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【阪神JF】先週末は「4角4番手」以内が好走 前残りの馬場を味方にできる穴馬とは?

2020 12/10 11:00三木俊幸
阪神JF馬場適正チャートⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

勝ちタイムは平均〜やや速め

来年春の桜花賞と同舞台で争われる阪神JF(GⅠ・芝1600m)。過去10年では2012年と2015年を除いて、このレースで3着以内に入った馬が桜花賞でも好走しており、本番との直結度合いが高いレースだと言える。2歳女王の称号を得るのはどの馬なのか、馬場適性の観点から分析・予想していく。

先週の阪神競馬場は1週間を通じて雨量は計測せず。乾燥した状態で、土曜日のクッション値が9.6(ゴール前の含水率10.5%)、日曜日は9.9(ゴール前の含水率は9.2%)となっていた。

先週末の阪神芝コース タイムと上がりⒸSPAIA

芝コースで行われた全11レースの結果から勝ちタイムと上がりタイムについて見ていくと、勝ちタイムは全体的に平均〜やや速め。日曜日の10R逆瀬川S(芝1800m)は前後半4Fが48.3-45.7(+2.6)のスローペースだったものの、1:46.0で決着。12Rの3歳以上2勝クラス(芝1400m)は46.1-46.6(−0.5)のミドルペースで1:20.9というタイムだった。

また、阪神JFと同じ外回りコースを使用したレースの上がりタイムを見ると、日曜日の3Rに行われた2歳未勝利戦(芝1600m)は前後半が+1.2のスローペースだったものの、1〜3着馬が使った上がりは34.6、34.2、34.2と平凡。

しかし、3勝クラスの逆瀬川Sは2着に入ったコマノウインクルが33.2という上がりをマークしていることを踏まえると、ペース次第では極端に速い上がりになる可能性もゼロではないが、速くても33秒後半の決着と見た。

4角4番手以内の複勝率54.6%

先週末の阪神芝コース 通過順位ⒸSPAIA

続いて通過順位について深堀りしていくと、4角先頭だった馬が5勝、2着3回と活躍。4角4番手以内だった馬の複勝率が54.6%と全体の半数以上を占めていた。その一方で、先述の逆瀬川Sをはじめとした外回りのレースでは2、3着に後方からの差しも届いていた。

3着内馬が直線で通ったコース(外回り)ⒸSPAIA

その外回りコースを使用した4レースで3着内に入った馬が直線で内から何頭目のコースを通って伸びてきたのかを調べたところ、内から3頭目を伸びてきた馬が2勝、2着2回、3着2回と全体の半数を占めていた。

阪神開催は今週からBコースとなるので、内から2〜3頭分のスペースは仮柵で保護されることとなる。しかし、内から4〜5頭目が2勝、2着1回だったこと、また内から8〜10頭目という外を回った馬でも2着1回、3着2回と伸びてきていたことを考えると、内外差のない馬場となるだろう。

穴で面白いのはエイシンヒテン

まだキャリアの浅い2歳牝馬たちによる争いということで、まだキャラクターがはっきりと見えていない面はあるものの、各馬の適性について詳しく見ていこう。

阪神JF馬場適正チャートⒸSPAIA

【ソダシ】
2走前の札幌2歳Sでは前半1000mが59.2とハイペースの中、4角先頭でそのまま押し切ってレコード勝ち。その内容を見ると、小回りで上がりのかかる持続力勝負に強いタイプかと思った。しかし、前走のアルテミスSではスローペースで時計こそ遅かったが、2番手追走から上がり33.9を使って勝利と能力の高さを示している。

不安があるとすれば、阪神の外回りコースで速い時計に対応できるかどうか。少しパワーを要求されるくらいの馬場が理想だが、ペースは流れそうなので持久力勝負に強いこの馬に流れは向きそう。

【サトノレイナス】
過去2戦ともエンジンが掛かってからの伸びは素晴らしく、特に前走でマークした上がり34.0はこの時期の2歳馬では簡単に出せる数字ではない。新馬戦は稍重、前走は良馬場ながら力のいる馬場だったことからも道悪になっても問題ないが、軽い馬場に変わることはプラスに作用するはずだ。

【メイケイエール】
前走のファンタジーSは1:20.1のレコードで勝利している。しかし、全3走とも行きたがる面を見せており、更なる距離延長で折り合い面に不安を抱える。それでいて重賞連勝できる能力の高さと道悪にも対応できている点は評価できるが、外回りコースに変わることと人気面を考えると狙いづらい。

【インフィナイト】
過去2戦とも不良馬場、前走は牡馬相手の重賞で2着となっている点からも、能力は高いと言える。雨が降れば降るほど歓迎で、高速馬場への適性については現時点で何とも言い難いので少し評価は下げたが、ある程度の時計勝負には対応できるだろう。

【オパールムーン】
前走のファンタジーSは最後方追走から、直線で大外に持ち出して2着。距離延長と外回りコースに変わることはこの馬にとってプラス材料。ただ高速馬場で良さが生きるタイプだと考えるので雨は降らないでほしい。

【ユーバーレーベン】
前走のアルテミスSは終始後方からレースを進め、直線では進路を見つけるのに時間を要したが、ゴール手前では勢いよく伸びてきていた。2走前の札幌2歳Sでソダシにクビ差まで迫った内容からも、人気ほど大きな差はないように感じる。距離はもう少しあった方が良さそうなので、マイル戦なら雨が降ってパワーを要する馬場になってほしい。

【エイシンヒテン】
近2戦は、逃げる競馬で連勝。父エイシンヒカリ譲りのスピードが持ち味の馬だ。前走の白菊賞はスローペースに持ち込み、ゴール前では2着以下を突き放す強いレース内容だった。今回は同型のポールネイロンもおり、前走のようなスローペースにはならないだろうが、自在性もありそうなので、比較的前残りの馬場を味方にできる穴馬として取り上げておく。

▽阪神JF予想▽
◎ソダシ
○サトノレイナス
▲オパールムーン
△インフィナイト
×ユーバーレーベン
☆エイシンヒテン

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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