「堅いレース」でいいのか?
12月26日の中山メインはホープフルステークス。先週の朝日杯FSと並ぶ2歳GⅠで、かつてのラジオNIKKEI2歳Sを前身とする2000m戦だ。2歳戦線の改革により、2014年に中山GⅡとして生まれ変わり、16年からGⅠとなっている。
昨年と一昨年は1~3番人気が上位独占。3連単配当はそれぞれ2760円、3650円という堅い決着だった。今年もどうせ荒れない、と思っているファンも多いだろう。
ただ、この2年は13頭立てという少頭数に加え、サートゥルナーリア、コントレイルというズバ抜けた存在がいた、いわば「例外的」な年。17頭立てだった2回、17年は3連単5万2380円、14年はなんと34万5220円という配当が出ており、頭数さえ揃えば波乱の余地は十分にあるのだ。今年の出走馬は15頭。穴狙いが無謀ではない年、といっていい。

さて、普段は「近走で実力を発揮できなかった馬」の巻き返しに注目して予想していくのだが、14年以降のホープフルSで前走2着以下だった馬は【1-0-0-33】。唯一の馬券圏内(17年タイムフライヤー)も前走が重賞2着、本番では1番人気だったので、全く妙味がない。
ホープフルSが荒れる場合のパターンは、「前走1着なのに人気がない馬」に限られる。これを踏まえて今年の出走馬を見ていこう。
シュヴァリエローズに注目
今回の注目馬はシュヴァリエローズ。6月の阪神マイルで新馬勝ちを挙げたあと、新潟2歳Sで5着、萩Sを勝ってここに向かうという戦績。前走1着ながら、無敗馬に比べれば人気も控えめということで、前述のパターンに合致する。
唯一の敗戦だった新潟2歳Sはスタートで出遅れ、早々に馬群から3馬身ほど置かれての追走。夏の新潟開催最終週ともあって各騎手が内を避ける馬場状態だったが、この馬だけ終始最内を選択。最内枠、出遅れから外を回っては間に合わないということで賭けに出たのだろうが、結果論では裏目だったか。
そもそもこの時は初の左回りでもあり、道中の行きっぷりもいまひとつ。右回りに戻して距離を延ばした前走が本来の姿だろう。今回さらに200m延びるのもプラスに作用しそうだし、2年連続で連対中の萩S勝ち馬という点もゲンがいい。
また、年末の中山で清水久嗣厩舎といえばキタサンブラックが想起される。実は清水厩舎は中山遠征時の成績が非常によく、過去5年で単勝回収率は実に244%。この辺りも強調材料だ。
ヒモに入れたいアオイショー
対抗はオーソクレース。エピファネイア×マリアライトという血統だけ見れば、重馬場やロングスパート戦にめっぽう強いタイプなのだろうが、新馬戦は上がり最速33.9、アイビーSも東京で後方から上がり最速の差し切りと瞬発力勝負に対応している。
あくまで血統は血統だが、素直に考えれば東京から中山に替わってさらにパフォーマンスを上げるはず。苦手な瞬発力勝負を力の違いで連勝していた超大物、という可能性もある。
3番手は穴でアオイショー。前走の時計自体は稍重馬場と超スローペースで目立たない。ただ前半64.9、後半60.0という後傾ラップを、後方から動いて行って2馬身半差の勝利という内容には価値がある。実際、このレースは2~5着が全て道中で好位にいた馬だった。「前走1着の人気薄」という条件も満たしており、ヒモに入れておくと面白そうだ。
ダノンザキッドは4番手。6月の阪神芝1800m新馬史上、最速のタイムで勝利した点は高く評価できる。ただ、東スポ杯に限って言えば例年ほどのメンバーが集まった印象ではなく、折り合い不安ものぞかせた。圧倒的な人気になりそうだが、全幅の信頼は少々怖い。
以下、黄菊賞を差し切ったアドマイヤザーゲを押さえたい。タイトルホルダーは前走2着がデータ的に引っかかる。
ヨーホーレイクに関しては、新馬戦から堅実に稼ぐ母クロウキャニオン産駒の特徴に漏れずのデビュー2連勝。しかし、そこからの上積みはやや乏しい一族でもあり、兄姉のGⅠ成績は【0-0-0-10】。POGを楽しむ人には有名な母だが、即戦力で2歳から走る割にはGⅠで勝負する爆発力は欠く。今回は見送りとしたい。
▽ホープフルS予想▽
◎シュヴァリエローズ
〇オーソクレース
▲アオイショー
△ダノンザキッド
×アドマイヤザーゲ
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