1000m通過1分3秒7の超スロー
京成杯は内容次第で、同舞台で行われる皐月賞の馬券検討にとって重要になる。主要路線とはいえない京成杯組は必ず人気を落とす。皐月賞の穴パターンのひとつである。2勝馬不在、全馬1勝クラスとは「いくらなんでも」という気がしなくはないが、内容いかんでは皐月賞で穴を開ける存在も出てくるだろうと見ていた。
結論からいえば、このレースから皐月賞激走馬が出現する可能性は低いと言わざるを得ない。伏兵陣が控え、2番人気のタイムトゥヘヴンがハナに行く展開。先々を見据えたい上位人気馬が逃げても、ペースを上げるわけがない。まして逃げ戦法を滅多にとらないデムーロ騎手の先行は手綱を引きながら。タイムトゥヘヴンもラチを嫌うような仕草を見せ、いかにもキャリアの浅さを露呈した走りだった。
前半1000mは12.6-10.9-14.0-13.3-12.9。最後は2着に残ったので前半1000m通過1分3秒7という超スローペースは自身にとって間違ってはいないだろう。それでもなかなか不安定なラップ構成だった。2角手前で14秒0は抑えすぎで、自身の脚も溜まるが、後続の脚も十分すぎるほど溜まってしまった。
この恩恵を最大限に受けたのが勝ったグラティアス。タイムトゥヘヴンの背後、流れを考えればこれ以上ない3番手のインコース。目前を逃げるのは2番人気馬、そう簡単には下がってこない。まして走りがどこか不安定。じっくり観察することで進路はいかようにもなる。1番人気馬に乗ったルメール騎手にこの競馬をされては厳しい。
後半もペースは上がらず、後半1000mは12.3-11.9-11.9-11.3-12.0。上がりがややかかる冬の中山の馬場でもここまでゆったり流れれば、後半3ハロン型の軽い競馬になる。4角から坂下までは11秒3。ここで外を回った組はみんな置かれてしまった。グラティアスは、ラチを嫌うコーナリングをするタイムトゥヘヴンが外を回った瞬間に、インを突いて抜け出した。もっとも速い脚を使う場面で最短距離を抜けたためについた0秒4差。鵜呑みにしていいだろうか。