2001年の武蔵野Sを勝ったクロフネの1.33.3を上回るタイムだ。

時計が速い=強い、という判断をすることもできるが、この特殊な高速馬場が味方した可能性もある。現に重~不良のダートでは②①①着。この成績も「スピードの要るダートなら強い」という仮説を後押しする。 フェブラリーSの過去10年のタイムを分析してみると、最速だったのが重馬場で1.34.0。良馬場に限れば、1.35.1だ。アルクトスが勝った南部杯よりも時計がかかり、パワーを要される。スピードに優れた同馬にとって南部杯よりは厳しい条件になりそうだ。

ダートの1600m以下では【7・2・0・3】。うち東京では5勝も挙げているように、コース自体は合っている。あとは馬場が渋るか、アルクトス自身の成長があるかだ。

インティ

インティの好走ポイントは、ずばりペースだ。前走の東海Sでは、先行争いが激しくなったこともあり、1番人気で12着と大敗。

これまで馬券圏内に入った11回を分析すると、ハイペース1回、平均ペース2回、スローペース8回となった。反対に、ハイペースになったレースだけを見ると、⑨⑮⑭③⑫着と、散々な結果になっている。

楽に逃がしてもらえるか、が最大の焦点となり、同型の出方次第となる。ハイペースと読む人は、思い切って消すのもありだろう。

ライタープロフィール
鈴木ショータ
競馬伝道師。競馬エイトトラックマンを経てフリーに。オリジナルのweb競馬新聞「PDF新聞」を毎週発行。根っからの大穴党で、馬券格言は「人の行く裏に道あり”穴”の山」

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