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【桜花賞】チューリップ賞神話崩壊?勝ち馬は今年も別路線からやってくる!

2020 4/8 06:00門田光生
桜花賞データインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

当面の間は無観客

コロナウイルスの影響でテレワークが推奨されているが、仕事の都合上どうしても外出しないといけないこともある。1週ほど前のこと、仕事で外出した帰り道、道路の両脇に植えてある桜の木がきれいにライトアップされており、そこで初めて満開になっていることに気づいた。気分が沈むと視線も下を向いていたということだろう。全国的に花見が自粛されている影響もあって、ニュースなどで見どころを特集している場面を例年ほど見ない。

大阪の天満橋にある造幣局の「桜の通り抜け」も早々と中止を発表していた。花見は文字通り花を見て楽しむのか、それとも宴会なのかは人によって違うだろうが、宴会はもちろんのこと、ただ桜を見るにしても人ごみは危険、人の少ない夜にしても不要不急の外出は禁物。どうやら今年は道路脇の桜で見納めになる可能性が高い。せめて満開に咲き誇るであろう阪神競馬場の桜を、モニター越しに見て心を癒したいところ。

心を癒すにしても、馬券が当たらないと気持ちは穏やかにならない。というわけで、今回も2010年~2019年までの10年間のデータを中心にして勝ち馬を探っていきたい。

桜花賞出走馬の前走ⒸSPAIA


4月12日(日)に阪神競馬場で行われる桜花賞は、チューリップ賞からの路線が圧倒的に強いことが知られている。実際、過去10年で【6-6-6-26】。馬券に絡んだ半分以上の馬がチューリップ賞組である。2018年からはGⅢ→GⅡに昇格し、賞金も増額。より多くの有力馬がトライアルにこのレースを選択してくるはずだ。

ただ、データ上では微妙な傾向の変化がうかがえる。GⅢ時代【6-4-5-21】に対し、GⅡ昇格後は【0-2-1-5】と勝ち馬が出ていない。昇格してまだ2年なので鵜呑みにするのはどうかとも思うが、ぶっつけ本番のローテーションを割引材料にはできない時代である。かなり強引だが、チューリップ賞神話崩壊の序章かも、との見方ができないか。

重要なのは前走の着順と人気

桜花賞出走馬の前走着順ⒸSPAIA

桜花賞出走馬の前走人気ⒸSPAIA


前走着順に大きな差が出ている。前哨戦をどこに使ったかにかかわらず、前走で3着以内に入った馬【9-8-8-85】に対して、4着以下だと【1-2-2-63】。分母が大きいとはいえ、前走3着以内の馬が本番で好走する確率がかなり高い。5着以下だと勝率0%となり、2002年のアローキャリー(前走8着)までさかのぼらないと勝ち馬が出てこない。前走が着外のリアアメリアにとっては気になるデータだ。

また、前走人気に関してはもっと極端で、3番人気以下だと【1-3-5-95】で勝率1%、連対率も3.8%ほどしかない。傾向的には前走着順がよく、さらに前走で人気していた馬の成績がいいということになる。桜花賞が荒れにくい傾向というのもうなずけるデータだ。ここではチューリップ賞勝ちのマルターズディオサをはじめ、かなりの馬が振り落とされた。

桜花賞出走馬のキャリアⒸSPAIA


最後にキャリアだが、桜花賞まで3戦という馬の数字が抜けていい。昨年のグランアレグリア、一昨年のアーモンドアイもキャリア3戦で桜花賞に出走して勝利している。今年の出走馬ではインターミッション、サンクテュエール、リアアメリアがそれに該当。逆に7戦以上していると馬券に絡む率が0%となってしまい、ヤマカツマーメイドだけがそれに該当。

今年もチューリップ賞以外から桜花賞馬が誕生する予感

ここまでプラス材料があるのはキャリア3戦のインターミッション、サンクテュエール、リアアメリア。また、減点がないのはギルデッドミラー、クラヴァシュドール、サンクテュール、ヒルノマリブ、ミヤマザクラ、レシステンシア。プラス材料があり、マイナス材料なしはサンクテュエールだけ。文句なしの本命でいいだろう。

前章でグランアレグリア、アーモンドアイの名前が出てきたが、グランアレグリアとは厩舎と騎手が、アーモンドアイとはシンザン記念勝ちというローテーションが同じ。このレースで実績を残しているディープインパクト産駒というのも心強い。チューリップ賞が絶対でないことを今年も証明してくれるはずだ。

相手は今のところ切る要素がないギルデッドミラー、クラヴァシュドール、ヒルノマリブ、ミヤマザクラ、レシステンシアに、キャリア3戦のインターミッション、リアアメリアをどう扱うかになる。

桜花賞はクラシック第一弾ということで完成度も関係あるのか、5月以降の生まれだと【0-1-0-13】。早生まれの馬に比べると分が悪いというデータもある。これに該当するのは、上記の馬ではミヤマザクラ。逆にいえば今後はさらに成長が期待でき、今回は切ってオークス、秋華賞で狙ってみたい。サンプルは少ないが、前走で条件戦を走っていた馬が馬券に絡んだケースは一度もないのでギルデッドミラーも消し。

インターミッションは前走人気、リアアメリアは前走着順で引っ掛かるが、キャリア3戦に加えてディープ産駒とプラス材料もあるので押さえておきたい。

◎サンクテュエール
○クラヴァシュドール
▲レシステンシア
△ヒルノマリブ
×リアアメリア
×インターミッション

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
競馬ニホンが休刊となってもうすぐ2年。時が経つのは早いなと思いつつ、物忘れと老眼の進行速度の速さにも驚いている。