有力ステップ武庫川S不在で
中山マイル重賞のダービー卿CTは年によって前後半のペースが極端だ。

昨年は前後半800mが45秒1-46秒6、1分31秒7の怪時計が飛び出し、勝ち馬フィアーノロマーノは4角3番手、上がり3ハロンは出走馬中10位の34秒8だった。後半の速い脚というよりレース全体で一定の速い脚を使える馬に流れが向いた。
16年は前後半800mが46秒9-45秒9と後半が速い上がり勝負となり、勝ち馬マジックタイムは4角6番手から上がり最速33秒8の決め手を駆使して勝利した。
中山のマイル戦はペースの差が大きく、このレースも例外ではない。
これにあたるのが前走東風S組。過去10年で東風S組は【2-3-1-20】と頭数を考えると頼りないが、今年は【3-0-0-1】の武庫川S組不在、【2-1-0-10】の阪急杯組はマイスタイル1頭。東風S組を分析する。
中山マイルの前哨戦分析
今年の東風Sは前後半800m45秒6-48秒5で1分34秒1(稍重)。前後半落差2秒9の前傾ラップで2角1~3番手だった馬はほぼ壊滅。突発的に先行態勢をとったストーミーシーだけが残り1着だった。
12.3 - 10.7 - 11.1 - 11.5 - 11.8 - 12.0 - 11.9 - 12.8
超がつくハイペースだったが、ファストアプローチ(16着)、ミュゼエイリアン(15着)、ショウナンライズ(14着)、ストーミーシーが前半を引っ張り、大敗の3頭は4角手前で一杯になり、これらの直後にいたジャンダルム、ボンセルヴィーソ、カツジが外からマクるという出入りの激しい競馬だった。
くわえて前日の降雪が影響したのか馬場状態が悪く、どの馬も内側を避けるように走っていた。これら攻防があった残り800~400m、11.8-12.0で動かなかったストーミーシーが抜け出したわけだが、これは鞍上の好判断によるもので、再度先行するかどうかは不明で、元来アテにならないムラ馬。注意はしつつも再度狙いにくい。
ハイペースを誘発した先行馬でダービー卿CT出走したのはストーミーシーのみで、昇級馬トーラスジェミニは不気味だが激流再現の可能性は低く、地力で動いた6着のカツジ、10着ジャンダルム、12着ボンセルヴィーソを見直す手はある。
なかでもジャンダルムは前々走ニューイヤーSで復活勝利。同レースは前後半800m47秒6-48秒2、1分35秒8(稍重)。
12.5 - 11.7 - 11.6 - 11.8 - 11.8 - 11.7 - 11.7 - 13.0
勝ち時計がもの足らずジャンダルムの評価は慎重にしたいが、ラップバランス的にはこちらの方が例年のダービー卿CTに近い。ただ、重賞であることを考えると最後の13秒0は頼りなく、ジャンダルムのベストはもうひとハロン短いのではないだろうか。
距離延長組と昇級組
【2-1-0-10】の阪急杯組であるマイスタイルに話を戻す。前走1400m組は傾向として使える。【4-2-0-21】で前走マイル【5-7-4-63】より確率では上回る。


その阪急杯は内枠からスタートひと息ながら抑えが利かずに前半は行きたがって鞍上とケンカしていた。
持っていかれ加減に2番手まで押し上げ、勝負所でペースが上がると走りがスムーズに。ただ前半の力みで消耗し、12着に敗退した。ここまで派手にリズムを崩した後のマイスタイルは怖い。なぜなら過去に巴賞9着→函館記念1着、小倉大賞典10着→ダービー卿CT3着、中日新聞杯8着→京都金杯2着がある。大敗からの一変がこの馬のパターンだ。派手に折り合いを欠いたあとだけに相手関係をみてリズムを重視して一転してハナに立つという作戦変更もあり得る。

目立つのは前走3勝クラス【5-1-1-8】だ。ダービー卿CTは昇級馬が強いレースで、今年はトーラスジェミニとペプチドバンブーが該当。

前走がマイルだった3勝クラス勝ち馬はこのレースで【3-1-1-4】。逃げるトーラスジェミニと差すペプチドバンブーどちらも前走は1600m戦。だが不良馬場を差してきたペプチドバンブーに週末の晴天が微妙。評価はトーラスジェミニが上位だろう。
これら昇級馬を上位に入れつつ、東風Sの出し入れを加え、マイスタイルに絡めてみる。
◎マイスタイル
〇カツジ
▲トーラスジェミニ
△ストーミーシー
×ボンセルヴィーソ
×ジャンダルム
×ペプチドバンブー

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。