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【京成杯】グラティアス勝利も低調なメンバーで超スロー 次走以降で狙える馬は

2021 1/18 12:16勝木淳
2021年京成杯のレース展開図ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

1000m通過1分3秒7の超スロー

京成杯は内容次第で、同舞台で行われる皐月賞の馬券検討にとって重要になる。主要路線とはいえない京成杯組は必ず人気を落とす。皐月賞の穴パターンのひとつである。2勝馬不在、全馬1勝クラスとは「いくらなんでも」という気がしなくはないが、内容いかんでは皐月賞で穴を開ける存在も出てくるだろうと見ていた。

結論からいえば、このレースから皐月賞激走馬が出現する可能性は低いと言わざるを得ない。伏兵陣が控え、2番人気のタイムトゥヘヴンがハナに行く展開。先々を見据えたい上位人気馬が逃げても、ペースを上げるわけがない。まして逃げ戦法を滅多にとらないデムーロ騎手の先行は手綱を引きながら。タイムトゥヘヴンもラチを嫌うような仕草を見せ、いかにもキャリアの浅さを露呈した走りだった。

前半1000mは12.6-10.9-14.0-13.3-12.9。最後は2着に残ったので前半1000m通過1分3秒7という超スローペースは自身にとって間違ってはいないだろう。それでもなかなか不安定なラップ構成だった。2角手前で14秒0は抑えすぎで、自身の脚も溜まるが、後続の脚も十分すぎるほど溜まってしまった。

この恩恵を最大限に受けたのが勝ったグラティアス。タイムトゥヘヴンの背後、流れを考えればこれ以上ない3番手のインコース。目前を逃げるのは2番人気馬、そう簡単には下がってこない。まして走りがどこか不安定。じっくり観察することで進路はいかようにもなる。1番人気馬に乗ったルメール騎手にこの競馬をされては厳しい。

後半もペースは上がらず、後半1000mは12.3-11.9-11.9-11.3-12.0。上がりがややかかる冬の中山の馬場でもここまでゆったり流れれば、後半3ハロン型の軽い競馬になる。4角から坂下までは11秒3。ここで外を回った組はみんな置かれてしまった。グラティアスは、ラチを嫌うコーナリングをするタイムトゥヘヴンが外を回った瞬間に、インを突いて抜け出した。もっとも速い脚を使う場面で最短距離を抜けたためについた0秒4差。鵜呑みにしていいだろうか。

モーリス産駒には厳しい展開

2着タイムトゥヘヴンはコーナリングに象徴されるようなキャリアの浅さがモロに出た。ハナに立ったことでかえって競馬を難しくしてしまった印象がある。強敵不在のメンバーでここまで緩い流れを逃げて2着では評価のしようがない。重賞2着で上位人気に押されるようなら疑いたいところだ。

3着テンバガーはモーリス産駒。同産駒にこの超スローペースは辛かった。シンザン記念のような持続型ラップでこそなので、緩い流れでしっかり自身の出せる脚を使っての3着はむしろ評価したいほどだ。まして母の父はスペシャルウィーク。もっとスタミナを問われる流れで見直したい。

京成杯はグラティアスの勝利で3年連続キャリア1戦馬が優勝。19年ラストドラフト、20年クリスタルブラックはいずれも皐月賞凡走。キャリア1戦馬でも通用するだけのメンバーレベルだったと考える方が自然だろうか。若駒の出走レース数を絞る傾向は今後も変わらない。であれば京成杯のメンバーレベルは自然と低下、キャリア1戦馬でも十分通用するレースになっていくだろう。そういった傾向は忘れずに覚えておきたい。

2021年京成杯レース展開ⒸSPAIA

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。


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