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【天皇賞(秋)】GⅠ直行が奏功する可能性大 牝馬2強に待ったをかける馬とは?

2020年天皇賞・秋 インフォグラフィック
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ⒸSPAIA

4角先頭からの連対はなし

11月1日(日)に東京競馬場で行われる天皇賞(秋)(GⅠ・芝2000m)。今年は12頭と少頭数にはなったが、史上最多の芝GⅠ・8勝目を狙うアーモンドアイを筆頭にGⅠ馬7頭と豪華メンバーが顔をそろえた。無敗の3冠馬が誕生した先週・先々週に続いて今週も快挙達成となるのか。

また、馬券的に狙うべきは果たしてどの馬なのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

過去10年の天皇賞・秋のタイム

過去10年の天皇賞・秋4角位置別成績


個性派シルポートが飛ばして極端な前傾ラップとなった2011年、2012年や歴史的な不良馬場となった2017年を除いて、前半5Fは概ね59秒から60秒台に落ち着いている。しかし3コーナーに入る手前の早い段階でペースが上がって最後の直線を迎えることになるため、前に行った馬でも決して楽な展開にはならないのが展開上の大きな特徴と言える。

近2年はともに6番人気のキセキ、アエロリットが逃げて3着に粘ってこそいるが、過去10年で4角先頭から連対を果たした馬はいない。いかに逃げ切りが難しいレースかということを証明しているデータだと言える。妙味という観点でも4角4番手以内から馬券になった馬はみな6番人気以上であり、好位からそつなくというタイプよりは差し・追い込み馬が狙い目となるだろう。

際立つ高齢馬の不振

続いて、本レースが秋古馬三冠の初戦ということで、ここでは少し広いスケールで競走馬の年齢と成績との関連についてデータを紹介したい。

過去10年 秋古馬三冠の年齢別成績


今回の天皇賞・秋は過去10年で6歳以上の馬が【0-0-1-59】で、2013年3着のエイシンフラッシュしか馬券に絡んでいない。驚くべきことにこのような傾向はジャパンC、有馬記念を含む秋古馬三冠の全てで見られており、過去10年の全レースを合わせても連対馬はゼロ。さらに遡るとカンパニーなどの晩成タイプも現れるが、最近のトレンドとして大レースでの高齢馬の不振は際立っている。

一般的に競走馬の能力は4~5歳で完成すると言われていることからも、一流馬のなかでも特にキャリアのピークにある馬がレースの中心ということになる。メンバー構成的に穴馬を狙うなら伏兵の古豪に食指が動くところだが、ここは静観するのが賢明と判断したい。

先週までの東京競馬場の芝コースは、傷みが進んで例年よりもタイムが出にくくなっており、近2年ほどの高速決着にはならないものと考えられる。内外ともにフラットな状態であったが、今週からBコース替わりということで内有利にシフトする可能性はあるだろう。コース形態を考えても真ん中から内目に入った差し馬を重視して馬券を組み立てたい。

悲願達成なるか

これらのデータを踏まえた結果、悲願のGⅠ初制覇を狙うダノンキングリーを本命に推したい。前走の安田記念では、重め残りの馬場で力んだ走りとなってしまい7着に敗北。今回の2000mという距離はマイルと比べて余裕をもって運べるぶんこの馬向きの舞台設定だろう。

前走を除いて府中では崩れていないし、脚を溜めて直線でスムーズに進路を確保できれば勝負になるはずだ。もともと鉄砲が利くタイプでもあり、3歳春以降で初めてのGⅠ直行が奏功する可能性は十分にあるとみる。

対抗にアーモンドアイ。2着に敗れた前走・安田記念のレースぶりを考えるに、スタートで後手を踏んでもリカバリーが利きやすいという意味で今回の方が信頼度は高いと言えるかもしれない。まず大崩れはないだろう。

3番手にフィエールマン。古馬になってからAJCC、札幌記念と中距離戦で勝ち切れていないのはネックだが、もともと加速するのに時間がかかるタイプのため直線の短い舞台で足元をすくわれたと考えるのが妥当だろう。大箱が向くタイプと考えれば、新馬戦以来の府中でも十分に狙えるはずだ。

クロノジェネシスは4番手評価にとどめたい。前走の宝塚記念での圧勝を受けてアーモンドアイとの2強と目される向きもあるが、着差だけを過大評価するのは避けたいところ。上昇度は随一かもしれないが、近走では道悪・小回りで特に高いパフォーマンスを見せているだけに買い材料はそこまで多くはないように思われる。

頭数を考えてもあまり手は広げられないが、穴馬を一頭だけ挙げるとすればスカーレットカラー。クイーンSは盛大に脚を余しての3着という内容であり、直線の長い府中に替わるのは好材料。枠順的に直線に懸ける競馬が濃厚だが、ハマれば圏内もあるとみる。

▽天皇賞・秋予想▽
◎ダノンキングリー
○アーモンドアイ
▲フィエールマン
△クロノジェネシス
☆スカーレットカラー

ライタープロフィール
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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