雨の影響で内の馬場状態が悪い
先週はデアリングタクトが見事に無敗での牝馬三冠を達成。今週末の菊花賞(GⅠ・芝3000m)ではコントレイルにも大記録達成への期待は高まる。ここまでのレースぶりを見る限り、同世代には敵なし。先に結論を述べると、三冠達成の可能性は極めて高いと考える。先週と同様に馬場適性の観点から相手探しをしていきたい。
はじめに、先週のクッション値を振り返っておくと、金曜日の時点では8.9で良馬場。しかし土曜日は雨の影響によって、朝の時点でクッション値は8.0、稍重だった。最終的には21.0mmの雨が降り、重まで悪化。秋華賞当日の日曜日は雨が止んだので、朝の時点で8.2まで回復したが稍重だった。
芝1800m以上で行われた10レースの結果から馬場について見ていくと、雨の影響から全体的に時計がかかっており、土曜日に行われた2勝クラスの1800m戦は1:49.2、1:49.7で決着。日曜日の大原S(3勝クラス)はSペースながら1:46.3という時計が出るまで回復した。なお上がりタイムは、大原Sで2着だったサトノウィザードと3着のクラヴェルがマークした34.4が最速だった。
脚質面から振り返ると、全体の66.7%に当たる20頭が中団より後ろからレースを進めており、1着馬に限ると数字は80.0%にまで上昇。開幕してから2週連続で雨の影響を受けた影響が感じられる。好走馬が直線で通ったコースがそれを物語っている。秋華賞では内ラチ沿いを通った馬全滅。1着デアリングタクトは内から9頭目、2着マジックキャッスルは8頭目、3着ソフトフルートは12頭目(補正値+1)のコースを通って伸びてきた。
さらに外回りの1800m戦に限れば、土曜日の3歳以上2勝クラスは12頭目→11頭目→7頭目、清滝特別は12頭目→13頭目→11頭目、日曜日の大原Sは14頭目→14頭目→15頭目とかなり外を通った馬による決着だった。内ラチ沿いや馬群の間隔が開いていたときに加算する補正値も上記の3レースは+5、+5、+6だったということからも、内ラチ沿いの馬場状態が悪かったことが見て取れる。
今週末は晴天が期待できそうなものの、週中に降ったまとまった雨の影響から、力のいる馬場で、外を通った馬が活躍すると予想する。タフな3000mを走りきるスタミナはもちろん、いかにしてロスなく馬場の良い外目に持ち出せるか、騎手の手腕も問われそうだ。
相手候補筆頭はヴェルトライゼンデ
ここからは3000mという距離適性も踏まえたうえで、馬場適性チャートを用いて注目馬の適性について見ていく。縦軸は高速馬場を得意とするスピード型か時計のかかる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場に強い瞬発力タイプか上がりのかかる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。
【コントレイル】
適性は高速馬場で瞬発力が生きる馬場にあると考えるが、能力が違いすぎる。折り合いが難しいというタイプでもなく、瞬時に反応できる器用さもあるので、ロスなく立ち回って直線だけ外に持ち出すレースをするだろう。福永騎手は先週、京都の芝コースで6勝と馬場状態を把握している点も心強い。
【ヴェルトライゼンデ】
前走の神戸新聞杯は、大外枠からスタート。後方を追走して4角では16番手、直線だけ上手く外に持ち出して2着と熱発があって順調さを欠いたにしては上出来の内容で、能力の高さを改めて感じた。もともと上がりのかかる馬場を得意としており、ここ2走の内容を見ても3000mは歓迎材料。立ち回りも上手いので、相手候補の筆頭だ。
【バビット】
近2走はマイペースで逃げて結果を残しているが、今回は他にも行きたい馬がいるので楽なレースにはならないだろう。しかし可能性は低いが、好位からレースを進めて直線だけ馬場の良い外に持ち出すという競馬ができた場合は馬券に絡む可能性があるので、一応押さえておく。
【ディープボンド】
日本ダービー5着、神戸新聞杯4着と常に上位争いをできる力を持っているものの、切れる脚がないので馬券圏内には届かずというレースが続いている。それだけに距離延長は味方しそう。京都新聞杯を勝利したときのようなレースができれば、馬券圏内への好走は可能だ。
【サトノインプレッサ】
毎日王冠はスタートで出遅れ、10着に終わった。1800mなら時計のかかる道悪でなければ厳しいが、日本ダービー4着という成績を見ても、距離が長ければある程度速い馬場でも対応可能。それだけに道中は下手に動かず後方で脚をため、上手く直線で外に持ち出せれば波乱の立役者となるかもしれない。中1週にはなるが、矢作厩舎は詰めて使っても好走させるだけのノウハウを持っているので気にしなくていいだろう。
▽菊花賞予想▽
◎コントレイル
○ヴェルトライゼンデ
▲ディープボンド
△サトノインプレッサ
×バビット
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
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