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美しく、華やかな新体操の歴史的名場面

2017 1/30 21:11
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Photo by Pukhov Konstantin/Shutterstock.com

美しく華やかな新体操は、演技そのものもわたしたちの記憶に焼き付いているが、感動する数多くの名場面やエピソードも数多くあった。その中から3つの名場面を紹介する。

アテネオリンピックでのアリーナ・カバエワの失敗

人々の心に強い印象を残しているのが、シドニーオリンピックでカバエワが見せたフープでの失敗だ。前年の世界女王として臨んだ大会で、1種目のロープを終えて首位、快調な滑り出しに見えた。2種目目はフープ。『カルメン』の軽快な曲に合わせたスピード感あふれる演技で、中盤まで非の打ちどころのない演技。
ところが、終盤に差し掛かる何でもないような場面でフープが手から離れてしまい場外へ。その後笑顔で演じ切るも金メダルを逃すことになった。17歳の少女にどれだけのプレッシャーがかかっていたかは、わかるすべもないが、絶対女王なんてないと確認させられる場面となった。

悲劇の女王ビアンカ・パノバのソウルオリンピック

アリーナ・カバエワの失敗と合わせてよく引き合いに出されるのは、ソウルオリンピックでのビアンカ・パノバの失敗だ。地元ブルガリアで開催された1987年の世界選手権で、個人総合、種目別の全12演技で10点満点を出し、完全優勝を果たしたビアンカ・パノバ。1988年のソウルオリンピックでは、金メダルの大本命とされていた。
しかし、予選のクラブ(こん棒)の演技で最高難度の技を行なったところ、キャッチに失敗。クラブが場外へ飛び出すという結果になってしまった。得点は9.550。その当時予選スコアの半分が持ち点として決勝のスコアに加算される方式だったため、パノバの金メダルはその時点で無くなったのだった。

アテネオリンピックでのアリーナ・カバエワの悲願の優勝

1999年大阪の世界選手権で個人総合金メダル、種目別でも金2個と新女王となったカバエワだったが、2000年のシドニーオリンピックではフープで大失敗し金メダルを逃してしまった。その後、2001年マドリードの世界選手権で、個人総合金、団体金、種目別3種目金と素晴らしい成績を収めたカバエワだったが、ドーピング違反で1年間の出場停止に。
しかし、2003年ブタペストの世界選手権で個人総合、団体、種目別計4個の金メダルを獲ったカバエワは、迎えた2004年のアテネオリンピックで、念願の個人総合で金メダルを獲得したのだった。挫折から這い上がったカバエワの姿が感動を呼んだ。

ソウル五輪マリーナ・ロバチ10点満点連発!

ブルガリアのビアンカ・パノバの予選での失敗で、ブルガリアのアドリアナ・ドナフスカ、ソ連のアレクサンドラ・ティモシェンコとの争いになった、ソウル・オリンピックの新体操個人総合の金メダル争い。マリーナ・ロバチはミスなく演技し、予選、決勝合わせて全部で8回の演技で、全て10点満点を叩き出した。
新体操のオールドファンの中には、メダルを獲得したマリーナ・ロバチ、アドリアナ・ドナフスカ、アレクサンドラ・ティモシェンコに加え、ビアンカ・パノバの演技を含めて、過去最高の大会にソウルオリンピックを挙げる人が多くいる。

リオ・オリンピック予選「リボン4本投げ」の成功

2016年リオデジャネイロ・オリンピックで奮闘した新体操日本代表(杉本早裕吏、松原梨恵、畠山愛理、横田葵子、熨斗谷さくら)は、団体予選で「リボン4本投げ」の大技を繰り出し5位で通過した。メダル獲得の秘策として、団体決勝でも「リボン4本投げ」を繰り出したが、決勝では少しリボンがズレて、惜しくも決まらず8位だった。
しかし予選で決めた見事な「リボン4本投げ」は日本の未来を感じさせる演技で、大きな感動を与えてくれた。

まとめ

美しく、華やかな新体操の歴史的名場面を集めた。現在新体操はロシアの独壇場になったが、それを決定的にしたアリーナ・カバエワの力強くアクロバティックな演技は忘れられない。また、ロシアが王座に君臨するまで、王座にいたブルガリアのしなやかで、女性らしい演技は見るものを虜にした。現在王座に君臨するロシアの牙城を崩す国は生まれてくるのだろうか、そこにどんなドラマや名場面が待っているのだろう。とても楽しみだ。