前走重賞組以外は【0-0-0-25】
8月23日(日)に札幌競馬場で行われる札幌記念(GⅡ・芝2000m)。これまでにも数々のGⅠ馬が競演してきた伝統の「超GⅡ」レースだ。今年はダービー馬マカヒキの回避によって出走は12頭とここ10年で最少にとどまったが、3頭のGⅠホースと札幌巧者が入り混じって今年も見応えのある一戦が期待できそうだ。人気の中心は今年の大阪杯を制したラッキーライラックとノームコアの牝馬2頭と目されるなか、勝って秋のGⅠ戦線に向けて弾みをつけるのはどの馬か。今週もデータを踏まえて検討していこう。
はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

コース形態的に直線を目いっぱい使っての先行争いが繰り広げられるとあって、全体的に前傾ラップになりやすいということがまず指摘できる。メンバーレベルも高いため先行するのはそう容易ではないと考えたい。脚質的には目立った傾向は見当たらず、概ねどこから運んでも馬券になるものと考えて良いだろう。
現役トップクラスのメンバーが集まるとあって、前走・重賞組以外は【0-0-0-25】と一度も馬券になっていない。また、函館記念組を除く前走・GⅡおよびGⅢ組は【3-1-0-24】という成績だが、馬券になった馬はそれ以前に重賞を勝利していた。そういう意味で、「上がり馬」を狙うならば函館記念組に絞られるものと考えたい。
外枠は割引

続いて過去5年の枠番別成績をチェック。見てのとおり大外8枠がすべての項目で他の枠の成績を下回っており不振となっている。過去10年のこのレースで8枠から馬券になったのはトーセンジョーダン(1番人気1着)、モーリス(1番人気2着)、モズカッチャン(4番人気3着)のみであり、GⅠクラスの実力馬でない限り多少の割引が必要とみる。
展開的には函館記念で逃げたトーラスジェミニがハナ候補の筆頭。人気馬の動きにもよるが、トーセンスーリヤやドレッドノータスあたりが続けば隊列がすんなり決まる可能性は高いように思われる。例年より少頭数ということも踏まえて、比較的にペースが落ち着くものと考えて馬券を組み立ててみたい。
優位は揺るがない
人気が予想されるが、本命はラッキーライラックとする。渋った馬場で行われた前走・宝塚記念では早めに先頭に並びかけるも6着。上位の馬とは馬場適性の差が出たかたちとなったが、今年の大阪杯を制した実力は額面どおりに評価すべきだ。洋芝は初めてだが近走は条件・展開を問わず安定して成績を残しているし、メンバーレベルから考えても崩れるとはまず考えられない。ここは「軸不動」と見て問題ないだろう。
対抗は少しひねってトーセンスーリヤを推したい。2走前の新潟大賞典で初めての重賞を制覇したこの馬。宝塚記念では果敢に逃げを打って7着という結果であったが、もともと番手での競馬ができるタイプであるし展開次第で上位は十分に狙えるだろう。オッズ込みで狙ってみたい一頭だ。
3番手にトーラスジェミニ。前走・函館記念はハイペースで逃げた結果差し馬の強襲を受けて4着という結果に終わったが、勝ち馬から0秒4差とそこまで大きくは負けていない。追走してきた馬の多くが失速するペースだったことを考えればこの結果はむしろ力の証明だろう。大外枠は歓迎材料ではないだろうが、自分のペースで運べれば残る可能性は十分あると考えてこの評価とした。
4番手は人気の一角であるノームコア。近走はマイルからスプリントを中心に使われているが、2000m戦でも重賞で1勝2着1回、複勝率100%と実績は十分。久々でもやはり軽視は禁物だろう。末脚のキレは現役でもトップクラスなのは疑いようがないが、一方で近走はスタートの鈍さものぞかせており、展開次第では差し損ねる可能性もあると考えて評価はやや控えめにしたい。
その他では、函館記念でハイペースを追走して失速したカウディーリョはここで見直したい。このコースで昨年2勝クラスを勝ち上がっており、適性も問題ないだろう。そして最後に札幌2歳Sを制した経験のある3歳馬ブラックホールまで押さえておく。
逆に函館記念で金星を挙げたアドマイヤジャスタは展開利が大きかったと考えて、ここでは無印。また、前走で札幌芝2600mのレコードを樹立したポンデザールについては、舞台適性の高さは認めざるを得ないものの展開への対応は疑問視したいところ。実績が長距離に偏っている点を踏まえても、後半に流れが速くなったときに後れを取ってしまう可能性は十分考えられる。もちろん展開次第では台頭もあり得るが、頭数を考えてここでは印は回さないでおくことにする。
▽札幌記念予想▽
◎ラッキーライラック
○トーセンスーリヤ
▲トーラスジェミニ
△ノームコア
×カウディーリョ
×ブラックホール
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。