桜花賞と同舞台!阪神「芝1600m」の傾向
2001年12月2日。この年から名称変更がされた阪神ジュベナイルフィリーズを制したのは青森県七戸町諏訪牧場生産のタムロチェリーだった。デビュー戦は11着に惨敗したが、小倉2歳Sでは小池隆生騎手を背に単勝万馬券の最低人気で優勝。
本番ではO.ペリエ騎手が手綱を取り、同郷のグリーングラス以来のGⅠ制覇を成し遂げた。その後目立った活躍はできなかったが、繁殖牝馬としては孫であるミライヘノツバサが2020年ダイヤモンドSを単勝300倍超の最低人気で制している。北海道だけでなく競走馬は生産されている。今年は熊本県産馬のヨカヨカとルクシオンが出走予定だ。
近年では阪神JFを制したメジャーエンブレムがNHKマイルC、ソウルスターリングがオークス、ラッキーライラックがエリザベス女王杯連覇、大阪杯制覇など活躍馬が続出しているだけに目が離せない一戦になりそうだ。
舞台は桜花賞と同じ阪神芝1600m。最初のコーナーまで約444m、最後の直線は約474mでゴール直前には高低差1.8mの急坂が待ち構えている。ゆったりとした流れになる事が多いコースで、直線での瞬発力勝負が求められる。事実、前走の上がり3ハロンタイムで6位以下のタイムだった馬は「1-0-2-41」と奮っていない。
平均配当「馬連6113円」「3連単334340円」
過去10年間の平均配当は「馬連6113円」「3連単334340円」と高配当になっている。というのも2012年に馬連35990円、3連単3047070円という大万馬券が飛び出したためである。
1番人気の成績は[4-1-1-4]で連対率50%。馬連の組み合わせの人気でいうと、9番人気以下の組み合わせが7回出現しているように、本来は上位人気が総崩れとはなりにくいレースである事は覚えておきたい。
前走の着順は注意深くチェックが必要
前走の着順で考えると近10年間、前走で掲示板を外した馬が馬券に絡んだ事は一度もない。GⅡをステップレースにしてきた馬は[1-0-2-8]で、2着以内なら[1-0-1-3]3着以下は[0-0-1-3]。次にファンタジーS、アルテミスSなどのGⅢ組は[6-6-4-56]と好成績。3着以内なら[6-5-4-25]4着以下は[0-1-0-31]と明暗がはっきりしている。4着以下から巻き返せたのは2015年アルテミスS5着から本番2着としたウインファビラスただ1頭となっている。
オープン特別、1勝クラスから転戦し馬券に絡んだ馬は全馬が勝って本番に臨んでいた。未勝利戦組は[0-0-0-11]、新馬戦組は[1-0-1-13]と苦戦気味。馬券に絡んだジョワドヴィーヴル、レッドセシリアともにマイルの新馬戦を1番人気で快勝し挑んでいた。また、400m以上の距離延長で挑んだ馬で馬券に絡んだ馬は近10年間で0頭という事も覚えておきたい。
ファンタジーS組の取捨がポイント
近10年間でファンタジーSをステップレースにしてきた馬は3着以内ならば[3-2-1-12]4着以下ならば[0-0-0-22]とはっきりと本番に直結している。レコード勝ちで駒を進めてきたメイケイエール、2着のオパールムーンには注意が必要だ。
2歳戦の阪神マイルに強い騎手ベスト5
次にレースが行われる阪神芝1600mの中で、2歳戦に強い騎手を探してみた。2010年から2020年11月末日時点で延べ174レースが行われ、勝ち星1位は川田将雅騎手が[25-12-9-53]複勝率46.5%だった。
2位は福永祐一騎手で[16-15-12-53]複勝率44.8%、3位はC.ルメール騎手で[13-8-9-19]複勝率は驚異の61.2%となっている。以下、浜中俊騎手[12-15-10-51]、岩田康誠騎手[10-8-11-54]と続く。
2歳戦の阪神マイルに強い種牡馬ベスト5
こちらも騎手同様の方法で調べると、1位はやはりディープインパクト産駒で[39-17-23-86]複勝率47.9%で圧倒的な数字を残している。今年は連勝で臨むサトノレイナスがスタンバイしている。以下、ハーツクライ産駒[13-7-10-59]、ダイワメジャー産駒[11-8-14-74]、ロードカナロア産駒[7-6-5-31]、キングカメハメハ産駒[5-13-4-53]と続く。
ちなみに人気が予想されるソダシの父クロフネ産駒は[3-7-6-35]で連対率19.6%、複勝率31.4%と及第点以上の数値を残している。
結論!「前走成績」「瞬発力勝負」「ノーザンF生産」を重要視
1週間前の出走予定馬の段階で「前走成績」の項目だけでも一気に7頭まで絞り込まれる。
・インフィナイト(サウジアラビアRC2着)
・エイシンヒテン(白菊賞1着)
・オパールムーン(ファンタジーS2着)
・サトノレイナス(サフラン賞1着)
・ソダシ(アルテミスS1着)
・ポールネイロン(ききょうS1着)
・メイケイエール(ファンタジーS1着)
そして、阪神1600mのコース紹介のところでも触れたが、このレースは「瞬発力勝負」となりやすい。昨年レシステンシアが逃げて優勝したとはいえ、前走で4コーナー通過時点で2番手以内につけていた馬の成績は[2-1-1-32]とあまり奮っていない。例年のこのレースは開幕2週目だが、今年は京都の代替開催もあり6週目で行われるだけに、外差しの傾向が強まりそうだ。
最後にこのレースにおける「ノーザンファーム生産馬」の成績は抜けていて、特に前走重賞で連対しここに挑んでくる馬は[6-3-1-5]で複勝率は66.6%ある。以上の点を踏まえ、3つの項目に該当する「インフィナイト」と「メイケイエール」を中心視したい。
《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。競馬、ボートレースの記事を中心に執筆している。
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