トリッキーな中山コース!平均配当は馬連3504円、3連単51616円
今年ほど「当たり前」という言葉が消えた年はないだろう。新型コロナウイルスの猛威が世界中に広がり、目に見えない閉塞感に日々襲われている。それでも朝はやってくる。明けない夜はないのだ。
そんな事を考えながらパソコンの前に向かっているとあるレースを思い出した。それは2011年有馬記念。そう、三冠馬オルフェーヴルが制した年である。
あの当時、私は東北でサラリーマンをしており、身をもって東日本大震災を体験した。ひとりの被災者となり会社もなくなり、明日が見えない日々を過ごし続けた。それでも何とか頑張り続け迎えた年末。黄金の三冠馬の走りを感動しながら見た時に、なぜか涙が流れていた。
有馬記念特有のトリッキーなコース。外回りの3コーナー手前からスタートし、内回りを約1周半する。コーナーが6つありペースが上がりにくく、前に行く馬がどの様なレース展開を作るかがポイントとなる。心臓破りの坂を2度駆け上がるタフなコースで、中山巧者の活躍が目立つ。
1番人気は[5-2-1-2]で前走3着以内に好走していた場合は[5-2-0-1]。2019年アーモンドアイ以外の全馬が馬券に絡んでいる。勢いのある人気馬には逆らえないということか。連対馬15頭が5番人気以内で、残る5頭は7、8、8、9、10番人気。馬連の平均配当は3504円、3連単の平均配当は51616円となっている。馬連で10倍以下が4回、30倍以上が5回で万馬券は1回のみだ。
3~5歳馬が絶対的!牝馬は当日の人気に注目だ
近10年間で連対を果たしたのは3~5歳馬のみ。3歳[5-2-3-16]4歳[1-6-2-35]5歳[4-2-4-43]6歳以上[0-0-1-32]となっている。
性別では牡馬が[8-8-10-105]で牝馬が[2-2-0-21]という成績だが、牝馬の場合は有馬記念当日に4番人気以内に支持された場合[2-1-0-3]で5番人気以下の場合[0-1-0-18]となっている。今年は牝馬に人気が集まりそうなだけに当日は注意をしておきたい。
前走はGⅠ組が有利!GⅡ以下は勝利が条件
前走成績を見ると、菊花賞組[4-1-2-3]ジャパンC組[3-4-6-47]が本来有力なのだが、今年は様相が違う。[3-0-2-0]の菊花賞馬コントレイルは有馬記念には不在。とはいえ2着以下だった馬も[1-1-0-3]で2018年にはブラストワンピースが4着から巻き返しており、軽視は禁物だ。
次にジャパンC組は1着馬アーモンドアイがラストランとなり、このレースに駒を進めてきた最高着順馬は4着馬カレンブーケドールだ。過去にもエイシンフラッシュ、トゥザグローリー、ゴールドシップなどジャパンCで掲示板を外した馬でも有馬記念では馬券圏内に巻き返してきている。4、5歳馬であれば前走大敗でも極端に評価を下げる必要はなさそうだ。
GⅡからの転戦馬は勝ってここに臨んでいる事が絶対条件で、GⅢ組は[0-0-1-11]と連対できていない。
ステイゴールド産駒の独壇場!
2010年から2020年12月18日までの間に行われた中山芝2500mは延べ103レース。ステイゴールド産駒が[23-19-16-109]連対率25.1%、複勝率34.7%と好成績。母数が違うとはいえ、続くのがハーツクライ産駒で[9-10-8-62]なのでいかに得意にしているかが分かる。
今年は6歳馬だがクレッシェンドラヴがスタンバイしている。以下、ディープインパクト産駒[7-5-8-76]キングカメハメハ産駒[4-7-12-66]と続くのだが、面白いのは5位のゼンノロブロイ産駒。[4-0-0-31]と勝ち負けがはっきりとしているのだが、大駆けが目立つ。来年から調教師へ転身予定の蛯名正義騎手が4歳馬サンアップルトンに騎乗予定だ。
有馬記念を勝ち切る条件を満たす馬は!?
ジャパンカップの上位3頭がいないとはいえ、馬券の面ではなかなか面白いメンバーが集まった今年の有馬記念。勝ち馬を探すうえで先に紹介した「3~5歳馬」「前走GⅠ出走馬、GⅡ勝ち馬」の他に近10年間の優勝馬に共通しているのは、「前走国内で2400m以上のレースを経験している」「重賞連勝経験ないしは条件戦含み3連勝以上経験」という点だ。
なんとこの4つの条件を満たすのは、
・オーソリティ(牡3・アルゼンチン共和国杯1着)
・オセアグレイト(牡4・ステイヤーズS1着)
・バビット(牡3・菊花賞10着)
の3頭しかいないのである。
オーソリティに関してはクラシックへの出走はかなわなかったが、前走で古馬を一蹴しここに乗り込んできた。同じクラブの先輩ブラストワンピースも新潟記念で古馬を下し、3歳で有馬記念を制しているだけに侮れない存在になるかもしれない。オセアグレイトは前走で重賞初制覇。今回も横山典弘騎手で続戦をしてくれば面白い。
最後にバビットだ。未勝利勝ちから一気に重賞連勝を含む4連勝を果たし、菊花賞では打倒コントレイルの一角にあげられるまでに成長した。先行力がありいかにも中山向きの一頭。過去には菊花賞16着のトゥザワールドが2着に激走しているだけに軽視は禁物だ。
《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。
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