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【阪神JF】白毛一族ソダシとメイケイエールはどちらが強い?穴はヨカヨカに期待

2020 12/12 17:00山崎エリカ
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ⒸSPAIA

前走着順が重要

2歳牡馬は朝日杯フーチュリティSとホープフルSに有力馬が分散するが、2歳牝馬はほぼここ一本道。それだけに例年、「2歳女王決定戦」と呼ぶにふさわしい、そうそうたる顔ぶれが集う。今年も札幌2歳SとアルテミスSを連勝したソダシに、小倉2歳SとファンタジーSを連勝したメイケイエールなど、無敗の2歳牝馬が多数集結。それも前記2頭ともに白毛一族だから、馬券以外の視点でも楽しめる。

また2歳戦、特に重賞は成長比べでもある。前走で大敗した馬は、順当に成長を遂げられていないも同然で、巻き返しにくいのがポイント。実際に過去10年の優勝馬は前走1着か、重賞で連対している馬ばかり。2着馬こそ2010年のホエールキャプチャや2015年のウインファビラスなど、前走で惜敗した馬が巻き返している場合もあるが、それらは前走で何かしらの不利があった馬たち。基本的に本命馬は、ハイレベルな重賞の勝ち馬か、重賞に準ずるレベルのレースの勝ち馬から選びたい。

白毛一族のソダシとメイケイエールはどっちが強い?

阪神ジュベナイルフィリーズPP指数

今回の出走馬が経由したレースで、もっともハイレベルだったのはメイケイエールが優勝した小倉2歳Sだ。その時の同馬の指数が「-15」。次点も同馬が優勝したファンタジーSで指数が「-14」だから、メイケイエールが能力値、最高値ともに1位となる。

今年の小倉2歳Sは重馬場でかなりタフな馬場状態だった。前半3F33.9の超ハイペースだったが、メイケイエールは出負けして後方からの競馬。3~4コーナーでは鞍上が制御し切れず、馬なりで2列目の先頭まで上がって直線を迎える形。2番手のモントライゼが直線序盤で先頭に立って粘り込みを図るところを、ラスト1Fでとらえて優勝した。小倉2歳Sの後半3Fラップは11.8-12.1-11.8と、ラスト1Fで加速していることから、メイケイエールはこのレースで底を見せていないことになる。

その次走のファンタジーSでも、やや出負け気味から制御できていたが、結局折り合いを欠いて2番手まで上がって行ってしまった。並の馬ならば大失速するパターンだが、まさかの押し切りを決めた。超絶高速馬場ではあったが、2歳レコードタイムのおまけ付きである。

一方、ソダシは少し折り合いを欠く面はあるが許容範囲。先行押し切りという優等生の競馬で、札幌2歳S、アルテミスSともに指数「-13」で優勝した。同馬の能力値は2位、最高値は2位タイとなる。

札幌2歳Sではピンクカメハメハがペースを引き上げて、前半4F47.1-後半4F49.0の超ハイペースになったが、3~4番手の外から、4コーナーでピンクカメハメハに並びかけて直線序盤で先頭に立ち、そこから押し切って優勝した。3~4コーナーの外からまくって来た2着のユーバーレーベンにクビ差まで迫られたが、勝ちに行く競馬でロスの大きい競馬になったことを考えれば、濃い内容だった。

また、次走のアルテミスSは、エクイターフ(天然芝)の高速馬場で前半4F48.6-後半46.3のスローペース。速い上がりが要求されたが、2列目の外から直線序盤で早め先頭に立つ競馬で優勝した。早め先頭に立った分、ラスト1Fでは少し甘くなったが、他馬もなかなか伸びて来られず、外からじわじわ伸びて来たククナを1馬身4/3差ほど退けての優勝だった。

レース運びの巧さ、手堅さはソダシの方が上だが、素質の高さ、将来性はメイケイエールに分がある。ただし、メイケイエールはかなり折り合い難でスタートから4コーナーまで5番手という、同じ位置にいる競馬ができないだけに、ノープランで距離克服は難しいだろう。

今回で折り合いがつくかもしれない、わずかな可能性に懸けて自滅するよりも、いっそ前半はコントロールに専念して、ペースが緩んだタイミングで一気にまくる作戦なら、上位争いに加われるとみている。陣営が大外枠歓迎ということから、今回鞍上がそう乗るつもりであることが推測がつく。

ソダシは鞍上に「切れない馬」という意識あるだけに、早めに動いて行く形になりそう。アルテミスSでは、想定していたよりも速い脚が使えていたが、早く動くことは自ら「マークして下さい」と言っているようなもの。それが自らを苦しめる結果になることがあるのが競馬だ。ここはメイケイエールに都合のいい展開を生み出すと見て、こちらを最有力視したい。

距離延長で条件好転のヨカヨカが穴馬

穴は新馬戦からひまわり賞まで3連勝を果たした、九州産馬の星ヨカヨカが面白い。同馬は芝1200mの新馬戦で3番枠から出負けしたものの、3コーナー3番手のモントライゼの直後まで押し上げ、同馬をマークしながら直線序盤で外から鋭く伸びて先頭。そこからモントライゼとの叩き合いを制しての勝利だった。同馬が新馬戦で撃破したモントライゼは、その後の小倉2歳Sの2着馬であり、京王杯2歳Sの優勝馬でもある。

前走のファンタジーSでは5着だったが、出遅れて先団に取り付くまでに脚を使い、さらに4コーナーでは外から上がって来たメイケイエールの外に持ち出して、同馬とともに動いて行く形。速い流れの前半で脚を使った上に、後半もメイケイエールに合わせて早仕掛けをしては、失速して当然の内容。

むしろ、0.4秒差に踏み止まったあたりにヨカヨカの素質をうかがわせた。マイル戦なら出遅れても無理な脚を使って挽回して行く必要もないのいで、距離延長で出たなりの競馬ができれば、直線でもっといい脚が使えるとみている。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)メイケイエールの前走指数「-14」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.4秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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