緩い流れからの持続力勝負
4月5日(日)に阪神競馬場で行われる
大阪杯(GⅠ・芝2000m)
。春の古馬・中距離王決定戦にGⅠ馬5頭を含む12頭が集結した。好メンバーがそろった一戦で馬券的に狙えるのはどの馬か。データを踏まえて検討しよう。
はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する(GⅠ昇格前を含む)。

過去10年で前半5Fが60秒を切ったのはわずかに2回。スタート直後に坂を上ることもあって前半は流れが緩みやすい。後半は一気に流れが速くなるというよりも、ラスト5Fからゴール前の坂までジワジワと加速するようなイメージだ。ラップの構成的には、同じ距離でも最後の3Fから急にペースが上がり直線の末脚比べとなる東京芝2000mとはかなり異なる。
馬券に絡んだ馬のうち半数以上は4角で5番手以内の位置を取っており、特にGⅠ昇格後17年以降は先行勢の強さが際立っている。
昨年のアルアイン(9番人気1着)や17年のステファノス(7番人気2着)など、低評価に甘んじていた先行馬の台頭もあり、人気薄は先行馬から狙いたい。かつてはキズナやショウナンマイティなど後方待機から豪脚を発揮した例もあったが、よほどのキレ味がない限り追い込み馬は狙いにくいのが実情だ(余談だが、阪神芝2000mで上がり32秒台の末脚を使ったことがあるのは80年以降でショウナンマイティただ一頭である)。
枠にはこだわらず……

先週の阪神芝コースは土日を通して馬場状態は稍重であったが、ラチ沿いを確保した先行馬が最後までしぶとく粘っていた印象。今週も極端に外差し有利にはならないと考えたい。枠番別成績を見ても4枠が不振な点以外は大きな差はなく、真ん中から外目が比較的に好調という程度だ。ペースが上がりにくいうえに最初のコーナーまである程度の距離があるため、外枠からでも先手を取りやすいのが一つの要因だろう。
以上に加えて12頭と頭数が手ごろな点も考慮すれば、枠番による影響は必ずしも大きくはないと考えられる。人気馬がいずれも前走でキッチリ好位につけて善戦していることも踏まえ、今年は堅い決着になると見て馬券を組み立てたい。
4歳牝馬に期待
本命はクロノジェネシス。初のGⅠ制覇を飾った秋華賞ではハイペースの中で好位を追走し完勝。今回も後半の持続力が問われる内回りコースなだけに、舞台適性は高く評価したい。2走前のエリザベス女王杯ではスローペースに泣いて5着に敗れたが、重馬場でタフなレースとなった前走の京都記念は危なげなく勝利。着実に力をつけている印象だ。キズナを破った15年ラキシス以来の牝馬の優勝に期待したい。
2番手評価はダノンキングリー。前走は休み明けの中山記念を危なげなく完勝。コーナー4つの小回り中山コースでしっかりと勝ち切れたのは大きな収穫と言える。死角の少なさという点でもこれ以上低い評価はできない。
3番手にはブラストワンピース。前走は外枠から積極的に前目につける競馬できっちり勝利。川田騎手のもとで上手な競馬が板に付いてきている印象だ。昨年のこのレースは後方から大外を回して6着と人気を裏切る結果となったが、今の状態なら久々のGⅠタイトルも十分狙えるはずだ。
△ラッキーライラックは前走・中山記念で2着と地力を見せたが、少し反応が遅れ早めにムチが入る場面があった。戦績的にもあまり器用なタイプではないため、少し割り引いて考えたい。とはいえ昨年のエリザベス女王杯からの充実ぶりには目を見張るものがあり、あまり軽視はしたくない。昨年3着の×ワグネリアンも気になる存在だが、当時は直線で空いた内を突いたのがハマった印象。本来は内回りコースが向くタイプではないため、押さえ評価にとどめたい。
人気サイド以外では☆サトノソルタスに食指が動く。前走の金鯱賞では好位から脚を伸ばし2着と健闘。展開に恵まれた面はあるが、立ち回りだけを見ればここでいきなり通用しても不思議ではない。初の右回りなど不安要素もあるが、オッズ的に狙ってみる価値はありそうだ。
▽大阪杯予想▽
◎クロノジェネシス
○ダノンキングリー
▲ブラストワンピース
△ラッキーライラック
×ワグネリアン
☆サトノソルタス

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。