1番人気は【4-2-2-2】と堅調
1997年シンコウウインディが勝利した年からGⅠに昇格。メイセイオペラ、アグネスデジタル、ゴールドアリュール、アドマイヤドン、カネヒキリ、ヴァーミリアンなど勝ち馬はまさに砂の名馬列伝。
2009年の勝ち馬サクセスブロッケンもそんな一頭。引退後に東京競馬場の誘導馬になった同馬は、GⅠ昇格から24年目を迎える2021年第38回フェブラリーSで誘導馬を引退する。本馬場入場時には出走馬の返し馬はもちろん、サクセスブロッケンの最後の雄姿も見逃したくない。幾多の砂の名馬が駆け抜けたフェブラリーSについて過去10年の傾向から読み解く。
まずは人気別成績から馬券傾向を探る。1番人気は【4-2-2-2】と堅調。さすが砂の猛者が集うレースとあって上位人気は簡単には崩れない。この10年で1番人気に支持され馬券圏外だったのは12年トランセンド、13年カレンブラックヒルの2頭。14年から7年連続3着以内。1番人気を消すのは危険だろう。
4番人気以内が8勝なので大振り禁物ながら、16番人気は【1-1-0-7】。14年1着コパノリッキー、20年2着ケイティブレイブのインパクトは大きい。2、3着は5番人気以下も多く、1~3番人気で決まったのはGⅠ昇格後ゼロ。4番人気以内の決着も02年1、4、2番人気(1着アグネスデジタル)、11年1、3、4番人気(1着トランセンド)しかない。
4歳3勝、5歳4勝、6歳3勝でこの三世代が主力ながら7歳【0-3-1-32】、8歳【0-1-1-17】とダート戦らしく高齢馬の大駆けも。根岸S2着ワンダーリーデル(8歳)などベテランも見限れない。
前走根岸S組で買える馬とは
ここからは具体的にローテーション別に好走馬をさらに掘り下げていく。
ローテーションの多様化が進む芝路線とは対照的にフェブラリーSはかなり好走ローテが限られる。根岸S【4-2-2-49】、東海S【3-1-1-13】、チャンピオンズC【1-2-1-5】の3レースが中心。プラス川崎記念【0-3-1-12】、東京大賞典【0-2-3-12】の地方交流GⅠまでを押さえれば問題ないか。
今年なら南関東所属のミューチャリー、ワークアンドラブまでだろう。まずは根岸S組の好走パターンをみてみよう。
根岸Sでの着順別成績を出すと顕著。馬券圏内はすべて3着以内で4着以下だと【0-0-0-32】とさっぱり。登録馬から根岸S1着レッドルゼル、同2着ワンダーリーデルまで。なかでも【3-1-1-3】の1着レッドルゼルが上位か。
一方、4着アルクトス以下はアウトになってしまう。ただし、着差別でみると4着アルクトスは見限れない。
0.1~0.2差は【1-1-1-8】なので、根岸S0.2差4着のアルクトスは厳しい状況ながら、望みがないわけではない。レッドルゼルのタイム差なしは【1-0-0-0】、18年4番人気1着ノンコノユメがいる。
反対にタイム差なしで負けた馬は【0-0-0-3】。勝ち馬と最後まで競り合って負けた馬のダメージは、精神面も含め予想以上に大きいようだ。ワンダーリーデルはデータ上では着順別成績と同じく危険ではないか。
巻き返しがあるならば、チャンピオンズC組
ここからは東海S組【3-1-1-13】について同じように好走パターンを調べる。
東海Sは根岸Sよりさらに厳しく、着順別では東海S1着が【3-0-1-2】と大半を占め、同3着【0-1-0-2】まで。4着以下は【0-0-0-5】。勝ち馬オーヴェルニュのみ。4着デュードヴァン、12着インティは厳しい状況だ。最後にチャンピオンズC組について。
前哨戦の根岸Sや東海Sは、敗退組の巻き返しが厳しかったが、チャンピオンズCは取り扱いに注意。1.0~1.9負けた馬が【1-0-1-2】と激走する可能性が高い。コースを1周する中京ダート1800mと芝スタート、コーナー2回のスピードトラックである東京ダート1600mは適性が大きく異なるので、チャンピオンズCで大きく負けた馬が巻き返す。
この好走ゾーンにエアアルマスとサンライズノヴァが該当する。後者は昨年の武蔵野S1着、東京7勝のコース巧者。ワンダーリーデルではなく狙いはこちらではないか。前走のチャンピオンズCが0.9差だったのでデータに合致しないが、エアスピネル(20年武蔵野S3着)、カフェファラオ(東京2戦2勝)も東京に実績があるので、巻き返す余地はある。
レッドルゼル、オーヴェルニュ、エアアルマス、サンライズノヴァにエアスピネル、カフェファラオ、アルクトスあたりが好走候補だ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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