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村上茉愛、復活の床で世界選手権のリベンジを東京五輪で果たせるか

2021 4/24 06:00タカシロアスカ
村上茉愛Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

5月のNHK杯で上位3人が五輪へ

東京オリンピック代表選考会を兼ねた体操の全日本個人総合選手権決勝は17日、群馬・高崎アリーナで女子個人総合決勝が行われ、村上茉愛(日体クラブ)が2大会連続5回目の優勝を果たした。

決勝は4種目合計56.298点でトップ。首位だった予選との合計で112.564点をマークし、頂点に立った。2位は畠田瞳(セントラルスポーツ)、3位は平岩優奈(戸田スポーツクラブ)。昨年の左アキレス腱断裂からの復活を目指した寺本明日香(ミキハウス)は6位に終わった。今大会の得点を持ち点として、5月のNHK杯(長野市ビッグハット)での上位3人がオリンピック代表となる。

「少し自信を取り戻した」という村上はオリンピック代表への道を踏み出した。平均台は落下して12.933点だったが、脚をひっぱるほどにならず平均して高得点。決勝では一度もトップを譲らなかった。

座右の銘は「やるかやらないか」

これまでの痛みや苦しみは、彼女にとって次の目標につながったに違いない。

村上が得意の床は爪先、指先までまっすぐ伸び、滑らかな美しい演技が売り。安定感も抜群で、観客を魅了する十分な実力を備えている。

年明けから東京五輪に向けて床運動の曲をリニューアルし、ヒップホップなどの要素を入れたアップテンポなものにした。もちろん技もふんだんに「ゴムまり」のような体が跳ねる構成だ。得意技であるH難度の大技「シリバス(後方抱え込み2回宙返り2回ひねり)」や表現力で14点台をたたき出した。

3歳の時に母親に勧められたのがきっかけで体操を始め、メダリストの池谷幸雄体操倶楽部に小学校時代から所属して、池谷も太鼓判を押す実力を身につけた。リオデジャネイロオリンピックでは個人総合6位、団体総合4位。メダルを取りたい気持ちが一層強まり、東京五輪をすぐに目指したいと思ったという。

しかし、2019年のNHK杯直前に腰の状態が悪化し、涙を流しながら棄権。この年の世界選手権代表入りを逃した。この時には今、ケガからの復活をかけている寺本明日香が代表入りし、奇しくも現在と逆の立場になった。

「緊張しないでやるべきことをやれた。楽しんでできて良かった」と話した村上。腰の負傷で世界選手権をあきらめた無念は晴らしたが、彼女が目指すのはオリンピック。そこで結果を残して初めてリベンジと言えるだろう。

座右の銘は「できるかできないかで判断しない。全てはやるかやらないかで決まる」。5月15日開幕のNHK杯(長野)で全てが決まる。

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