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【朝日杯FS】阪神へ移って傾向が一変 穴でアスコルターレが面白いワケとは?

2020 12/16 11:00緒方きしん
朝日杯フューチュリティステークスのデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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明暗がはっきり分かれる 今の朝日杯はロイヤルチャージャー系有利

阪神JFでは、史上初となる「白毛馬のGI馬」が誕生。しかもあのゴール前での勝負根性はかなりのもので、来年のクラシック路線での活躍も期待できそうだ。アーモンドアイという超アイドルホースが引退して間もないうちに、また新たなアイドルが誕生した。まずはそのことがうれしい。あの見た目の美しさは、競馬ファン以外の心にも刺さってくれるはずだ。

さて、お次は2歳牡馬GⅠ。こちらも負けじと、来年に期待が持てるヒーロー誕生に期待したいところ。注目の2歳GI朝日杯フューチュリティステークスを、血統大好きライター・緒方きしんが診断する。

朝日杯FSといえば近年はサリオス・アドマイヤマーズ・ダノンプレミアムといった、のちの名馬が多数輩出されている。一時期は低迷期もあった朝日杯FSがここまで大きく躍進しているきっかけのひとつが、2014年からの中山→阪神という開催地移転だろう。よりダイレクトに強さ比べができるようになったマイル戦は、中山時代とガラリと傾向が変化した。

2000年〜2013年の中山時代は、ニアークティック系が最多の6勝。それまではニアークティック系を買っておけばなんとかなるレースだったが、開催地変更後は未勝利。代わりにロイヤルチャージャー系が5勝と、明暗がはっきりと分かれている。今年もロイヤルチャージャー系、つまりはサンデーサイレンス系が勝ち馬に1番近いと考えていいだろう。

今年の出走馬だと、レッドベルオーブ・モントライゼ・カイザーノヴァらがロイヤルチャージャー系だ。中山時代であれば、ニアークティック系であるショックアクション・グレナディアガーズらは面白い存在になっただろうが、今回は血統的なトレンドから外れている。

同じくネイティヴダンサー系のドゥラモンドやホウオウアマゾンもトレンド外。人気の一角であるステラヴェローチェもナスルーラ系であるため、阪神移転後は勝ち星がない血統ということになるが、こちらはサンプルが少ないため保留したいところ。

ただこれは、あくまで「頭で狙うなら」という場合で、3着以内という観点ではまた違った様相を見せる。

穴を狙うならネイティヴダンサー系!

阪神移転後の朝日杯FSで、複回収率が100%を超えているのは、ネイティヴダンサー系・ナスルーラ系。ナスルーラ系がサンプル不足なのは前述の通りだが、ネイティヴダンサー系は27頭出走して[1- 2- 2-22]と、複勝率18.5%の好成績である。

人気薄になりそうなネイティヴダンサー系の出走馬といえば、まず目につくのはドゥラメンテ産駒の2頭。もみじSを制覇したアスコルターレと、東スポ杯2歳Sで3着のジュンブルースカイ。どちらも人気ほど上位陣と差がない実力を持っている。その点を踏まえれば、狙い目はこのあたりになるか。

あとはドゥラメンテと同じく新種牡馬のリオンディーズからピンクカメハメハにも注目だ。ここ数戦は精彩を欠いているが、半姉は先日12月5日に亡くなったばかりの名馬・スイープトウショウ。激走を見せてくれたら、ファンとしては感無量。ロマン枠はこの馬だろう。

開催地変更による血統傾向の変化

母父だとニアークティック系が面白い存在に

母父はどの血統が有利かを調べると、こちらも中山時代とは変化している。中山時代は母父ロイヤルチャージャー系が猛威をふるい、勝率、連対率、複勝率トップ、単回収率170%と一強体制を築き上げていた。

しかし阪神移転後は一変、母父ニアークティック系の回収率が向上。勝率や連対率は2番手ながら、複勝回収率179%と優秀なスコアを叩き出している。それなりに安定していて、しかも伏兵がくる確率も高いというワケだ。

母父ニアークティック系といえば、アスコルターレ・ショックアクション・バスラットレオンなどが該当する。特にアスコルターレは前述の父ネイティヴダンサー系とあって、血統で狙う穴馬としてはこの馬が1番手と言えるかもしれない。

父ロイヤルチャージャー系で紹介したレッドベルオーブ・モントライゼは、どちらも母父がネイティヴダンサー系。ネイティヴダンサー系は勝率面では1番手なので、勝利を目指すこの2頭にとってはマイナス要素にはならないだろう。

ディープ産駒のレッドベルオーブ、ダイワメジャー産駒のモントライゼが火花を散らしつつ、伏兵が3着に食い込んでくる構図になるだろうか。年末に向けて、アツい戦いが今週も楽しめそうだ。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。レオダーバンの菊花賞をみて競馬の魅力に取り憑かれ、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。


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